子育てはデンジャラス
大事、大事にしていた初めての子ども、長女の時と違い、次女の子育ては波瀾万丈、今思い出すと笑えるエピソードが沢山ある。
あれは次女がまだ半年くらいの頃。抱っこしていた時急に後ろに反らせてきた次女の後頭部が私の右目を直撃したことがある。ピョーンと星が飛んだ。こういう時本当に星って見えるんだ。痛い、なんて言葉じゃ足りない。私の目からは涙がボロボロ出て声をあげて泣いた。ワアワア泣いた。ちゃま(旦那さん)を呼びながら泣いた。声をあげてないとどうにかなりそうなくらいの痛みだったのだ。次女は私があんまり泣くので逆にビックリしてキョトンとしていた。
さんざん泣いて少しおさまった頃にやっとちゃまが来てくれた。
「何を大袈裟に泣いてるん?」
いや、大袈裟じゃないんだってば。本当に痛いんだってば。
鏡を見てみたら涙と鼻水でグショグショだということ以外に特に外傷は無さそうだったので、私はちょっとだけ安心してチーンと鼻をかんだ。するとどうしたことか、右目の視界がみるみる遮られていきついに右目が真っ暗になった。何が起きたのかすぐにはわからなかった。
「なんか右目が見えなくなった」
とちゃまに訴える。すると私の顔を見たちゃまはギョッとなった。
「ど、どうしたん、その顔、、、」
鏡を見てみたら私の右目は試合後のボクサーみたいに腫れて完全に閉じてしまっていた。ウインクしてるみたいに。いやそんな可愛いもんじゃない。顔の他の部分はそのままで右目だけが閉じているのはものすごく不自然で、自分の顔なのに気味が悪かった。目を開けようにも全く開かない。え、え、何、これ。
次の日眼科へ行った。レントゲンの結果、眼球を支えている紙くらいの薄い骨が折れていると告げられた。鼻をかんだ時折れた骨の隙間から目蓋の方へ空気が入り込み目蓋が膨れ、気味の悪い顔になってしまったのだ。(後からちゃまが「鼻なんてかむからだ」と言ったが、鼻水でグショグショの状態でどうすればよかったのだ?)
お医者さんが言った。
「ほんとにお子さんの頭が当たったんですか?」
最初は質問の意味が分からなかったが、すぐに、あぁこれは家庭内暴力を疑われているのだなと察した。疑われてるとも知らず待合室で待ってくれているちゃまのことを思うと気の毒だ。
「ほんとにほんとです」と少し焦って答えてしまったので逆に怪しかったかも知れなかったなとあとで反省した。
幸い眼球にはキズは無く、目蓋に入った空気が自然に抜けるのを待つしか無いと言われ帰宅。そこから2週間ほどは家の中でもサングラスをかけて過ごした。回覧板を持って来たお隣さんはギョッとしていたが特に何も聞かれなかった。逆に怪しかったかも知れなかったなと、これまたあとで反省した。
次女の子育てエピソードでもう一つ。
次女1歳のある日。お出かけしようと2階の階段に付けていた落下防止のゲートを外した。開閉式ではなかったのでゲートそのものを外して脇にどけた。その時だ。私の足元を掠めて何かが階段を転げ落ちて行く。
次女だった。
えっ。
慌てて手を伸ばして掴まえようとするが、伸ばした手のちょっと先をゴロンゴロンと前転しながら落ちて行く次女。途中に踊り場の無い真っ直ぐな階段。時間にしたら10秒にも満たないくらいか。次女を追いかけながら、私の頭の中には次女との思い出が次々に駆け巡っていた。次女を追いかけながらあぁもう次女は死んでしまうんだ、と本気で思った。取り返しのつかない事をしてしまったんだ、と本気で思った。
結局追いつく事が出来ないまま次女は1番下まで落ちた。その数16段。次女を抱き上げると一瞬キョトンとした後泣き出した。
‥良かった‥生きてた。
タンコブ1つ無く骨折もしていなかった。体が柔らかいってすごい。
落ちて行く次女を追いかけながら私の頭をよぎった数々のシーンは走馬灯ってやつだったのか?走馬灯って死ぬ本人が死ぬ間際に見るやつだから違うよな。
おかげ様で次女はその後もスクスクと育ち、長女小学3年生、次女幼稚園の年長さんの時に、次女は長女の身長を追い越してしまうのだった。やっぱり次女ってのびのびと育つもんなんだね。にしても成長しすぎ。
どれもこれも、こうして笑って話せる日が来たことに感謝して。
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