Seventeen's Summer 17歳の最終楽章Ⅱ 第14話
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そう言うと、期待に応えようと思ったのか、ケンシが平泳ぎを始めた。
「あー気持ちいい」
泳ぎ方は少しおかしいが、クロールでおぼれるよりはいいだろう。ユウキも肩まで水に浸かる。最初はちょっと冷たいと思っていたが、慣れるとそうでもない。一足早い夏だ。
「えい」
優里がユウキに海水をかける。優里の行動で水かけをするために海に入ったことを思い出す。ユウキもかけ返す。そこにケンシとヒメナも加わった。
4人で海水を掛け合うと、なんだかみんなで同盟を組んでいるような気分になっていた。
遠くの空で赤く染められた雲が、風に流されて平たくなっている。家路に着く鳥たちも長い連なりになって、赤く染まっていた。
「あんたさ、友達って女の子なの?それならそうって言ってくれないと」
ケンシとユウキが台所で晩御飯の準備を手伝っているとお母さんがケンシに話しかけた。優里たち女性軍はリビングでテレビを見ながら大声で笑っている。
「いけないんだ、男女の区別をしたら」
ケンシが食器を運びながらお母さんの目を見ずに答えている。ユウキたちのリクエストに応えて晩御飯は焼き肉になった。
「そういうわけじゃないけど、男の子4人分のお肉と野菜準備しちゃったからさ」
「あははは、大丈夫だよ、あいつらは男子より食欲あるから」
ユウキもそれを聞いてうなづいた。
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