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「時代考証」と「カッコよさ」の両立

自分の場合、時代考証が好きだからこそ時代物の漫画を制作している。目指しているのは漫画的なデフォルメと時代考証の両立だ。時代物のアニメ、ゲームなどのエンタメ作品は、キャラクターの身なりを都合よく現代的なデザインに置き換えてしまう例が数多いが、原典をよく調べもせず生まれるデフォルメは自分の琴線に触れることは無い。

中世の装束や甲冑のシルエットは現代人から見ると野暮ったく見える事があるが、その野暮ったさの中にカッコよさを見出すのが自分の仕事だと思っている。そもそも、「カッコイイ」の定義はさまざまだ。スポーツカーのスマートさや華やかさにカッコよさを見出す場合もあれば、アウトドア4WDのようなタフさ、実用性にカッコよさを見出す場合もある。自分の場合は後者の感性が強い。一見野暮、地味だ思われる形態が理にかなっていたり、実戦的という所にカッコよさを見出す。

地味で伝わりにくいカッコよさは、自分の目線を可視化して初めてそれが他者に伝わる可能性を帯びるのではないかと思う。その答えの1つがイラストであり、漫画である。

現在第2話を制作中の「兵死すべし」は地味な雑兵にスポットを当てた漫画でもある。多くは時代劇でモブ、雑魚のような役割を与えられる彼等の「実戦的」で「泥臭い」カッコよさを伝えたい。(もっとも、主人公の弓兵はチートスペックではあるが)雑魚にも雑魚の人生があるし、それは切り取り方によってはカッコ悪いものとも限らない。

「カッコよさ」の定義は人の数だけあって良いものなのだ。







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