中学入試なのにまるでバリスタの試験? 中学受験の面白い問題を紹介します!⑥・前編
みなさん、こんにちは!
現役東大生ライターの松岡頼正です。
この連載では中学入試の面白い問題を、詳しい解説込みで紹介しています。
前回の記事はこちらです。
さて、今回は2019年の麻布中学・理科で出題された、コーヒーに関する問題を扱います。
なんと中学入試で、コーヒー豆の焙煎の仕方と味の関係や、おいしいコーヒーの淹れ方に関する問題が出たんです。
「今の小学生はそんなことまで勉強しなきゃいけないの?」と思った方、安心してください。
もちろん小学校の理科の教育課程にコーヒーに関する内容なんてないので、知識のない人でも解けるような作りになっています。
問題は全部で9問あり、この記事ではまず前半の5問を紹介します。
まるでバリスタの入門試験のような内容になっていて、問5まで解けばきっとみなさんもおいしいコーヒーの淹れ方が分かることでしょう。
それではさっそく、どんな問題なのか見てみましょう!
問題文
導入の文が長いですね。ただ、これから続く問題のヒントがここにたくさん含まれています。
まず第1問がこちらです。
問1
まずは焙煎についてですね。
家庭で焙煎までする人はあまり多くないかもしれませんが、ドラムと金網とで何が違うか考えてみましょう。
金網では豆はほぼ固定されたままですが、ドラムでは豆を常に動かして加熱します。
この違いによって仕上がりがどう変わるか考えると、「加熱ムラ」ですね。
なので、答えは「加熱ムラがなくなり焙煎の度合いが均一になる」です。
この問題をコーヒーの知識がない小学生が解くとしたら、普段家で料理をしたり手伝いをしている子が有利だったかもしれません。
というのも、「炒める」という行為の目的が「均一に火を通すこと」だからです。
そこからヒントを得られれば、解答できた問題ですね。
問2
「こんなのコーヒーの知識がないと解けないじゃないか」と思われるかもしれませんが、先ほどの問題文にヒントがありました。
ここでもう一度振り返ってみましょう。
苦味は焙煎が進むと増えていくとあるので、まず選択肢がアとエに絞られますね。
そして、酸味の原因である有機酸は深煎りの豆だと少量しかないとあるので、答えはアだと分かります。
中学入試ではこんな風に読解の要素を含む、知識なしでも解ける問題も珍しくありません。
問3
また新しい説明がありますね。さっきは「焙煎」でしたが、今回は「挽く」です。
問3は「粉にすると味が変化しやすくなる理由を答えなさい」という問題ですが、これもコーヒー好き以外の人は分かりにくいでしょう。
なので、今回も説明の文にあるヒントをしっかり読み取っていきます。
まず、下線部①の前に「豆の方が長持ちする」と書かれていますね。
そして、問2の時に参照した説明文のところで、「酸化」と味の変化の関係について書かれていました。
コーヒー豆が酸素に触れれば触れるほど苦味や酸味が増す、ということでしたね。
これらの情報をまとめると、答えは「粒が細かくなるほど表面積が大きくなって、有機物の酸化が早まるから」となるでしょう。
「細かくした方が表面積が増える」というのは、塩を水に溶かす時にも同じ現象を利用するので(表面積が大きいほうが溶けやすい)、それもヒントになるかもしれませんね。
問4
さて、次は挽き方の問題です。高速で挽くのと、ゆっくり挽くのとでは何が違うのでしょうか?
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