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雨の週末、豪雨の週末

この週末は、大雨が予想されている。
既に雨も風も強まっている。

実家に帰る予定だったが、やめた方がいいのではという話になり、
日を改めることにした。

雨というと思い出す、小さい頃の記憶がある。
「豪雨」だ。

***

ぼくの実家は、田舎の山間部の小さな町にある。
軒があり雨が侵入してくるのを防いでくれる

建てられてから40年近くが経ち、時の流れを感じる。
軒があり、雨の直接的な侵入を防ぐことができるつくりになっている。

雨が降っていても、ガラス戸をあけ、目を閉じて雨音に耳をすます。
なんだか、ぜいたくな気分だ。

大型台風が来たときに、近くの川が溢れるかもしれないという話が挙がった、ぼくは自発的に非難の準備を始めた。

数日分の着替えと、ミニ四駆と、本だ
それが、ぼくの世界に必要なモノだったのかもしれない。

***

晩御飯を食べ終えると、ごちそうさまでした、おいしかったです、
と、礼儀正しい少年は、自分の茶碗を流しに出し、台所を出る。

そして、これから始まる戦いに備える。
廊下にて、おにいちゃんと対決するのが日課になっていた。

対決する勝負の名前は「豪雨」
豪雨?

なぜそんなネーミングにしたのか、今となってはまったく思い出せないが、
「豪雨」のことは、おにいちゃんも覚えていた。

「豪雨」とは、
いったい何だったのか?

ルールは簡単、①廊下に座り、②紙風船を打ち合う(壁をつかってもよい)
たったこれだけのことに、なぜあれほどまでに熱狂したのか。

廊下に座り紙風船を打ち合ったところで、決着はつきそうにない。
どんなに強く打ったところで、所詮は紙風船、すぐにふわりとしてしまう

それにもかかわらず、決着はすぐにつく。
あんなにふわりとしているのに。

座っているからなのか、
微妙なところに落ちたり、ちゃんと打ち返せなかったり。

ぼくたちはいつまでも対決を繰り返した。
ルールを作り、加え、ふたりだけの謎のゲームが、深みを増す。

いつしか、
なによりも「豪雨」を楽しみにしている自分がいることに気が付いた。

あれから月日は流れた。
あの熱狂は、豪雨はどこへ行ってしまったのか?

この前、おにいちゃんに「豪雨」を覚えているか?と聞いたら、
なんかそんなのあったな、という感じだった。

ちなみにその前には、ファミコンの「チャレンジャー」の暴風雨のBGMが「なるとなると~」と聞こえるよね?と聞いたら、覚えていないと。。

こどもには、こどもにしかわからない世界がある。
そして、その世界がすべてになることもある。

それにしてもこどものクリエイティビティには驚かされる。
豪雨ってなによ?

さぁ、今週末は、みなさんも廊下に出て、
家族で「豪雨」をしてみませんか?

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