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イタリアの女の子と仲良くなる方法

フェスティバルのステージで見たことのないショーを、ストリートミュージシャンの老人と投げ銭を、バーで酔いどれステージを。

音楽の街トリニダーでぼくは、ステージで自分を表現し、言葉を話さぬ友達と革命に想いを馳せる。

再びの西へ

朝8時に車が迎えに来ることになっていた。同じ轍は踏まない。キューバの8時は?そう9時までだ。


7時50分

「オラ!アミーゴ!準備はどうだ?」

・・・はやいよ。。8時じゃなかったっけ?まだ準備できてないよ、ちょと待ってよ。

7時55分

「オラ!アミーゴ!そろそろどうだ??」

あわてて荷物をバックパックに詰め込み、家の前の車へと向かう。荷物を無造作にトランクにぶち込み、助手席に乗り込む。車内は、キンキンだ。

「ねえ、あなた日本人?」

うわっ、人が乗っていた。後ろの席に欧米系の友達が3人乗っていた。

「う、うん、キミは?」

「わー!やっぱり日本人だ!わたしイタリア人!日本語の勉強してるの!

興奮気味に話しかけてきたのはイタリア人の女の子、フェデリカ。友達と一緒にキューバを旅しているんだって。

「そ、そうなんだ、隣は、お友達?」

女の子2人に男1人。なんて贅沢な奴だ。こっちは何の華もない、高貴なひとり旅だぞ。。悲しくなんかないぞ。。

ぼくはハバナへ、彼女たちはビニャーレスヘ。一緒に行かないかと誘ってくれたが、ぼくはハバナのステージへ立つ約束がある。

「私たちはビニャーレスまで。」

「あぁ、いいところだね、美しい渓谷があるんだよね。」

「え?あなたは行ったことあるの?」

ぼくは当然、行ったことなどない。完全にネットの情報だ。行ってみたいという気持ちがないでもないが、先約がある。

ハバナで一緒にセッションをしたミュージックバンドと、トリニダーから戻ったら一緒にステージに立つ約束をしていたのだ。

正直、フェデリカとビニャーレスに行った方が楽しいに決まっている。。それでもぼくは、ステージに立つ。

「ところであなた、ジャパニーズ漫画くわしい?」

ぼくは、めちゃくちゃ詳しい、たぶん、だいたいわかる。フェデリカは、日本語を勉強していて、日本の漫画やアニメが大好きだ。

そんな日本へいつか行く、これが彼女の夢だ。日本はいったいどんなところなんだろう?

ハバナ経由でビニはャーレスヘ行くから、途中までは一緒。道すがら、日本の漫画やアニメについて、彼女は楽しそうだった。

日本の漫画についてたくさん教えてあげる。ノートの切れ端にお勧めの漫画やアニメを書いて渡す。

こんな日本の裏側で日本の文化をよく思ってくれているイタリアの女の子に会うなんて、天からの啓示かもしれない。

別れ際に5円玉を渡す。これは日本のラッキーコイン。あなたに幸福が訪れることを僕は望みます。

すると彼女はコインをくれた。ユーロのラッキーコインだ。相手の幸せを願う気持ちは国も通貨も超える。

いつか日本に行きたいな。そんな彼女の思いがかなうといいな。日本は、ぼくの生まれた国は、きっとキミを優しく迎えてくれる。

5円のご縁はつながっている。3年後、フェデリカが日本を訪れることになるのは、また別のお話。


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