食べるサボテン「太陽の葉」に会いにいく
週末は愛菜家 vol.20
全国でも超レアというか、おそらく日本でも数えるほどしかない「食用サボテン畑」が愛知県・春日井市にあると聞き、さっそく取材に行ってきました!
夏真っ盛りのこの時期に太陽の光を燦々と浴びて育つブランドサボテン「太陽の葉」に会って、食材としての魅力を探りながら多彩な料理を楽しみました♪
サボテンを食べるまち「春日井」
春日井でサボテン栽培が広がったのが1959年の伊勢湾台風の後。
倒壊した果樹畑の代替として農家さんが観賞用サボテンを育てはじめたそう。
そして花木生産日本一を誇る愛知県の栽培技術を駆使して、これまでは挿し木で増やしていたサボテンをタネから育てる「実生栽培」に大成功!
春日井は観賞用のサボテン栽培日本一に駆け上がっていきました。
その後、サボテン人気の落ち込みや後継者問題で生産者は少なくなりましたが、まちおこしの起爆剤として食用サボテンに目を向け、認知度がグングン高まっているそうです。
春日井市の子ども向け冊子には「サボテンづくり」の取材記事が!
学校給食にもサボテン料理が出るそうで、食用サボテンが身近な存在となっています。
はじめに訪れたのが、JR勝川駅から5分ほどの商店街にある春日井サボテンのラボ&ショップ「こだわり商店」さん。サボテン人形がお出迎えしてくれます。
玄関には観賞用のサボテンが!
さらに、店内には春日井サボテンのイメージキャラクター日丸(にちまる)、春代、井之助が佇んでいましたよ♪
「こだわり商店」を切り盛りしているのが、店主の出口美紀さん。
広報やブランディング、販売などを美紀さんが手がけ、ご主人の元彦さんがサボテンを育てています。
さっそく、食用サボテンを試食させていただけることに!
こちらのサボテンはうちわサボテンのバーバンク種。肉厚でトゲが少なく、食べやすい品種だそう。本当に“うちわ”みたいな形状ですね♪
サボテンって実は、がん予防をはじめ高コレステロール症予防、動脈硬化症予防、抗アレルギー作用、ダイエット効果、整腸作用、疲労回復・精神安定などが期待できるスーパーフードなんです!
出口さんが無農薬、そして化学肥料にも頼らない露地栽培で大切に育てたサボテンは「太陽の葉」というブランド名で販売中。
自社ECサイトや無印良品イーアス春日井店で販売され、食べるサボテンを体験できるイベントも開催されています。
断面まで鮮やかな黄緑色!
トゲと皮は取り除いて下処理し、そのままお料理に使ったりエキスや粉末にしてサボテン加工品にしたりと、活用の幅が広がっています。
春日井市では、まちを盛り上げるご当地メニュー食材として30件以上の飲食店や食品会社で使われているそう。
スライスすると、見た目はアスパラに近いかも。
箸でつかんでみるとトローリとした粘りが出て、オクラのような感じもあります。
気になるお味は・・・
苦味やえぐみがあると思いきや、ノイズになるような風味は皆無!
思いのほか酸味があり、食べた後にさっぱりとした爽快感があります。
しいていえば、味は青トマトの雰囲気に似ているかも・・・
見た目のインパクトに比べ、すごく繊細な味わいです。
世にも珍しいサボテン入りのハンバーガーも試食させていただきました!
こちらは地域のパン屋さん「モンシェル」が開発した韓国風サボベジミートバーガー。大豆を使ったベジミートにコチュジャンがマッチして、そこに爽やかなサボテンの酸味が加わっておいしい!ビーガンメニューですが満足感も充分です。
出口さんが開発したキャンディー「なめるサボテン」も販売中。
「心のトゲをそっと抜く」というキャッチフレーズが素敵ですね✨
薬袋を模したパッケージは、裏面にもこだわりが感じられます。
個包装で食べやすく、見た目もサボテンみたいでかわいいですね♪
さぼてんのラーメンも発見!
サボテンパウダーを練り込むことで、きれいな黄緑色の乾麺に仕上がっています。
サボテンエキスが入った炭酸水も!
甘味料が入っていないので、とってもスッキリ爽やかな飲み口です。
カメが恩返しした話
人間が食べてもおいしい食用サボテンですが、リクガメにも大人気だそうで(笑)
出口さんは「食べるサボテン かめはめ葉」も展開されています。
ある台風の日、出口さんは道路で立ち往生していたカメを助けたそう。
そして数年後の台風の日、あまりの強風に太陽の葉が(うちわサボテンだけに)なぎ倒されてしまったんですって。
想定外の事態にSNSで「助けてください!」と発信すると、なぜか全国のリクガメ愛好家さんから注文が殺到! そこではじめてサボテンがリクガメの大好物だと知ったそうです。
助けたカメが恩返ししてくれる形で事業に新たな柱が生まれ、今やカメ界隈では「かめはめ葉」が超有名な存在だそうです!
いざ、太陽の葉が待つサボテン畑へ!
「こだわり商店」から車を走らせること30分ほど。
田園風景の中にサボテン畑が現れます!
維持管理ができなくなった休耕田を借りてサボテンを育てているということで、SDGsにもつながっていますね。
強風や害獣を防ぐ網には「食用サボテン栽培中」の文字が。
そして網の向こうに、たくさんのサボテンがすくすくと育っています。
人の背丈ほどもある高さと、顔よりも大きいうちわサボテン。
しっかりと根付いたものは、まるで木のような質感になっています。
有機肥料などを使って元気な土にすることで、より良い品質のサボテンができるんですって。
「太陽の葉」の新葉がたくさん出ています!
実は、サボテンの葉は私たちが「トゲ」だと思っていた部分だそう。
そして食用になるのは正確には「茎」の部分。でも、あえて「太陽の葉」という名前でブランディングしているそうです。「太陽の葉」ってとても直感的で素敵なネーミングですよね♪
さぁ、太陽の葉を食べてみよう♪
「太陽の葉」を分けていただき、サボテンクッキングの開幕です!
まずは本場のメキシコ料理から✨
タコスの皮「タコシェル」と新鮮具材をたっぷり用意して、家族でタコスパーティーを開きましたよ。
太陽の葉の鮮やかな緑色がいいですねー♪
そしてパーティーピザのトッピングにも活用しました。
爽やかな酸味がアクセントになっておいしゅうございました♪
翌日のランチには、いただいた「さぼてんのラーメン」を調理。
付属のスープはとんこつ味。麺にコシもあって◎
さらに別の日には、鶏肉とオリーブオイルでソテーしてみました。
熱を加えると独特のとろみが強まるので、中華飯にしてもおいしそう♪
なんと、和食にも合う食用サボテン
取材中に出口さんから聞いていたのが「太陽の葉は和食にとても合うわよー」というコトバ。たしかにインパクトある見た目とは違って繊細な味なので、和食と相性が良さそうです。
スライスして冷奴に乗せると、爽やかさがアップして見た目にも美しい!
とろみを活用して、ネバネバ丼もこしらえてみました!
暑~い夏を乗り切るメニューとして最適ですね♪
なめこと合わせてお味噌汁もつくってみましたよ。
とろみとシャキシャキ感の両方が感じられてこちらもおいしかったです。
メキシコ料理はもちろん、洋風にも和風にもアレンジできる「太陽の葉」。
下処理で皮をむくのが少しだけ面倒ですが、えぐみや苦味はなくとても扱いやすい食材でした。しかも健康効果が期待できるパワーフード!!
料理好きのひとりとして、すごくポテンシャルを感じるユニークな存在だと思いました。
「太陽の葉」のフレッシュリーフは勝川駅近くの「こだわり商店」さんや「無印良品イーアス春日井店」さんで購入できるほか、ウェブサイト(https://taiyonoha.jp)のオンラインショップでもお買い求めいただけます。みずみずしい新芽のフレッシュリーフは9月までの限定商品ということですので、ぜひぜひお試しくださいね✨