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逆行・ていねいな暮らし

私の想像する、いわゆる『ていねいな暮らし』。
整った生活習慣で、朝は日光を浴び、体に優しい食材を好む。質が良く、長く使えるものを好み、こだわったインテリアや小物に囲まれて暮らす。そして良質な睡眠で体をととのえる。

人によって想像するものはさまざまであるかと思いますが、私が思いつくのはこのあたりです。

ただ、最近はこの言葉が皮肉として使われることの方が多いと感じています。嘘くさい、見栄を張っているなどと、心ない言葉で責められる場面もあれば、ていねいな暮らしは辞めましょう!と、等身大な生き方を提唱する場合もあります。

私自身、実は、常にていねいな暮らしに憧れています。
ゆったりとした豊かな生活を送る人のYouTubeやSNSを見て、いつも素敵だなあと思います。実際影響を受けている部分も多いです。しかし肝心の私は、ていねいな暮らしに逆行した生活を送っています。

・昼夜逆転の生活(5時ごろ就寝)
・朝起きるのが遅く、必然的に1日2食
・夜食を食べる日もある
・部屋がすぐに散らかってしまう、しかし片付けは好き
・お風呂に入るのが苦手で、いつもカラスの行水
・スマホゲームを起きてから寝る直前まで、1日数時間はプレイする
・オタク趣味に全力投球

改めて俯瞰すると何ともだらしない生活です。今が春休みであることも大きな理由ですが、それでも呆れるようなだらしなさであります。

ただ、こうして書き出してみるとある矛盾に気付くのです。私の習性はまさに「だらしない生活」でありますが、その反対が「ていねいな暮らし」であるとは限らないのです。つまり、「規律の整った生活」=「ていねいな暮らし」とも言い切れないのだと思います。
誰も、ていねいな暮らしの正解を知りません。きっと正解はないのです。それぞれが自分に合わせて組む、一種のライフプランを総称しているのではないかと考えられます。


ていねいな暮らし、という言葉の本質はいったいどこにあるのでしょうか。
ていねいな暮らしが最終的に目指しているもの、それは「心地よさ」であると思います。
自分が一番心地よく暮らせるもの、暮らすための仕組みを整え、それを続ける。
ここで大事なのは無理なく続けられるかという点です。背伸びをしたていねいな暮らしは中々続けづらく、それを自分に無理強いすることで生まれるストレスがあり、結果本質を見失ってしまいます。

似たような事例として、ゆるヴィーガン、ゆる糖質制限、といった言葉があります。ていねいな暮らしと同じくらい、何かと話題になりやすく、そして叩かれやすいキーワードです。
もちろん人によって価値観はそれぞれですが、ヴィーガンや糖質制限は肉や糖質を完璧に排除することが最終的な目標ではなく、それによって自分自身が心地よく生きることを目指すものだと思っています。ダイエットが目的だとしたら、それも同じことです。

「ゆるめにヴィーガンをするのでは、それはヴィーガンとは呼べない」という意見も、もちろんわかります。しかし大切なのは、自分が何を目指してるのか、という本質を見失わないこと。そのために無理なく続けられる心地いいラインを探すことは、決して悪いことではないと思っています。

ていねいな暮らしにおいても、この考えが核となるはずです。ちなみに私はヴィーガンではありません、すみません。唐揚げと餃子が大好きです。


ていねいな暮らしの在り方が、私が冒頭で挙げたような特徴に偏るというのは、ある意味人間の本質であるのだろうと考えます。
結局は早寝早起きの心地よさを知っているし、どうせなら汚い部屋よりも綺麗な部屋の方が好きです。お風呂は嫌いだけど、湯船に浸かることの大切さは理解しています。安物買いの銭失いをするくらいなら、良いものを買いたいし、良いものを食べたいです。
ただ、100%完璧を目指すことはできないからこそ、部分的に取り入れるだけでいいのだと思います。
ていねいな暮らしを嫌悪する人の中には、完璧を強いられることへの不快感があるのではないでしょうか。


最後に、私が大事にしている、私なりの「ていねいな暮らし」で抑えるべきポイントを紹介します。昼夜逆転している人が偉そうに何かを説けるわけではないかもしれませんが、ていねいな暮らしに憧れ影響を受けた結果、実際に続けているものがあります。
それは、ものを大切にすること、そして物語のある生活を送ることです。
私は断捨離癖があり、少しでも使わなくなったものはすぐに捨ててしまいます。そうすると必然的に、本当に必要な物だけが手元に残るのですが、そのためにもきちんと長持ちするもの、そして自分が本当に好きだと思ったものを考えて買うようにしています。コスメも昔は衝動買いが多かったのですが、最近は少しいいものを考えて購入しています。使い道が怪しい便利グッズなどを買うことも減りました。
無駄買いや衝動買いを抑えるほど、自分の持ち物に愛着が湧きます。全てが高いものではありませんが、本当に気に入ったものに囲まれる生活はとても楽しいです。

そしてその代わり、経験への投資は惜しまないことにしています。映画を見に行ったり、美術館へ行ったり、行きたいところへ行く、やりたいことをやる。
私の生活には常に物語があります。映画や美術はもちろんですが、それがアニメやゲームである場合も多いです。大好きな地下アイドルのライブに泣かされ、無料のスマホゲームに泣かされ、人生を考えさせられたこともあります。


みなさんにもきっと、自分が本当に心地よく暮らすために譲れないポイントがあるはずです。
大切なものに囲まれた物語のある生活こそ、私なりのていねいな暮らしです。
こうして自信を持って言えるものがあるので、きっともう私はていねいな暮らしが出来ているのかもしれません。

ただ、昼夜逆転だけは切実に治したいです。

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