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朔の話 07┃つらくて楽しいオンライン配信

コロナ禍における起死回生の新規事業として始めた日本酒の事業「朔(さく)」でしたが、販売に苦戦する日々でした。


周囲にはずいぶんと心配をかけてしまいましたが、やっている本人は、楽しんでやっていました(感覚が麻痺していた、ともいえる)。なぜかというと、これまで時間をかけて学びたいと思っていたこと、日本の文化について、学ぶ機会になったこと。

オンライン体験を配信するにあたって、参加する人にも「予習の機会」が必要だろうということで、配信の前週末に、1時間程度の「チュートリアルイベント」を、これまたオンラインで実施していました。これが、実は楽しかった。


オンライン体験の配信も、毎回緊張しましたが、楽しかったです。

01「神道」の回では、住吉神社の林さんに「神道における日本酒」について教えてもらいました。正式参拝をオンラインで配信するという不遜なこともやりました。
02「農業」の回では、藤本さんに山田錦のことをレクチャーしてもらったあと、田植えする様子を配信しました。
03「能楽」の回では、能楽師の藤井さんと江崎さんに、酒と芸能が、神さまに奉じるという点で値を同じくすることなどを教えてもらいました。能楽堂は眼鏡が禁止なので久しぶりのコンタクトレンズでした。
04「鍛冶」では、刀鍛冶の明珍さんから、刀づくりと酒づくりの共通する点は「神さまとともにモノをつくること」と教えてもらいました。鍛冶場にも神棚があり、刀鍛冶は白い衣をまとって刀をつくります。
05「芸術」では、漆芸家の江藤さんから、漆について教えてもらいました。縄文時代から日本人とともにあるマジックリキッド「漆」、接着や塗装など多岐にわたる用途があります。オンライン配信では金継ぎの様子を配信し、欠けた器の無い参加者その場で大胆に叩き割っていました。
06「百姓」の回では、農家/日本酒のブランド「SEN」オーナー/コンセプトショップ「ten」オーナーなど、多彩な顔を持ち、まさに「百姓」の名古屋さんに、そのユニークな経歴の経緯などをお聞きしました。
07「酒造」の回では、朔を醸造していただいている富久錦さんから、オンラインで酒蔵見学を実施しました。
08「書道」の回では、書道家の藤田さんに、「習字」と「書道」の違いを教えてもらいました。書道とはアートであり、字を綺麗に書くこととは異なります。
09「陶芸」の回では、藤村さんに、朔の土を使って作陶をしてもらう様子を配信しました。「朔の酒器」はそれから毎年、カタチを変えて焼いてもらっています。
10「料理」姫路の名店「日本料理 淡流」の中江さんからは、播磨の食材を使って至高の料理をつくる想いなどを教えてもらいました。ここにお店を開かれる前、酒蔵に修行しに行っていた方で、真剣勝負されていることが伝わってくる料理です。とても美味しい。


何とか参加者を増やそうと、予告動画なども作ってもらいました。動画は、基本的にはSASIの石本さんにお願いしていました。彼、いいのを作るんですよね。


それは「学びなおし」でありました。コロナ禍で、時間ができたことをいいことに、「新規事業の立上げ」を口実に、お酒を買ってくれるお客さんやオンライン体験に参加してくれるお客さんの求めるものは、さておき、僕は「学びなおし」をしていたのです。それは販売に結びつかないはずです(そんな自分勝手な「商品」を購入していただいたお客さん、応援してくれた知人友人には心から感謝しています)。

(今こうやって、noteに当時のことを書きとめると、よくわかります。ふとしたことで書き始めたこのnoteですが、自分を客観的に見つめる、いい機会を得られたと思っています。)

それはさておき、苦戦していた初年度の「朔」、それなりに「こうすればいいのでは」と思う改善点もあり、2年目も継続することにしました。まず最初に取り組んだのは、「クラウドファンディング」でした。


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