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【思考の解像度アップ】数値化クイズに挑戦しよう!


皆さん、こんにちは!
ドラゴン桜塾塾長の永田耕作です。 

突然ですが、皆さんは「数値化」という言葉を耳にしたことはありますか?
 
数値化とは、情報やデータを数値で表現することで、処理しやすくするプロセスを指します。
 
最近ではこの「数値化」がビジネスや日常生活にも非常に役に立つことが示され、数値化を重要視する風潮が広まっているのです。
 
この「数値化」は難しそうに見えて、実は意外とシンプルです。そのことを実感してもらうために、まずは皆さんに一つ問題を考えてもらおうと思います。 

・クエスチョン①

スーパーに行くと、この2種類の卵が売られていました。

・6個入りで200円の卵A
・10個入りで300円の卵B 

このとき、あなたはどちらの卵を選びますか? ただし、卵の賞味期限はどちらも2週間(14日間)であり、卵の品種や大きさは同じとします。
 
また、あなたは普段卵を平均して2日間に1個のペースで消費していると仮定します。

さて、いかがでしょうか。この問題、値段的には卵Bを買った方がお得です。
 
卵Aと卵Bの1個あたりの値段を計算すると、卵Aは33.333…となるのに対し、卵Bはぴったり30円となるからです。
 
そのため、「今回は迷うことなく卵Bを選ぶ方が合理的なのではないか」と考える人も少なくないでしょう。
 
しかし、実は1つ大きな落とし穴があります。
 
それは賞味期限です。
 
例えば、このクエスチョンの仮定において、卵Bを買ってから普段通りのペースで卵を消費していくと、賞味期限が切れるまでの2週間の間で7個しか卵を消費できません。
 
よって、残りの3個は消費期限が切れた後に使うか、普段よりも早いペースで卵を消費することになります。
 
つまり、一見するとお得な「卵Bを選択する」という行為は、「わざわざ100円多く支払って、余分な卵を買う」のと同じだと言えるのです。
 
そこで、どちらの選択が合理的かを考えるために、値段だけでなく「効用」という数値を導入しましょう。
 
「効用」とは満足度のようなものであり、今回は卵を消費する際の満足度をパーセンテージで表してみることとします。 

・賞味期限が切れるまでに、普段通りのスピードで消費された卵の効用を100%
・賞味期限が切れるまでに、普段より早いペースで消費された卵の効用を50%
・賞味期限が切れてから消費された卵の効用を30%
と仮定する。 

この仮定において、卵Aを選んだ場合の効用は
100%×6 = 600%
となります。
 
それに対して、卵Bを選び、2週間で8個消費し、残りの2個を賞味期限が切れた後に消費した場合の効用は、
100%×7 + 50%×1 + 30%×2 = 810%
となります。
 
よって、それぞれの選択において、「100円当たりで得られた効用」で比べてみると、

200円の卵Aを選んだ場合は、600% ÷ 2 = 300%
300円の卵Bを選んだ場合は、810% ÷ 3 = 270% 

となるので、卵Aを選んだ場合の方が良いということになるのです。
 
この計算はあくまで一つの仮定だけに基づいているので、普段の卵の消費量や卵を早いペースで消費した時の効用の減少量に応じて、最適解はもちろん変化します。
 
ただ、その判断基準が単純な個数当たりの値段だけにならないのは、紛れもない事実と言えるでしょう。
 
このように、卵を買うというような日常の場面でも「数値化」は非常に役に立つのです。
 
さて次は、ビジネスの場面での「数値化」を考えてみましょう。
 
早速ですが、この問題を考えてみてください。 

・クエスチョン②

あなたは上司から、次の給与の支払い方法のうち好きなものを選択して良いと言い渡されました。

さて、あなたはこのうちどれを選択するのが、一番もらえる金額が多くなるでしょうか? 

【プランA】
給与支払いは1年に1回、初回は120万円、1回の支払いごとに給与は10万円上がる
【プランB】
給与支払いは1年に2回、初回は60万円、1回の支払いごとに給与は3万円上がる
【プランC】
給与支払いは1年に5回、初回は20万円、1回の支払いごとに給与は1万円上がる。
ただし、自ら退職しない限り、この支払い方法が強制的に変わることはないものとする。

さて、皆さんはどれが一番いいと思いましたか?
 
実はこの問題、かなり難しいです。以下のように考えた人が多いのではないでしょうか? 

プランAとプランBを比べると、初回の給与は1年で120万円と、半年で60万円であるため、1年当たりの給与で考えれば同じになる。そして、昇給の度合については、プランAが1年で10万円上がるのに対して、プランBは1年で「3万円×2回」の6万円しか上がらないため、長期的に考えるとプランAの方がもらえる金額は大きくなるはずだ。

プランCはそもそも、初年度からもらえる金額が少ない。なぜなら、1年で5回、1回あたり20万円であればかけ算しても100万円にしかならないからだ。プランA、プランBは初年度で120万円もらえるため、20万円少ないことになる。そして、昇給の度合についても、プランCは1年で「1万円×5回」の5万円しか上がらない。よって、初回の金額も少なく、昇給の度合も低いプランCは明らかに選択肢からは除外される。

実は、僕も最初はこのように直感的に考えてしまいました。また、このドラゴン桜noteマガジン編集長の青戸さんも、このクイズに対して直感ではプランAではないかと予想していました。
 
しかし実はこの説明、全くもって正しくないのです。実は正解は、この説明の真逆になります。

ではなぜそうなるのか、ここから説明していきましょう。
 
プランA、B、Cそれぞれについて、まずは「初年度」にもらえる給与がどれだけになるかを考えてみましょう。
 
プランAは、書いてあるとおり初年度の給与は120万円になります。

プランBは、「60万円×2回」で120万円になると思いがちですが、2回目の支払いは昇給されて63万円になるため、「60万円+63万円」で123万円になります。

プランCは、昇給を考えると5回の支払いがそれぞれ20万円、21万円、22万円、23万円、24万円となるため、全て足して110万円になります。
 
まずこの時点で、プランAが一番最適な選択ではないのです。最初の1年目だけを考えれば、最善策はプランBを選ぶことになります。
 
もっと興味深いのは、2年目以降です。プランA、B、Cそれぞれの、「2年目」にもらえる給与を考えてみましょう。
 
プランAは、10万円昇給するため130万円になります。

プランBは、1年目の2回目の支払いの「63万円」からさらに3万円昇給して、2年目の1回目が66万円、2回目が69万円となるため、「66万円+69万円」で135万円になります。

プランCは、5回の支払いがそれぞれ25万円、26万円、27万円、28万円、29万円となるため、全て足して135万円となります。

皆さん、お気づきでしょうか?
 
昇給の度合いが、プランA<プランB<プランC、の順に大きくなっているのです。
 
1年目は一番もらえる給与が低かったプランCが、2年目ではプランBと並んで一番高くなっています。
 
例えばプランCであれば1年で5万円しか昇給しないように一見思われますが、その「5万円の昇給」が「5回の給与支払い全て」に反映されるので、最終的に「5万円×5回」で25万円の昇給になり、プランAを大きく上回るのです。
 
同様に計算していくと、プランA、B、Cそれぞれの1年目から5年目までの給与は、以下の通りになります。3年目以降は、1年ごとの昇給が多いプランCがどんどんと給与を伸ばしていきます。 

したがって、3年以上勤続しない想定であればプランBを、4年目以降も勤続する想定であればプランCを選ぶことが、一番合理的だといえます。

直感で一番お得だと思ったプランAは、どの勤続年数においても最適なプランではないのです。

いかがでしたでしょうか。直感と実際の計算が違った、という人も多かったと思います。

このように、なんとなくで決めるのではなく実際に計算をすると答えが見えてくるものは多いため、徹底的に数値化を行うようにしましょう! 

・おわりに 

さて、ここまで日常やビジネスの具体例を紹介しながら「数値化」がいかに重要かについて説明してきました。

数字に強くなると思考の解像度も上がるので、習得すれば非常に大きな力となるでしょう。

そこで僕は先月、このような数値化クイズを集めた、「数値化力」が身につく本を書きました。

今回紹介したクイズ以外にも、皆さんの親しみやすいテーマを扱った数値化力を鍛えられる問題がたくさん揃っていますので、ぜひ読んでみてください!
 
また、今回の「数値化クイズ」については、僕が塾長を務めるYouTubeチャンネル「ドラゴン桜塾」でも説明しています。こちらもぜひご覧ください! 

今回の記事は、ここまでとなります。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!

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