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【読書感想文】名越康文先生の考えがギュッと凝縮された良書 『自分を支える心の技法』

適応障害で休職した私は、「ゲームさんぽ」という動画に浮上するきっかけをもらいました。
その「ゲームさんぽ」という動画で、精神科医の名越康文先生に出会いました。

そこから名越先生のyoutubeチャンネル「名越康文TVシークレットトーク youtube分室」を視聴し、先生の様々な言葉に救いや学びを得ました。

動画って手軽に見られるのが良いのですが、どうしても自分の中から流れて行ってしまいがちです。
視聴した際は素晴らしい学びを得た、と思えるのにいざ思い出そうとするとうろ覚えに…。
メモを取りながら視聴しても何だか頭に残ってくれないんです。
悲しいかな昭和生まれ。脳が動画対応していないみたいです。笑

名越先生の言葉を、きちんと自分の中に落とし込みたい。
そう思い、書籍『自分を支える心の技法』を購入しました。

率直な感想は

このギュッとコンパクトに詰まった内容が1000円しないって…先生太っ腹すぎやしませんか?

でした。
こちらの書籍、数多くの動画で、様々な表現でお話しされた内容のほとんどがカバーされていました。

ぜひいろんな方に布教すべく、感想文…というか、要約を残します。
新書判なので、とてもコンパクトに分かりやすく書かれています。かなりおすすめです。

いずれ名越先生の講演、行きたいなぁ。
対面でもオンラインでも、ワンオペ育児中の現状ではちょっと厳しい時間で。
自分1人のための時間が持てるのはもう少し先かな…。


感想文(要約文)

レッスン1 「心」とは何か

心は一瞬にして変わる。
仏教の経典にも「心の速度は光の17倍ある」と述べた経典が存在する。
(仏教は「東洋の心理学」。2000年以上も前からある仏教の体系は人の心の本質に触れると、先生は捉えている)

心に生じた感情は一瞬で変化を続ける。
心に生じた感情は「本物」ではない可能性が大きい。
=なんらかの方法で切り替えられる

レッスン2 人はなぜ怒るのか

赤ちゃんの初めてのコミュニケーションは泣くこと
=相手をコントロールする道具としての泣き声
赤ちゃんは不快=「怒り」をぶつけている
「怒り」をぶつける相手は「身内」

人間のコミュニケーションは怒りを媒介とした方法が根元になっている
=この事に気付くことが、心の問題に取り組むためのスタートライン

怒りと愛情欲求・承認欲求は親戚関係。
怒りが炎だとすれば、愛情欲求・承認欲求はガス。

哺乳類、特に人間は、長い子育て期間をもつ動物。
愛情欲求(ひいては怒り)にとらわれやすい。

過剰な愛情欲求は、人間の種として仕方のないことだと俯瞰的に考える。

レッスン3 怒れる人を礼賛する日本人

日本人の文化は「怒りに甘い」
奥底にあるのは愛情欲求。
例)ゴジラなどの怪獣映画、祟り神、SNSでの「炎上」

怒りは心を疲れさせ、能力を低下させる。
怒りを消すことで心が落ち着く。


「いま」は何十、何百という多要素が、網の目のように絡み合って出来ている。
怒りを消し、心が落ち着くことで、この「世界の網の目」が自然に理解できる。
理解することで視野が広がり適切なふるまいが出来るようになる。

レッスン4 「怒り」の正体を知る

仏教において人間が克服すべき煩悩は3つ。
「瞋(しん)」=怒り
「貪(とん)」=欲深さ
「痴(ち)」=無知、無情を知らないこと

「カッとする」「不安」「見下し」(自己卑下も含む)「暗い、どんよりした気持ち」は全てが「瞋」(怒り)

意識が不鮮明なときに生じる「自動思考」は、とくに寝起きに生じやすい。
生じていることにすら気づかないことがほとんど。

「自動思考」は脳が暴走して生じる。
脳は意識によるブレーキを踏まない限り暴走する性質がある。
暴走して生じる妄想のほとんどは、暗いもの。

レッスン5 「心の基準点」をつくる

「怒り」を観察し、「いま自分は怒っている」と認識するだけで変わることができる。
心に生じる小さな怒りを見つけるには「心の基準点 」をイメージできる必要がある。

「心の基準点」は「幸せなとき」「満ち足りたとき」。一瞬でも不安が消えてなくなったとき。
興奮状態ではなく、すべてのことに感謝したくなり、静かでありながら圧倒的な充実感を得たときを基準点にする。
例)お寺や神社にお参りして手を合わせたとき、旅先の景色に感動したとき、ご来光や夕日を目にしたときなど

「朝の過ごし方」が1日を決める。
心の基準点は大体朝のうちに決まってしまう。
目覚めたら10分以内に布団から出る。
まだボーっとしていたら、冷たい水で顔を洗ったり、熱いシャワーを浴びると良い。
覚醒することで、朝の自動思考を止める。

心は一瞬で変わるので、怒りを消し落ち着いた状態は10秒でも続けば上出来。
たとえ10秒でも落ち着いた心の状態をつくれれば、その状態を身体の奥底に定着させることができるようになる。
自分に生じた「怒り」を消して、明るさをつくるのは自分自身ととらえ、地道に実践していく。

レッスン6 対人関係をストレスにしない

「怒らせる人」もまた苦しんでいる
現代人は利便性を追求し、他者との軋轢をできるだけ遠ざけることで「発展」してきた。

自分自身のなかに小さく自己を隔離してしまうことで他者から撤退している=ひとつの時代性
自己像を強固に作り上げると、長期的にはコミュニケーションが困難になり、怒りに満たされてしまう。

怒りを消す努力を続けながら、「俯瞰で見る」視点を手に入れることで、他者から撤退しないようにする。

他者との関わりで学んだり、成長したりすることができる。
怒りの少ない状態で他者と交流することで「自分が変わる」

何かを相談したり、提案したりするときは、「あっさり、淡々と話す」のがコツ。
真剣に話そうとすると「物語」を作ってしまう。
話そうとすればするほど、自分の本心から離れていく。

レッスン7 自分自身と対話する

2000年以上前の世界で知の最前線にいた人たちは、瞑想を行い自己と対話していた。
「知」は「情報」(外部的な知)だけではなく、自己とも対話することで人間知としてのバランスが取れる。

正しい瞑想は、リラックスし、集中している状態。
(眠くはならない)
正しくできているかどうかではなく、集中出来ていることが大切。

瞑想が出来るようになっても、必ず現実世界に足場を置き続ける。
仏教の「色即是空 空即是色(しきそくぜくう くうそくぜしき)」という言葉にもあるよう、
「見えていないもの」(空)は「見えているもの」(色)に表れていると言われている。
目の前の世界(色)に対してどのような態度を取るかが、そのまま人の精神世界の質を問う。

瞑想をしたら、必ず日常生活への「揺り戻し」を行う必要がある。
瞑想の基本姿勢は、意識が「身体感覚」から離れて暴走しないようにする意図も含まれている。
現実世界を軽視せず、「他者性」を保ち他者とのコミュニケーションの環に居続けることで意識の暴走を止める。

レッスン8 「性格分類」を学んでストレス解消!

瞑想等、こまめに怒りを消す技法を身に付けた上で、対人関係をやりくりするのにプラスアルファのツールとして使えるのが性格分類。

性格分類は、感受性の違いをいくつかの類型に分けている。

※性格分類については、私がよく理解が出来ていない為割愛させていただきます。
性格分類にご興味がありましたら、ぜひ本書を読んでみてくださいね。

私がずいぶんと矛盾した人間なので、そもそもどれが本当の自分か分からず体感として落とし込めず、どうしても理解が追い付かないんです…。
講義が受けられるような機会があったらいいなぁ。

名越先生関連の動画感想文

ゲームさんぽの動画感想文



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