1965年10月に日本公開されたイギリス映画『ポップ・ギア』(1964)。 ストーリーは特になく、ブリティッシュ・ビートグループ(+数人のポップス歌手)の演奏を映しただけの一種の記録映画でした。当時、「リバプール・サウンド」と言われていたビートルズやアニマルズなど、1960年代前半にデビューしたブリティッシュ・ビートグループが大挙出演。他に「ロシアより愛をこめて」で有名なマット・モンローやスーザン・モーンなど女性歌手も出ていました。
当時は、人気は高いのにどのグループも「声はすれども姿は見えず」状態。日本のファンは彼らの動く映像に飢えていましたから、非常にタイムリーな映画だったと思います。公開当時、ビートルズの出演場面になると映画館に押しかけた女性ファンたちが画面に向かって「ポール!」だの「リンゴ!」だのキャーキャー叫んで大騒ぎしたというという騒ぎが新聞やテレビで面白おかしく報道されました。
ただし、他のグループの映像が映画用に新しく撮影されたものだったのに対して、最初と最後のビートルズ出演シーンだけ他のバンドと違って解像度が低く、スクリーンの大画面では妙に荒れた画質。既存のコンサート映像を流用したのが見え見えで、ちょっと興ざめでした。
この映画の日本公開直前、1965年2月?に「エド・サリヴァン・ショー」のビートルズ出演回が日本でもTV放映されていますが、残念ながらこちらは白黒。ビートルズの動く姿が大画面のカラー映像で拝めたのはこれが初めてでしたから、あまり文句も言えませんが。
『ポップ・ギア』の出演バンドと曲目は、次の通りです。 司会は、映画と同じ名前のDJ番組をもっていたジミー・サビル。 エド・サリバンショーで紹介済みのビートルズ以外は、どのグループも初お目見えでした。
「リバプール・サウンド総出演!」という前宣伝だったのに、ローリング・ストーンズ、デイブ・クラーク・ファイブ、キンクス、ザ・フー、ヤードバーズなどの大物バンドが入っていなくてこの時もお預けを食らい、もやもや感が残りました。欲を言えば、ポップス歌手をカットして、全部紹介して欲しかったですね。全く知らないバンドもいくつかありました。
さて、文句はこのくらいにして、ここからは『ポップ・ギア』での彼らの演奏シーンを観て行きましょう。映画のおかげで若い頃の彼らのライブをイーストマンカラーの高画質映像で今も観られるのは大変有難いことです。
ただし、ビートルズ以外はすべてリップシンクで、映画の中で実際に歌っている訳ではありません。
ビートルズ「シー・ラブズ・ユー」~「ツイスト&シャウト」
アニマルズ「朝日のあたる家」
アニマルズ「悲しき願い」
ハニーカムズ「ハブ・アイ・ザ・ライト」
ハーマンズ・ハーミッツ「朝からゴキゲン」
スペンサー・デイビス・グループ「Nobody Knows You When You're Down And Out」
デレク&ドミノス「Nobody Knows You When You're Down And Out」
ナッシュビル・ティーンズ「タバコ・ロード」
ピーター&ゴードン「愛なき世界」
ビリー・J・クレイマー&ダコタス「Little Children 」
参考までに
ビリー・J・クレイマー&ダコタス「アイ・コール・ユア・ネーム 」
ここまで『ポップ・ギア』からの映像を10曲紹介してきましたが、残りのグループの曲は個人的にはロックと言うよりはポップスっぽいつまらない曲ばかりなのでリンクするのは止めおきます。全曲ユーチューブに高画質でアップされていますので、興味のある方は検索してみてください。
この映画に出ていたフォー・ペニーズの別の曲で、もろマイナー調の「BLACK GIRL」というなかなかいい曲があるので、最後に紹介しておきます。サビと言うものがない珍しい曲で、ワンフレーズのメロディで最後まで押し通します。
フォー・ペニーズ「BLACK GIRL」
ナッシュビル・ティーンズについては、こちらの記事でも触れています。
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