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温故知新(58)日本ピラミッド 葦嶽山 ドコノ森 大石神ピラミッド 黒又山 五葉山 早池峰山 姫神山 千貫森 富神山 位山 日輪神社 冠山 尖山 皆神山 東谷山 久住山 多良岳

 岐阜県揖斐郡揖斐川町と福井県今立郡池田町との境界上にある冠山は揖斐川及び九頭竜川支流の足羽川の源流となる山で、冠山の名は、山頂部に露出した岩の形が烏帽子(えぼし)に似ていることに由来します。冠山と「太古日本のピラミッド」説1)のある葦嶽山(広島県庄原市)を結ぶライン上には、古くは「木山牛頭天王」と呼ばれた木山神社(岡山県真庭市)があり、ラインの近くには元伊勢内宮皇大神社や美作國一之宮中山神社があります(図1)。

図1 冠山と葦嶽山を結ぶラインと元伊勢内宮皇大神社、中山神社、木山神社

 冠山と葦嶽山を結ぶラインは、孝元天皇の陵墓と推定される備前車塚古墳スカラ・ブレイを結ぶラインとほぼ直角に交差します(図2)。備前車塚古墳と冠山を結ぶラインの近くには、兵庫県丹波市の白毫寺(びゃくごうじ)や加茂神社(福井県大飯郡おおい町)があり、備前車塚古墳とスカラ・ブレイを結ぶラインの近くには伯耆稲荷神社(鳥取県東伯郡琴浦町)があります(図2)。

図2 備前車塚古墳と冠山を結ぶラインと白毫寺、加茂神社、冠山と葦嶽山を結ぶラインと元伊勢内宮皇大神社、中山神社、備前車塚古墳とスカラ・ブレイを結ぶラインと伯耆稲荷神社

 備前車塚古墳とラス・ダシャン山を結ぶラインは、葦嶽山や八咫烏の伝説が残っている石見國二之宮 多鳩神社(島根県江津市)の近くを通ります(図3)。アレクサンドリアやロドス島ともつながっている葦嶽山は、これらのレイラインの指標のために造られた、自然の山を加工したピラミッドと推定されます。冠山も同様なピラミッドかもしれません。

図3 備前車塚古墳とラス・ダシャン山を結ぶラインと葦嶽山、多鳩神社

 図3の備前車塚古墳と多鳩神社を結ぶラインと、多鳩神社と藻岩山を結ぶライン、藻岩山と備前車塚古墳を結ぶラインで三角形を描くと、多鳩神社と藻岩山を結ぶラインは備前車塚古墳とアルテミス神殿を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図4)。藻岩山と備前車塚古墳を結ぶラインの近くには、三柱神社(兵庫県豊岡市)があり、備前車塚古墳とアルテミス神殿を結ぶラインの近くには奥宇賀神社があります(図4)。

図4 備前車塚古墳と多鳩神社を結ぶライン、多鳩神社と藻岩山を結ぶライン、藻岩山と備前車塚古墳を結ぶラインと三柱神社、備前車塚古墳とアルテミス神殿を結ぶラインと奥宇賀神社

 葦嶽山などの「日本ピラミッド」の発見者である酒井勝軍(さかいかつとき)1)によれば、ドコノ森(田子町・三戸町)もピラミッドで、並木伸一郎氏は、三内丸山人が東北ピラミッドゾーンにかかわっていると推定しています2)。ドコノ森とマラケシュを結ぶラインは三内丸山遺跡の近くを通り、オリンポス山とドコノ森を結ぶラインは、亀ヶ岡石器時代遺跡を通ります(図5)。オリンポス山とドコノ森を結ぶラインは、青森県弘前市にある弁天神宮と三内丸山遺跡を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図5)。

図5 ドコノ森とマラケシュを結ぶラインと三内丸山遺跡、オリンポス山とドコノ森を結ぶラインと亀ヶ岡石器時代遺跡、ドコノ森と弁天神宮、三内丸山遺跡を結ぶライン

 太陽礼拝所として古代から使われていたと考えられている大石神ピラミッド(青森県三戸郡新郷村)とパレルモを結ぶラインの近くに環状列石のある小牧野遺跡があり、オリンポス山と大石神ピラミッドを結ぶラインの近くに石神神社(青森市入内駒田)があります(図6)。大石神ピラミッドとパレルモを結ぶラインは、大和山不動滝と石神神社を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図6)。

図6 大石神ピラミッドとパレルモを結ぶラインと小牧野遺跡、オリンポス山と大石神ピラミッドを結ぶラインと石神神社、大石神ピラミッドと大和山不動滝と石神神社を結ぶライン

 秋田県鹿角市の黒又山もピラミッドといわれていますが、東北のピラミッドといわれる山々はレイラインで結ばれていることが知られています(日高見国と岩手の伝承の内緒話)。五葉山とマラケシュを結ぶラインの近くに、早池峰山姫神山靄山(もややま)があります(図7)。靄山山頂には、岩木山神社を勧請した脇元岩木山神社 が鎮座しています。磯前神社(秋田県山本郡三種町)と駒形神社(青森県三戸郡新郷村)を結ぶラインは黒又山を通り、五葉山とマラケシュを結ぶラインとほぼ直角に交差します(図7)。駒形神社と五葉山を結ぶラインの近くには、三戸大神宮(青森県三戸郡三戸町)があります(図7)。

図7 五葉山、磯前神社(秋田県山本郡三種町)、駒形神社(青森県三戸郡新郷村)を結ぶラインと黒又山、三戸大神宮、五葉山とマラケシュを結ぶラインと早池峰山、姫神山、靄山

 同志社大学の辻維周(つじまさちか)氏は、黒又山の東西南北に神社があり、南北ラインが西に5度ほど偏っていることを見つけ、さらに、アメリカのスミソニアン研究所が作成したソフトを用いて、時間軸を遡ると紀元前2,011年に5度の偏位が無くなることを見つけています2)。この頃に東北ピラミッドゾーンがつくられたと推定されますが、出雲大社、氣比神宮、鹿島神宮を結ぶ東西のラインの偏りとも一致しています。紀元前2000年頃の中期ミノア期クノッソス宮殿が建てられています。この頃のエジプトは、メンフィスを拠点とした古王国の権力が失われ、上流のテーベに成立した中王国時代(紀元前2,040年~紀元前18世紀頃)になっていました。

 姫神山とパレルモを結ぶラインの近くには、護國山 観音院 久渡寺(青森県弘前市)、岩木山日照田観音(高倉神社)(西津軽郡鰺ヶ沢町)があります(図8)。岩木山の「岩木」とは「魂の往来(いゆき)する山」に由来するといわれています3)。大石神ピラミッドと大台神社(秋田県南秋田郡井川町)を結ぶラインは、大湯環状列石の近くを通り、姫神山とパレルモを結ぶラインとほぼ直角に交差します(図8)。大石神ピラミッドは、図6、8の二つのレイライン、姫神山は、図7、8の二つのレイラインの指標となっています。

図8 姫神山、大台神社、大石神ピラミッドを結ぶラインと大湯環状列石、姫神山とパレルモを結ぶラインと護國山 観音院 久渡寺、岩木山、日照田観音(高倉神社)

 酒井勝軍は、葦嶽山と東北ピラミッドゾーンのつながりを示していますが2)、縄文時代の三内丸山遺跡と葦嶽山を結ぶラインは、大湯環状列石とオリンポス山を結ぶラインとほぼ直角に交差し、大湯環状列石とオリンポス山を結ぶラインの近くには、岩木山神社があります(図9)。

図9 大湯環状列石、葦嶽山、三内丸山遺跡を結ぶライン、大湯環状列石とオリンポス山を結ぶラインと岩木山神社

 千貫森(福島市飯野町)もピラミッドといわれますが、千貫森とパレルモを結ぶラインの近くには環状列石(山形県長井市)があり、このラインは、千貫森と同緯度にある彌彦神社と早池峰山を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図10)。彌彦神社と早池峰山を結ぶラインの近くには、成島三熊野神社・毘沙門堂(岩手県花巻市)があります(図10)。早池峰山は、二つのレイライン(図7、10)の指標となっています。

図10 千貫森、彌彦神社、早池峰山を結ぶラインと成島三熊野神社・毘沙門堂、千貫森とパレルモを結ぶラインと環状列石(山形県長井市)

 環状列石(山形県長井市)に比較的近い富神山(山形市)は端正な三角錐の山で、付近にはストーンサークルや古墳が見つかっています。環状列石(長井市)と富神山を結ぶラインは、熊野神社(熊野大社)(南陽市)とモン・サン・ミシェルを結ぶラインとほぼ直角に交差します(図11)。熊野神社(熊野大社)(南陽市)とモン・サン・ミシェルを結ぶラインの近くには、水上八幡神社(鶴岡市)があります(図11)。富神山もピラミッドかもしれません。

図11 熊野神社(熊野大社)、環状列石(長井市)、富神山を結ぶライン、熊野神社(熊野大社)とモン・サン・ミシェルを結ぶラインと水上八幡神社

 酒井勝軍に感化され、飛騨地方にあるピラミッドの発見・調査を精力的に行った上原清二は、位山(岐阜県高山市)、日輪神社(高山市丹生川町大谷)などをピラミッドとしています2)。日輪神社と伊吹山を結ぶラインは、岩屋岩蔭遺跡とパレルモを結ぶラインとほぼ直角に交差し、岩屋岩蔭遺跡、伊吹山、日輪神社を結ぶラインの近くに、三輪神社(岐阜県揖斐郡揖斐川町三輪)、巨石群のある位山、飛騨一宮水無神社(岐阜県高山市一之宮町)があります(図12)。

図12 岩屋岩蔭遺跡、伊吹山、日輪神社を結ぶラインと三輪神社、位山、水無神社、岩屋岩蔭遺跡とパレルモを結ぶライン

 富山大学の教授が実地調査の結果ピラミッドであると結論した尖山(とがりやま)(富山県中新川郡立山町)2)と冠山を結ぶラインは、位山とオリンポス山を結ぶラインとほぼ直角に交差し、これらのラインの近くには九頭竜湖(福井県大野市)、石仏と奇岩群(岐阜県高山市)、猿ヶ馬場山(岐阜県大野郡)、御堂山(石川県金沢市)があります(図13)。位山は、二つのレイライン(図12、13)の指標となっています。

図13 位山、冠山、尖山を結ぶラインと九頭竜湖、石仏と奇岩群、位山とオリンポス山を結ぶラインと猿ヶ馬場山、御堂山

 科学的調査の結果、人工造山(ピラミッド)であることが確認され2)、世界最大で最古のピラミッド説のある皆神山(長野市松代町)には、熊野出速雄神社や富士浅間神社があります。富士山とチャタル・ヒュユクを結ぶラインの近くに大山祇神社(岐阜県飛騨市)、日輪神社があり、モン・サン・ミシェルと富士山を結ぶラインの近くに聖山(長野市)、権現岳(山梨県北杜市)があります(図14)。富士山と皆神山を結ぶラインの近くに甲斐善光寺(山梨県甲府市)があり、皆神山と日輪神社を結ぶラインは、モン・サン・ミシェルと富士山を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図14)。

図14 富士山とチャタル・ヒュユクを結ぶラインと大山祇神社、日輪神社、モン・サン・ミシェルと富士山を結ぶラインと聖山、権現岳、富士山と皆神山を結ぶラインと甲斐善光寺、皆神山と日輪神社を結ぶライン

 酒井勝軍がピラミッドとする東谷山(名古屋市)とパレルモを結ぶラインは、尾張國二ノ宮 大縣神社(愛知県犬山市)や冠山の近くを通り、このラインは、沖の白石の近くを通る小野神社(滋賀県大津市)と日輪神社を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図15)。日輪神社は、三つのレイライン(図12、14、15)の指標となっていますが、冠山も三つのレイライン(図2、13、15)の指標となっているので山を加工したピラミッドかもしれません。

図15 東谷山、小野神社、日輪神社を結ぶラインと沖の白石、東谷山とパレルモを結ぶラインと尾張國二ノ宮 大縣神社、冠山

 「ピラミッド・ストーン」や「ペトログラフ(古代岩刻文字)」で知られる岐阜県恵那市の笠置山は、静岡市の登呂遺跡とギョベクリ・テペを結ぶラインの近くにあり、このラインは、笠置神社(恵那市)、岐阜県大和町三柱鳥居、九頭竜湖、白龍神社(福井県大野市)、永平寺(福井県吉田郡)の近くを通ります。また、このラインは、皆神山と豊受大神宮(外宮)を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図16)。皆神山は、二つのレイライン(図14、16)の指標となっています。

図16 登呂遺跡、豊受大神宮(外宮)、皆神山を結ぶライン、登呂遺跡とギョベクリ・テペを結ぶラインと笠置山、笠置神社、岐阜県大和町三柱鳥居、九頭竜湖、白龍神社、永平寺

 ピラミッドともいわれる九州の久住山多良岳と葦嶽山をラインで結び三角形を描くと、多良岳と葦嶽山を結ぶラインは、久住山とマラケシュを結ぶラインとほぼ直角に交差し、久住山とマラケシュを結ぶラインの近くには、宗像大社(辺津宮、中津宮、沖津宮)があります(図17)。多良岳と葦嶽山を結ぶラインの近くには、須佐能袁神社(福岡県久留米市)、英彦山神宮(福岡県田川郡添田町)があり、葦嶽山と久住山を結ぶラインの近くには八幡竈門神社(大分県別府市)があります(図17)。葦嶽山は、三つのレイライン(図2、9、17)の指標となっています。

図17 久住山、多良岳、葦嶽山を結ぶラインと須佐能袁神社、英彦山神宮、八幡竈門神社、久住山とマラケシュを結ぶラインと宗像大社(辺津宮、中津宮、沖津宮)

文献
1)酒井勝軍、素波英彦(編) 2020 「太古日本のピラミッド」 復刻新訂版 知玄舎POD書籍
2)並木伸一郎 1998 「不思議発掘! 縄文超文明と日本ピラミッドの謎」 二見書房
3)荒俣 宏 1997 「神聖地相学世界編 風水先生レイラインを行く」 集英社文庫