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【新聞連載第8回】『未来』と向き合う授業とは

私は、学生向けの事業を設計する NPO 法人コラボキャンパス三河で様々なディレクションを行っています。同時に直接自分自身が教える事業も同時進行しています。その一つに、名鉄東岡崎駅前にある『KTC おおぞら高等学院岡崎キャンパス』での英語の授業があります。

私自身が不登校や高校中退の経験があることから、英語指導だけでなく、一人のロールモデルとして彼らの人間としての成長に繋がるようなコミュニケーションを心がけています。

同校では、「なりたい大人になるための学校」という学校指導方針があり、そのビジョンを達成するために、私なりに特別な授業設計を行っています。

アメリカから来てくれたゲストと学ぶ授業を設計


先日は、米国留学時代にお世話になった語学学校の先生 Elan Azuz(エラン・アズーズ)と一緒に授業を行いました。彼は現在は教師ではなく、米国・フロリダ州マイアミ市で不動産投資事業を立ち上げ若手実業家に転身しています。

ネイティブによる英語の発音を、教えてもらうことはもちろんですが、彼がどんな国に住み、どんな人生を送っているのかをインタビューする時間も設けました。

皆さんもご存知の通り、現代社会では顕著な少子高齢化が進んでいます。働く人口が減ると同時に、海外人材の登用が積極的に進められています。私たちの生活の中でも、コンビニエンスストアやファストフード店で見かけることが当たり前になりました。

各教育機関に関わることで痛感するのは、現代社会はこれほど明らかなグローバル化が進んでいるにも関わらず、学校教育は社会の変化に対応できているとは言い難いということです。

2045 年には、人工知能が発達し、人間の知性を越えるとされるシンギュラリティ(技術的特異点)を迎えると言われています。米国労働省のデータによると、今後 10 年から 20 年で約 47%の職業が自動化されるリスクが高いとされています。既存の仕事がどんどん無くなっていくということは、新しい価値を創造できる人材にニーズが集中する社会が待っていると言い換えられます。

この著しい社会変化があるからこそ、減少し続ける日本の若い人材を育てる環境は、変化を見据えて設計をする必要があります。

話を高校の授業に戻すと、私は生徒たちに『未来』を見せたかったのです。

米国は、日本とは対照的な移民国家です。今回協力してもらった Elan Azuz 氏は、イスラエル人の父とロシアとルーマニアのハーフの母を持つアメリカ人です。先祖を辿ると更に多くの民族の血を引く人物ですが、世界ではこうした多様性を持つ人たちで溢れています

一般的な日本人の高校生からすれば、外見的には典型的な白人としか映りません。目に見えない『未来』を体現している彼を解釈し、日常にない発見をするためには私のような媒介者が必要です。

言語や文化の違いへの理解を促し、この人は◯◯だという偏見を持たずにコミュニケーションを図るための場づくりが私の今回の役目でした。
民族、文化、言語、あらゆるものが共生し融合していく未来が既に始まっています。

今回は高校生に向けて授業を行いましたが、誰にとっても必要な未来への準備だと考えます。


(2018年12月 東海愛知新聞掲載)

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