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京都暮らしの紅葉巡り。グラデーションで移り変わる日々。

京都暮らしの紅葉巡りの記録。赤や黄色、緑、オレンジ。彩り豊かなグラデーションの景色を眺めるのが大好きだ。

晴れた日には、太陽の光で葉の影がゆらゆら揺れる。真っ赤な燃えるような紅葉もいいけれど、私はいろんな色が入り交ざった「あいまい」の景色を楽しんでいたい。今年も大好きな街・京都で、たくさんの紅葉とその街の空気を味わった、その記録を。


四季の移り変わりが美しい、智積院

春夏秋冬、どの季節に訪れても美しい景色に出会える智積院。20回以上行ったことがあるけれど、紅葉のピークの時期に訪れたのはおそらく初めてだった。だから、こんなにも境内が紅葉で彩られるとは思いもしなかった。

紅葉はとりわけ、葉の裏側からのぞき込むのが美しいと感じる。赤ではなく、透き通るようなあいまいさを持ち合わせた葉。光の入り具合によって違うから、同じ景色には決して出会えない、そんな刹那の移り変わりを観察するのが好きなのかもしれない。風とともに揺らめく彩り豊かな葉たちを、いつまでも眺めていたい。

燃えるような包み込むような、毘沙門堂門跡

山科駅から山へ向かって歩くこと20分。晴れたあたたかな空気が気持ちのいい秋の休日、山に沿うように建つ毘沙門堂門跡を訪れた。

山間のもみじの木は、背が高くその空間に包み込まれるような感覚を覚えた。空高く、まるで競うようにそびえたつ木々。風に揺れ、太陽の光に揺らめいて、燃えるような赤の世界に吸い込まれて。

街のなかに溶け込むように存在する繊細なもみじとは少し違う、強く意志的にそこに在る、そんな姿のようだった。

春夏秋冬。よりどころとなる場所、建勲神社

北区の住宅街にある船岡山の山頂に位置する建勲神社。前に住んでいた街でのお気に入りスポットで、季節を変えて何度も何度も散歩に出かけた場所だ。引越しをして遠くなってしまったから、実に半年ぶりに足を運んでみた。

清らかな新緑にあふれていた初夏の記憶から一変、赤く赤く存在感を示していた。神社の鳥居越しから見える京都市内の様子も、どこか違うよう。山の木々はほんのり赤く染まり、冬の澄んだ空気が入り混じっているからか、はっきりとした街の景色が目の前に飛び込んでくる。

春夏秋冬、日々の景色を見ているからこそ、目の前の、今しか見られない景色をずっと眺めていたくなる。お気に入りの、よりどころとなる場所を持つことができて、幸せだなあ、また冬に来よう、そう誓って。

ふらっと立ち寄った、秘密にしたい、興臨院

秋の特別公開がされていた大徳寺塔頭の興臨院。事前情報はなし、たまたま通りかかっただけの偶然の出会い。せっかくだから行ってみよう、という軽やかな行動は、必ず新しい景色を見せてくれる。今回訪れた興臨院も、そんな忘れられない景色を見せてくれた場所だ。

私の大好きな枯山水庭園。白砂と緑、そして紅葉。ざわざわしていた心の波がスーっとおさまって、さらさらと砂のように流れていくような気持になる。ああ、どこまでも赤の世界。

ピカピカに磨かれた机に反射するように映る紅葉も、それはもう美しいの一言だった。この嘘のような世界が広がる景色、つい目を細めて没頭してしまう。誰かに「きれいだ」と伝えたいほどの世界だけど、やっぱり秘密にしておきたいような気もする。そんなもどかしい美しさが隠されていた場所だったな。

京都の街で見つけた、秋の景色

京都の秋といえば、それぞれの寺社仏閣で見られる紅葉だけれど、実はそこらじゅうを歩いているだけで、秋らしさに出会える。鴨川、近くの小さな公園、お寺の入り口、街路樹。

赤や黄色に染まった街を、なんでもないように歩く人々。そんなさりげない日常で垣間見れる景色が、実は美しかったりするのだ。

今年の秋は、あまり紅葉を見に行けないなあと思っていたけれど。こうやって振り返ってみると、街の中のいたる場所に隠れていたのだという発見があった。ただ歩いているだけで、日ごろは見逃してしまうような何気ない日常の中に、赤や黄色の景色が混ざる。いわゆる「紅葉の名所」に行かなくても、日常の延長で秋の気配を十分に感じられた。

こうやって秋の気配を味わっていたら、あっという間に12月になってしまった。もう街はクリスマスの雰囲気を演出し始めていて、秋の気配を消し去っていこうとしている。季節が移り変わるのは美しいことだけれど、こうやって私の気持ちよりも早く巡ってしまうのは少し寂しい。

けど、やっぱり移り変わるからこそ、その時々の目の前にある景色を大切にしたいと思えるんだろう。一生続くわけではないからこそ、目の前の景色を大事に思える。その矛盾を受け入れて、秋から冬へと、私の気持ちも移り変わっていく。

色鮮やかでどこか切ない秋の気配も好きだけれど、冬の凛とした澄んだ空気も好きだからね。こうやっていつでも迫りゆく季節を楽しみに待てる人でありたいな。


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