京都暮らし、桜を探し求める旅 Vol.2

各所の桜が見頃を迎えて、京都の街が騒がしくなってきた。どこを歩いていても、お寺や神社、公園、学校、いたるところでピンクに彩られた桜が咲いている。天気もよくて、あたたかくて、そんな空気が嬉しくて仕方がない。

先週はしだれ桜を中心に巡っていたけれど、今週はふらっと近くの桜の名所やお寺に、散歩がてら立ち寄ってみることとする。

大好きな京都の街には、散歩がてら行ける場所に素敵なスポットがたくさんあって、「私はこうやって散歩や日常の延長で、京都の街のよさを味わいたかったんだな」としみじみと感じる。

私が京都に移住した理由、それは、これまで観光でしか訪れることのできなかった場所に、散歩がてら気軽に立ち寄れるような暮らしがしたかったから、だ。春の桜を巡る今、この暮らしの心地よさを存分に受け取っている。

（しだれ桜を巡ったVol.1はこちら）

京都暮らしの桜巡り、Vol.2となる今回も、訪れた場所を綴っていこうと思う。

哲学の道

桜のトンネル。そう思わざるを得ないほど、桜が満開に咲いていた。何度も歩いたことはあったけれど、春の、桜の満開の時期に訪れたのは初めてだ。歩いても歩いても、桜のアーチが続く。晴れ間に揺らめく影や、散りゆく桜の花びらが落ちる水路、どれもがきれいで、心を癒してくれる。

人は多かったけれど、だからこそ、この幸せな景色が見られる嬉しさを、誰かと共有しているかのような気持ちになる。通りすがる人、みんな桜の美しさに目を奪われていて。こんな光景、1年のうち何度見られるのか。そんなことを思いながら、忘れないように、じっと目に焼き付けてみた。

妙顕寺

上京区にある妙顕寺。家から近いので、よく散歩途中に通るのだけど、入り口で濃いピンクのしだれ桜が咲き誇っていて、思わず立ち止まってしまった。なんという存在感。吸い寄せられるように境内に入ってみる。

桜と、本堂の組み合わせ。こちらの本堂は、京都でも屈指の大きさを誇るそう。家と路地が入り組む街の中で、ただそこに在り続ける不思議。

個人的に、この少し濃い目の鮮やかなピンク色の桜が好き。かわいらしくて、空の青さにも映えて、生き生きとしているように見えるから。ひとくくりで「桜」というけれど、色合いや大きさ、咲き方、全部が違う。それが面白くて、桜巡りをやめられないのかもしれない。

建勲神社

私の大好きな場所。北区の船岡山という丘の上にある神社で、京都市内が一望できるお気に入りスポットだ。雪の日も新緑の日も日々散歩に訪れているけれど、桜の時期は初めて。どんな景色が見られるのか、ワクワクしながら足を進める。

新緑とともに、桜も満開を迎えていた。寒い冬も眺めていた景色。たちまち春の空気に包まれて、爽やかな風を感じ始めている。季節の移り変わりの美しさをじわじわと思い出させてくれる、そんな場所。

寒い冬を耐えたからこそ、出会えた景色。そう思うと、どこまでも春の空気はハッピーな気持ちにさせてくれる。

今宮神社

船岡山を下りてすぐ歩くと、真っ赤な楼門が出迎えてくれる。今宮神社は新緑のイメージだったけど、境内に足を踏み入れると桜がちらほらと咲いていて嬉しくなる。

今宮神社に咲いている桜も、私が好きな色味の花びらだった。歴史を感じさせる境内にぽつんと咲く桜。桜の時期以外にも在り続けているはずなのに、桜が咲かないと、なかなか目を向けることができない。今度桜が散ったときに、どんな景色になるのかも見てみよう。

本法寺

ここも、たまたま通りかかった。門の奥に桜が見えるのが目につき、足を運んでみることに。改めて、散歩圏内にこれだけの規模のお寺や神社があるのは、京都だからこそだな、と感心しながら、中へ進む。

また、お気に入りの場所を見つけてしまったかもしれない。あふれそうなほどに咲き誇る桜。空が見えないほどに埋め尽くされていた。京都には数えきれないほどに有名なお寺があるけれど、街に溶け込みひっそりとたたずむお寺の存在も忘れてはいけないと強く思った。

つくづく京都の街はすごい、と思わざるを得ない、桜巡りだ。どこもかしこも歩いているだけで、お寺や神社に突き当たり、それぞれがそれぞれの歴史や魅力をもっている。多くの人に知られてはいないけれど、地域にしっかりと根付く存在。京都で暮らすようになって、そんな場所に日常的に訪れるようになり、そしてそんな場所を好きになっていった。

ひっそりと、だけど力強く、そこに在り続ける場所をいつまでも愛せたら、日々の暮らしはもっともっと豊かになるかもしれない。