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ウエストサイドストーリー 光と影

相手の姿をチラッと見ただけなのに、なぜか気になりその姿を追い、視線が絡めば、もう相手しか視界に入らない。どんな喧騒の中に佇んでいても、相手の存在に胸弾む自分の鼓動だけしか耳に入らない。そんな一目惚れをしたのは、いつの頃か…

まばゆいばかりの恋のときめきと高揚感…期待に満ちて映画館を訪れた。

『ウエストサイドストーリー』2022年公開アメリカ映画。スティーブン スピルバーグ監督。原作は1957年ブロードウェイ初演作品。アーサー ローレンツ作。レナード バーンスタイン作曲。スティーブン ソンドハイム作詞。イギリスの劇作家、ウィリアム シェイクスピアが1957年前後に書いた戯曲『ロミオとジュリエット』をベースに対立する2つのグループに翻弄されながらも禁断の愛を交わす恋人たちの悲劇。1961年に映画化され、今回、スピルバーグによるリメイクされたミュージカル映画。ポーランド系移民のグループ”ジェット”の元リーダーでトニーことロミオ役に、『ベビードライバー』のアンセル エルゴート。プエルトリコ系移民のグループ”シャーク”のリーダーの妹、マリアことジュリエット役に、3万人のオーデションから抜擢され、ハリウッド映画デビューした、レイチェル ゼブラー。

なんと言っても、キレッキレッのダンスに拍手をしたい❣️オープニングから、キレの良いダンスに惹きつけられた。躍動感みなぎるパワフルなダンス❣️実力派のダンサーが投入されていると思われる。

予習として1961年版の映画を事前に鑑賞していた。様式美や醸し出す雰囲気が独特のものがあって、これはこれで素晴らしいが、ダンサーの質が格段に上がっていて、歌も踊りも素晴らしい❣️

数々の名曲オンパレードのナンバーの一曲一曲が演出により、際立っていて心がときめいた。

スピルバーグ監督らしく、光と影の移り変わる様子、バックから差し込む光、影の落とし方が秀逸。水溜りや、窓に反射する光と色のグラフィック的な美しい画像。1950年代のニューヨークのポップな風景を背景に太陽の下、明るい日差しが眩しい中での撮影がされていて、1961年の暗い夜の風景が多用されているところと対をなしているように思えた。

センスの良い色使いと質感の衣装に、ショップの小物遣い。いちいちセンスがいい。

『ロミオとジュリエット』を彷彿させる、バルコニーのシーンを非常階段で、教会で愛を違うシーンをまるで中世を思わせるようなステンドグラスとアーチ型な柱が美しい場所で、たった数日の熱く儚い恋の盛り上がりをキチンと演出されていた。『ロミオとジュリエット』といえば、やはりこのシーンは必要不可欠!満足です。

また、貧困や差別を感じながらも、人種の誇りを歌い上げるナンバーに心打たれた。

急増する移民問題と切り離せない社会問題。対立している場合ではなく、今こそ力を合わせて取り組んでいきましょうと、提案されているようで、今時のメッセージ性を感じた。

『ロミオとジュリエット』ならば、最後はこうなるのでは…と予測しながも、予想を裏切られ、なるほどと納得しながも、やっぱり涙を流してしまった。

『ロミオとジュリエット』の対立していたロミオのモンターギュ家とジュリエットのギャピュレット家は、後に2人のことの真相を知って悲しみ、両家は和解したとされる。映画のラストもそうであることが示唆されているシーンであると思いたい。

スピルバーグ監督の初のミュージカル映画作品。監督が違えば、こんなにも違った作品になるのだと驚き、また、1961年版で未消化な部分が綺麗に咀嚼されクリアになっていることも嬉しい演出だった。


恋に憧れ、恋の衝撃に我を忘れ、恋の力でみんなの争いを止めようと、恋に命を捧げる。恋って、凄い力がある。そんな恋に今はまた、憧れている。



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