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心の旅 やり直し

 会いたいと思う人がいる。もう何年も会っていない人なのに、ほんの少し思うだけで、たまに凄く会いたくなる人がいる。

 あの時、急に別れを告げられた。あの時、それは晴天の霹靂のような印象を私に与えたが、彼の中では積み重なった思いの中で出した答え。実は私自身も、とうに分かっていた結末。いつかその時が来るだろうと思っていた別れ。

でも、初めて瞳が合った瞬間から、私は惹かれている。今どんな関係でいても。それは変わらない。もし今、彼に会うことがあるのであれば、やり直したいことがある。

”やり直し”と、言うテーマに、ピッタリな映画を見た。

『心の旅』1991年公開アメリカ映画。マイク・ニコルズ監督。Jj・エイブラムス脚本。ハンス・ジマー音楽。ハリソン・フォード主演。アネット・ベニング共演。家庭をかえりみない仕事一筋の弁護士が突然の事故によって、身体的不自由と記憶障害を患う。機能訓練士や家族のサポートによるリハビリ効果で段々と普通の生活を取り戻す主人公。今まで、ないがしろにしてきたことを振り返り、生き方を変えてゆく姿を描く。

ハリソン・フォードと言えば、『スター・ウォーズ』の野生的なハン・ソロや『インディージョーズ』も知れないが、私にとっては、キャリスタ・フロックハートの夫になったことが衝撃的だった。彼女は私の大好きなTVドラマ、1997年から2002年の第5シーズン迄放映された『アリーmy love』の主人公を演じた女優さんだ。ドラマの主人公は、夢見がち。昔の彼氏に未練たらたらで、現実はバリバリ仕事をこなすし、同僚とバーに繰り出すけど、たまらなく1人で、夜に通りを孤独を抱えて歩いてる。ヴォンダ・シェパードの曲が切なくて、主人公の心情に重なりあって…アルバムを2枚、買ってしまった。とっても、はまっていたドラマの主人公の夫になった方が私にとってのハリソン・フォード。

アネット・ベニングは『幸せの答え合わせ』2019年公開アメリカ映画、に出演していた。『心の旅』では、ハリソンが家庭をかえりみない暴君で、アネットは夫に献身的な妻の役だったが、『幸せの答え合わせ』では、アネットが夫の心を長年、踏み付けていることに気付かず、熟年離婚をされる役を演じていた。若い時も、年を重ねても可愛らしい女優さんだ。

『心の旅』では、離婚寸前のすれ違い夫婦が、夫婦として、家族としてやり直す姿が描かれていて、ハートウォーミングだ。1990年代の懐かしいファッション、懐かしい価値観、懐かしいNYの風景が見られた。

”やり直し”…

もし、彼ともう一度会えたら、先ずは再会出来たことを喜ぼうと思う。それが1番。会いたい人にまた会えると言うことは貴重だと思う。

多分、時折連絡が来る彼。彼もたまには会いたいと思っているに違いない。その時はそのうち、やって来ると思っている。

彼が守りたいものと私が守りたいものは同じなんだけど、対象が違うのだ。重なり合うことはない。もしまた、私が求めたとしても、彼が私に与えられるものは、その一部でしかないことをお互いに知っている。ないものねだりはお互いに苦しくなるだけだ。

だから、もし、また会えたら、もっと自由でいたい。彼は元々自由な人。私も自由でいたい。

自由に普通に会える時に会い、笑えたらいい。

自分の幸せは、自分が決める。きっと私が望むような形で、私の側にずっーと寄り添ってくれる人は、いつのまにか自然に側にいる人たんだと思う。

今は、何にも、こだわらず、とらわれず、自由でいようと思う。私は今、結構幸せなのだ。

これが私の”やり直し”。




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みと吉 禮子 (みとよし れいこ) 絵本作家
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