古部 満敬

中世日本の武者をモチーフとしたイラストレーション、コミックを制作しています。

古部 満敬

中世日本の武者をモチーフとしたイラストレーション、コミックを制作しています。

最近の記事

童心に帰れなくなったが、中二病ではある。

小さい頃は怪獣映画が好きだった。思春期はガンダムが好きだった。その2大ジャンルは今も尚『大きなお友達』の心を離して止まない。 自分はというと、20代後半までは『大きなお友達』の時代も確かにあったのだが、なんか最近急速に興味が失せた。リバイバルや『まさかの続編』に何も感動できなくなった。 ガンダムの話をすると、往年のガンダムファンに不評な(?)『鉄血のオフルェンズ』は好きだ。あれはガンダムを出さなくてもシナリオが面白いと思う。つまり、『ガンダムだから』という理由だけで熱中した訳

    • 「時代考証」と「カッコよさ」の両立

      自分の場合、時代考証が好きだからこそ時代物の漫画を制作している。目指しているのは漫画的なデフォルメと時代考証の両立だ。時代物のアニメ、ゲームなどのエンタメ作品は、キャラクターの身なりを都合よく現代的なデザインに置き換えてしまう例が数多いが、原典をよく調べもせず生まれるデフォルメは自分の琴線に触れることは無い。 中世の装束や甲冑のシルエットは現代人から見ると野暮ったく見える事があるが、その野暮ったさの中にカッコよさを見出すのが自分の仕事だと思っている。そもそも、「カッコイイ」

      • 画面の重さと軽さ。誰のために描くのか。

        近年は画面の軽い、脳に負担をかけない漫画が求められているという話を聞く。確かに、SNSでバズる漫画も、メジャーな人気漫画も、その画面は軽やかで見易いものが多い。現代人は多くの情報に翻弄され、疲れている。故にオフの時に読む漫画で、脳に負担をかけたくないのだろう。 だが、自分が読みたいのはそういうのじゃない。リビドーに満ち溢れた濃い画面を作りたいのだ。 そもそも、プロとして何かに連載している訳でもない自主制作を、自分がやりたいようにやらずにどうするのか。誰かにやれと言われて

        • 地味な題材こそ漫画向き

          派手な鎧武者は一枚絵として映えるが、地味な雑兵は一枚絵で描いても絵としては映えない(マニア受けはするが)。 しかし一方で、派手な鎧武者からストーリーを考えるのは難しいが、地味な雑兵からはストーリーがどんどん湧いてくるというのは大いにある。 キャラクターは適材適所があるという事だろう。 地味な題材こそ漫画(もしくは映像)向きだと思う。(勿論、派手なヒーロー物というのもジャンルとしてあるが。) 自分はマニアックな人間なので、地味な題材をやりたい。1枚のイラストでは絵として映える

        童心に帰れなくなったが、中二病ではある。

          iPad Pro様様

          社会人になってから漫画を描く事は、時間捻出との戦いだ。何とか一話目を描き上げられたのは、メインツールにiPad Proを選んだからだ。今日も外出先でネームの作業に使った。 別に自分はApple信者ではない。本職ではモサッたいWindows PCや国産液晶タブレットを使っている。 しかしiPadが素晴らしいツールである事は揺らぎない事実だ。何時でも何処でも、隙間時間に本番の作業を始められる。 仕事帰りや外出先の喫茶店、ファミレスで本番の作業が出来る事は多大なメリットだ。夜

          iPad Pro様様

          『英雄』と『無名の兵(つわもの)』

          歴史好き、戦記好きな男子は馬に跨り立派な甲冑を着た英雄に一度は憧れるものだ。自分も例外ではなく、かつては軍記物語の英雄に憧れた。しかしそれは自己の思考を投影できるモチーフでは無いと気づいた。 キラキラした希望を抱いていた学生時代と違い、社会で揉まれてすり切れた自分には、「英雄」というのは疎ましい存在だった。クリエイティブ業界の「若き英雄達」のカゲで肩身を狭くしている自分にとって、英雄とはいつしか斃すべき対象、仮想敵となっていた。 そんな自分の屈折した心境を投影するにピッタ

          『英雄』と『無名の兵(つわもの)』

          漫画を描くきっかけとなった本

          中世武士の漫画を描きたいな。と思うきっかけとなった本の1つが近藤好和氏の「弓矢と刀剣」「騎兵と歩兵の中世史」である。この本は著者が1次資料、2次資料を元に中世武士の戦闘の実際を丹念に考察する内容で、読んでいるだけでワクワクした。 特にワクワクしたのは弓矢の威力と有効性。何故か日本人は刀剣の方が殺傷能力が高いと思いがちだが、戦場では弓矢が一番の脅威だった。そういうことがかなり丁寧に考察、解説されている。軍記物語の誇張的戦闘表現の中にも、それなりの根拠があるというのが著者の考え

          漫画を描くきっかけとなった本

          やり残した宿題

          絵を描く者なら一度は通る道かもしれないが、かつての自分は漫画家に憧れていた。美大に入った若き日の自分は、美術的な基礎を習得したうえで漫画家になるという遠回りな夢を抱いていた。だが到底無理だった。技術的にも精神的にも、漫画を描く土壌が全く育っていなかった。(そもそも覚悟が甘っちょろくて話にならなかった。)あれから十数年が経ち、いつも心に引っかかるものがあった。 学校を卒業しCGアニメーション業界で働き始めてからも一貫して「中世日本の武者」というテーマでイラストを描きつづけ

          やり残した宿題