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親の心、子は知っている


先日も登場したママ友から、もう一つ良い話を聞いた。親元を離れて暮らす一番下の息子さんが、最近やたらと電話をかけてくるらしい。母親相手に何をそんなに話したいことがあるのか、しかも夜遅い時間、ママ友は早く寝たいのに、息子さんはどうでもいいことを喋っている。聞けば、コロナ禍でなかなか人と会って喋る機会がないから誰かと喋りたいとのこと、それが母親だなんてなんと微笑ましいことか。そんな息子さんが、こんなことを言った。

お母さん、よくも毎日毎日ご飯を作ってくれてたね。おかげで僕は、友達とご飯を食べに行くと皆に不思議がられるんだ。

どういうことかと言うと、お母さんは、家族の健康を考えて栄養バランスのとれたメニューを毎日作ってくれていたこと、そして息子さんはそれが当たり前だと思っていたので、例えば友達と牛丼を食べに行っても、友達が牛丼の大盛りを食べる中、その息子さんは牛丼並にサラダ、お味噌汁、というふうに注文してしまうそうだ。友達から見ると、なんでサラダ?ということになるらしい。


僕はお母さんが作るみたいなメニューが当たり前だと思って食べてたけど、皆は違うらしい。

私の母は晩年食堂を営んでいたが、そこに来る男性のお客さんたちが一様に野菜のメニューを喜ぶといつも言っていた。「家じゃ、こんなの食べられないから」母は驚いていた。一体お家で、何を食べてるの?野菜を炊いたり和えたりするようなお料理はなかなか食卓に並ばないらしい。お味噌汁さえなかなか作ってもらえない。


よく、“胃袋をつかむ”なんて言うけど、食べることは大事なことなんだと改めて思う。ママ友のメニューも、私の母のメニューも、食べてくれる人の胃袋をつかんでいたに違いない。そしてそれを食べる人たちの健康にまで気遣っていたのだ。
母のおかげで、私も栄養バランスを考えて食事を作ることが当たり前のこととしてインプットされた。それを次へ、娘たちへ伝えていかなければ。



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