「IT苦手」は経営者失格(1)デジタル化を避ける経営者の未来
こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
笑顔工学って何??という方は、ぜひ自己紹介をご覧ください!
本日から7回シリーズで「IT苦手」は経営者失格 という記事を書いていきます。経営者のITリテラシーの重要性について考えていきます。
IT屋さんのポジショントークにならないように気をつけつつ、このシリーズでは、デジタル化が進む現代において、なぜ経営者自身がITリテラシーを身につけるべきなのか、その理由と具体的な方法を掘り下げていきます。
「デジタル化なんて他人に任せればいい」「自分は苦手だから」という意識が、どれほど経営に致命的な影響を与えるか、ぜひ一緒に考えていきましょう。
第1話では、「デジタル化を避ける経営者の未来」についてお話しします。デジタル化が急速に進む現代、経営者が「IT苦手」と言い続けることは、企業の未来にとって致命的なリスクを孕んでいます。世界中の企業がデジタル技術を駆使して効率化や市場拡大を進める中、デジタル化に消極的な経営者が率いる企業は、競争力を失い、市場から取り残される可能性が極めて高いのです。
「IT苦手」が日本の停滞を招いた?
日本の「失われた30年」と呼ばれる経済停滞期を振り返ると、多くの企業がデジタル化への対応を遅らせた背景には、経営者自身のITリテラシー不足があるのではないでしょうか。「ITは専門家に任せるもの」という考えが広がり、経営者が自ら学び、意思決定に活かす姿勢を持たなかったことが、成長の足かせとなった可能性があります。
さらに、日本のIT業界では「丸投げ体質」が根付いていました。経営者がITに関する決定を外部ベンダーに委託し、内部の理解やリソース強化を怠った結果、企業はITベンダーに依存し、囲い込まれる構造ができあがってしまったのです。このような状況では、新しい技術や市場の変化に柔軟に対応することが難しく、結果として多くの企業が競争力を失いました。
この悪循環から抜け出し、再び成長を続けるためには、経営者自身がITリテラシーを身につける必要があります。ITリテラシーの向上は、経営者がデジタル技術を活用し、組織全体を変革していくための第一歩です。
そもそも、日本以外の国で、経営者が自信を持って「ITが苦手です」などというところは無いように思います。「私は経営者失格です」と言って歩くようなものだからです。
デジタル化を避ける経営者の未来
「IT苦手」という言葉を経営者が口にすることは、時代遅れどころか、自ら企業の未来を閉ざしていると言っても過言ではありません。特に国際的な競争の中では、経営者自身がデジタル技術を理解し、それを戦略的に活用できるかどうかが、企業の成長を左右する重要な要素です。
経営者がデジタル化を避けることは、次のような結果を招く可能性があります。これらは、企業の成長を妨げるだけでなく、最終的には存続すら危ぶまれるリスクにつながります。
市場競争力の急速な低下
従業員のモチベーション低下
技術的負債の蓄積
デジタル化を恐れる理由
では、そもそも何故、「IT苦手」と言う経営者が多いのでしょうか。その主な理由には以下のようなものがあるでしょう。
ITに対する苦手意識
特に年齢層が高い経営者ほど、「自分には難しすぎる」「若い世代に任せればいい」と考えがちです。しかし、この姿勢がデジタル変革を遅らせる最大の要因となっています。変化への抵抗
新しい技術や方法を取り入れることに対する心理的な抵抗感。これまで成功してきたやり方を変えることへの不安が根底にあります。投資コストへの懸念
デジタル化には初期費用や運用コストがかかることがあります。しかし、これを「コスト」ではなく「未来への投資」と捉える視点が欠けている場合があります。また、コストをかける方法しか知らない、という問題もあります。セキュリティリスクへの不安
サイバー攻撃や情報漏洩といったリスクへの懸念から、デジタル化に踏み切れないケースもあります。なんとなく怖い、というような科学的では無い考え方に立脚してしまっていることもあります。
これらの理由で、経営者が自ら学ぶことをせず、企業全体のデジタル化を後回しにしてしまっているのです。
デジタル化を避けることの代償
では、デジタル化を避け続けることにはどのような代償があるのでしょうか?以下に主なリスクを挙げてみます。
1. 競争力の喪失
デジタル化が進んだ企業は効率的な業務運営や迅速な市場対応を実現し、顧客体験を向上させています。一方で、デジタル対応が遅れた企業は市場から取り残される危機に直面しています。例えば、Amazonや楽天などが小売業界を席巻する中、オンライン対応が遅れた多くの店舗型小売業者は、閉店や事業縮小を余儀なくされました。
デジタル化の遅れは、単なる「やり方の違い」ではなく、企業の競争力そのものを奪うものなのです。
2. 優秀な人材の流出
ITリテラシーを軽視する企業は、特に若い世代のデジタルスキルを持つ優秀な人材から敬遠されます。現代の若手人材は、デジタルツールを活用してイノベーションを起こしたいと考えています。そのため、「デジタル対応が進んでいない」企業には魅力を感じず、むしろ積極的にデジタル技術を活用する企業を求める傾向があります。
情報処理推進機構(IPA)の「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度)」によれば、新しいスキル習得の必要性を感じるIT人材の割合は79.0%に上ります。デジタル化に消極的な企業は、こうした人材から敬遠され、人材確保が困難になる可能性があります。
3. 新規ビジネスチャンスの喪失
AIやIoT、ビッグデータなどの技術は、新しい市場やビジネスモデルを生み出します。しかし、これらの技術を活用しない企業は、新たなビジネスチャンスを逃してしまう可能性が高いのです。
例えば、日本の中小企業の中には、製品やサービスのデジタル化に着手せず、従来の方法に固執しているケースが多く見られます。その結果、AIを活用して効率化を図った海外企業に市場シェアを奪われる事態が発生しています。
経営者の姿勢が企業の未来を決定する
経営者がデジタル化に積極的に取り組む姿勢を示すことは、単なる選択肢ではなく、企業全体のデジタル変革を推進する原動力となります。それはなぜでしょうか?経営者がITリテラシーを身につける必要性を以下の観点から説明します。
1. 意思決定の質が経営者に依存している
企業の重要な意思決定は、最終的に経営者の判断にかかっています。デジタル化は単なる技術導入ではなく、ビジネスモデルや業務プロセスを根本から変革するものです。そのため、経営者がITリテラシーを欠いていると、以下の問題が生じます:
デジタル技術の本質を理解できず、適切な戦略を描けない。
専門家やIT部門の提案を精査できず、誤った投資や導入判断を下す可能性がある。
長期的な競争優位性を築くためのデータドリブン経営を実現できない。
特に、技術革新が進む現在の市場環境では、経営者が自らデジタル技術を理解し、組織のビジョンに統合する能力が求められます。
2. 「丸投げ」では限界がある
これまで日本の多くの企業では、IT部門や外部のIT企業にデジタル技術の導入を「丸投げ」する傾向がありました。このアプローチには以下のリスクが伴います:
外部企業の戦略に依存し、自社の競争力強化ではなくITベンダーの利益が優先される。
デジタル技術の理解不足から、経営者が意図しない方向へプロジェクトが進む。
内部でデジタル技術を活用する能力が育たず、組織全体が変革に対応できない。
経営者がITリテラシーを持つことで、外部依存を減らし、自社の課題に即した技術導入が可能になります。また、社内のデジタル文化を醸成するリーダーシップを発揮することができます。
3. 従業員の信頼を得るため
経営者が「IT苦手」と発言することは、従業員に以下のメッセージを与えかねません:
デジタル化への取り組みが軽視されている。
経営者自身が学ぶ意欲を持っていないため、従業員にもその姿勢が伝播する。
一方で、経営者が率先してデジタル技術を学び活用する姿勢を示せば、従業員の信頼を得られるだけでなく、組織全体の学びや挑戦の文化を育むことができます。例えば、ITツールの導入やデータ活用に関する説明会で経営者自らが参加し、理解を深めることは、社員の意識を変革する大きなきっかけとなります。
4. 人材確保の観点
特に若い世代の労働者は、デジタル技術を駆使できる環境を求めています。2021年のIPA調査でも示されているように、ITスキルを活かせる職場を転職条件に挙げる若手人材は増加傾向にあります。経営者がITリテラシーを身につけ、デジタル環境を整備することは、優秀な人材を引きつける大きな要因となります。
5. 市場競争におけるリーダーシップ
デジタル時代では、市場での優位性はスピードが重要です。AIやIoT、データ分析ツールの進化により、リアルタイムでの意思決定が求められる場面が増えています。経営者がこれらのツールを理解していなければ、競合他社に先を越されるリスクが高まります。
例えば、小売業界では、デジタル技術を活用して需要予測を行うことで、無駄を削減し、迅速に対応する企業が成功を収めています。これを実現するためには、経営者が技術の可能性と限界を正確に把握している必要があります。
6. 変化に対応できる柔軟性
技術の進化はますます加速しており、新しい技術が次々と登場しています。経営者が「IT苦手」としてこれを避け続けると、変化への柔軟性を失い、最終的には組織の成長が停滞する可能性があります。一方で、ITリテラシーを高めることで、変化を恐れず適応し、技術を競争優位性に変えることが可能になります。
まず経営者自身が行動しよう
デジタル時代において、経営者が「IT苦手」としてデジタル化を避け続けることは、企業の未来に致命的な影響を与える可能性があります。企業の競争力を保ち、新たなチャンスを掴むためには、経営者自身がデジタル変革の先頭に立ち、リテラシーを高める努力を怠らないことが重要です。
この姿勢こそが、企業全体に「変革への意欲」を伝え、未来に向けた組織の成長を促す鍵となるのです。
WU Executive Academyの「Digitalization and Leadership」という記事では、「デジタル変革は技術的課題ではなく、リーダーシップ課題である」と指摘されています。経営者自身がデジタル技術を理解し、それを戦略的計画に組み込む能力が求められているのです。
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