みつ

理系大学院生 M1 読書がとても好き。

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  • [ショートショート]

    数百文字から数千文字の話です。

  • [小説]陽光が月肌を撫でる。

    ショートショートショートです。 大学生のお話

  • こんな本読んでます📚

    日頃読んでいる本を気ままに紹介します。

  • [小説] 理系学生

    ショートショートショートです。

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理系学生 みつ 自己紹介します💫🔭

初めまして! みつ です✨ 早速ですが自己紹介してみます、(稚拙な文章お許しを...) 私は....私は、物理学科で学んでいる現役大学生です。 趣味で文章を書いています🖋、読書も大好きです📚 小さい頃は宇宙に魅了されたオタク少年で、望遠鏡を使って月や火星の観測をしていました。SFが好きで、"宇宙"とか"space"とかつく作品はずーっとみてました、笑 小学生の時に空想科学読本にハマってからは、色々な作品の演出にケチをつけていました...💦 今現在は、現代純文学をはじめ

    • ペトルーシュカ和音

      彼女の創る作品は荘厳で仰々しい代物ばかりだ。 今、僕の目の前にある作品はその中でも特に異質である。 大きな白鳥が羽ばたく瞬間を立体的に切り取ったような石膏像に、大きな茶色い傘のきのこが無数に散りばめられており、大小の異なるきのこはそれぞれがそれぞれに対して恐怖を煽っている。 加えて、全体がペトルーシュカ和音の実際的な具現化であり、鑑賞者に対して畏敬とも喜びとも恐怖とも言い難い複雑な感情を呼び起こしてくるのである。 美術界での彼女への評価は、文字通り真っ二つだった。

      • 出会いについて。

        「ねぇ、僕には悩みがあるんだよ。多分、割りに馬鹿げたやつが」 言葉は薄暗い部屋に飲まれる。 カーテンから僅かばかりの灰色の陽が滲み出ている。 この光の感じ、外は曇天だろうか。 悩みというのはつまり、僕には悩みを聞いてくれる女の子がいないことだった。 真剣に。 よくよく考えなくとも、一般的に大学生は、日夜男女が集う飲み会に繰り出すものではないか? そうでなくとも、女友達の1人や2人いてもいいと思う(前日に集合をかけて集まれるタイプが好ましい)。 何も、僕にとって100%の

        • 大きな荷物

          「今夜、きっと大きな荷物が届くでしょう」 女は僕にたっぷり含みがあるような調子で語る。 僕は何のことだか全くわからないという眼差し、眉の角度、口角の上がり方で女を見つめた。 すると彼女は踵を返し、そこに甘いオークの香りを残し僕の前から消えてしまう。  そして、今、僕の家に大きな荷物が届いている。 大きな荷物には宛先や送り主といった類の情報は一切記されておらず、配達されてきたような気配もない。 僕は今、仕事から帰ってきてそれを玄関先に見つけた時、なぜだか驚かなかったように思

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          本を読むこと

           僕はタフでなければならないと思った。タフでありたいと願った。  タフであることは結局のところ必要十分な条件で、そうでなければこの世間をうまく切り抜けられないということを親指を咥え、幼児向けアニメを食い入るように見、悟った。  タフであるために、まず僕は身体を鍛錬することにする。  市営のジムに毎晩通う。 市営ジムは三百円で二時間鍛えられる上、夜に至っては人はまばらであり、僕のような幼い男が一人トレーニングをしていたとしても咎めるものはいないという優れた場所だった。

          本を読むこと

          白うさぎ

           宇宙が好きな友達がいる。 彼は森羅万象になんらかの因果を求めるタイプの人間で、それはとても真剣な意味での宇宙を愛している。 彼は、 「白色光が綺麗だって言うのはナンセンスだよ。白色光っていうのは雑多な光が混ざり合っていて、吐き気がするぐらいだよ」 とかそんな具合に、世の中の一般に対して攻撃的になることが多くある。 格好はいかにもインテリジェンスな好青年という風である。 若手俳優が演じるハンサムな教員という様な熱も感じられる。 肌はツルツルとしており、こざっぱり

          白うさぎ

          量子力学について。※フィクション

          ※以下の文章は完全なるフィクションです。  全く事実と異なる場合ばかりですのでご注意ください。 ..........  僕のもつ一年生向けの講義おわり、男子学生が僕に数枚のレポート用紙を手渡してきた。  講義終了後、学生は私に鋭い切長の目を私に向けてギラつかせ、ただの一言も発さずに手渡してきた。 僕は面食らって一瞬たじろいだのだけど、それを相手に見破られないように平然とそのレポート用紙を受け取った。  学生はぐるりと右向け右すると、そのまま悠々と教室を出て行ってしま

          量子力学について。※フィクション

          こんなのってないじゃないか

           こんなのってないじゃないかってことがあったんだ。 結構前にね。  その日16時に僕らは駅で落ち合おうと約束したんだけど、女の子は10分遅れてやってきた。 電話で 「迷っちゃった、どこいるの」 なんていうもんだから、僕は 「今どこにいるの?何が見える?」 と尋ねる。 「なんか真ん中に風船みたいなのが垂れてるの、中央改札なんてどこにあるの...。あ、あった!今改札出るね」 なんて言って、女の子は耳にスマートフォンを当てながら改札を出る。 僕はしばらくその姿を

          こんなのってないじゃないか

          大きな満ち足りた部屋にて

          大きな満ち足りたベッドの上で私は目を覚ます。 19世紀風の絵画で散見される犬と寝そべった裸婦みたいに体を傾ける。 そして大きく上下するその胸にそっと手を当てて、頬に口付けをする。 太陽はもう八合目あたりに輝いていて、カーテンの隙間から差し込む陽光はほとんど床に散乱する下着やらセーターやらシャツやらを照らすだけだ。 ベッドサイドテーブルに置かれた二つのワイングラスには、赤ワインがほんの一口分だけ残っている。 ベットから体をなんとか起き上がらせて、なんとかキッチンに向か

          大きな満ち足りた部屋にて

          湿気、置き時計

           目が覚めると、眼前の世界は明らかに今までのそれとは異なっているように感じられた。 僕の肌を覆った鬱陶しい湿気をたっぷりと含んだあの空気も、あれほどまでに必死に僕を外とつなぎとめようとしていたセミの煩わしい喧騒もない。 空気は明らかに清潔であり、小さな虫たちによって震えてもいなかった。 ベットの脇に置いてある時計に目を向ける。 針は10時ごろを指す。 正確な時刻は必要ではないし、そもそも混乱した頭で何も考えたくはない。  昨夜、ストロベリー・マルガリータを冷蔵庫か

          湿気、置き時計

          いつからだろう。

           いつからだろうか、風鈴の音が室内に入らなくなってしまったのは。  いつからだろうか、打ち上げ花火に気がつかなくなってしまったのは。  いつからだろうか、蝉が啼くの声が耳に入らなくなってしまったのは。  それもこれも全てこの酷暑による気だるさからだろうか。それとも私から来るものによってなのか。  私は田舎にいた頃縁側に寝転びながら、セミの大合唱の中をかき分け風鈴の音に耳を傾け、花火が上がるその時を一番星がやっと見えてきたという時点から空を眺めていた。 蚊取り線香はま

          いつからだろう。

          マティーニ、浮かぶオリーブ

           暗い木目調のバーカウンターで、マティーニに浮かぶオリーブがきらりと光る。 暗がりなバーで私は1人マティーニと対峙している。 カクテルグラスの細い足をそっと持ち、口に運ぶ。 そして一口飲む、今日はそう簡単には酔えないような気がした。 ネイルを確かめるとそれはやはり美しかったし、シルバーのリングとブレスレットはお互いに調和が取れている。 少し派手すぎるかもしれないと思ったこの深紅のワンピースドレスも、謙虚に私の引き立て役となっている。 セリーヌのキャンバストートから赤

          マティーニ、浮かぶオリーブ

          [小説] 陽光が月肌を撫でる。 (6)

          前回までのお話は.... .....................................  パンケーキの横にたっぷりと添えられた生クリームは、店員に運ばれながらふわふわと揺れる。 一様に小麦色に焼けたパンケーキの熱で、少しずつ溶け始めた生クリームはなんだか女の子のほっぺたみたいだった。  少しの間溶けていく生クリームを眺めながら、フレンチトーストが給仕されるのを2人で待った。 だけれども、なかなかくる気配がなかった。 生クリームも段々と元の形状が分から

          [小説] 陽光が月肌を撫でる。 (6)

          大江健三郎氏の『われらの時代』読了いたしました!! 退廃的で、あるいはエネルギッシュ。 希望、連帯、友情、渇望。 毎度のことながら私の語彙力の枯渇には呆れますが、とても良い作品でした。 楽しかったです。

          大江健三郎氏の『われらの時代』読了いたしました!! 退廃的で、あるいはエネルギッシュ。 希望、連帯、友情、渇望。 毎度のことながら私の語彙力の枯渇には呆れますが、とても良い作品でした。 楽しかったです。

          村上春樹はエモい。

           昔々と言った方がいいのかもしれないのだけれど、ティーンな女の子たち、要するにある種の退屈に生きる女の子たちにとって''エモい''っていうのは非常に重要な感性であるのだと思う。 誤解を恐れずにいうけれど、大抵のティーンは暇を持て余し退屈していると僕は考える。 僕がティーンであった頃、見知らぬ大人に退屈だろうと言われたら腑煮え繰り返っていただろうが、やはりあの頃の僕は暇を持て余していた。 退屈で暇だからこそ、''エモい''を五感いっぱいに感じる余裕があるのだろう。  そ

          村上春樹はエモい。

          [小説] 陽光が月肌を撫でる。 (5)

          前回までのお話は.... .....................................  改札へ向かう間、僕は今日いろんなことを考えすぎているなと懲りずに考えていた。  街中の広告と画面の中の広告について、この街の空気とグリンデルワルトの空気における光の減衰度合いの差異に関して、そしてまた広告について考えて、ついさっきまで女の子に関して考えていた。 あまりに精神世界に浸ってしまっている自分に、辟易する。 いかにもモラトリアム真っ只中みたいな、哲学世界に

          [小説] 陽光が月肌を撫でる。 (5)