記事一覧
うつのみや花火舞台裏~エピローグ~
「宇都宮駅行のバス乗り場どこですか??分からなくなっちゃって・・・」
花火が終わったあと私は408号線沿いにいた。会場の観客に無事帰ってもらってしっかり後片付けをするまでがボランティアだ。
408を通ると臨時のシャトルバスが待つバス停までいくことができる。しかし帰る道は限られており、ところどころに交通規制がひかれているためバスへ向かう道はごった返していた。
なんとかならんものなのかと思いながら
うつのみや花火舞台裏~その19:クライマックス~
「なんだあれは!すげぇ!!!」
グランドフィナーレの最初の花火が上がった時会場はどよめいていた。かくいう私も度肝を抜かれていた。そう、それは今までに見たことがない花火だった。
いったいどういう原理なんだろう。花火なんてただの炎色反応だと思っていた過去の自分を殴りにいこうかとさえ思うぐらい素晴らしい花火だった。
そしてそれ以降も雷都うつのみやを思わせる豪華で華々しい花火が観客たちを圧倒していた。
うつのみや花火舞台裏~その18:子供たちの花火~
「ぼくの花火あがれ!」
心配していた雨はもう降らなかった。
ステージ上ではついに描いた絵が花火の絵が本物の花火になるというイベントまですすんでいる。打ち上げを前に子供たちが嬉しそうにはしゃぐ姿があたりを和ませていた。
そしてついにスタート!
子供の掛け声とともに花火が発射される。打ち上げ花火が大きな空のキャンバスに子供たちの絵を描く。子供達やその家族から大きな歓声があがる。
雨の中耐えていた
うつのみや花火舞台裏~その17:奇跡~
「5分遅れで再開だ!」
正直その時私は耳を疑った。なぜなら確かに雨あしが弱くなってきたものの、この後もしまた雨が降ってきたら再度中止になる可能性もあり予断を許さない状況にだったからだ。
それならいっそのこと中止もにする判断もあるのではないかと思っていた。何度も中止と再開を繰り返した挙句、やっぱり中止というのはさすがにないなと。
しかし再開は再開だ。もう雨は降らないと信じてやるしかない。
ステ
うつのみや花火舞台裏~その16:葛藤~
「花火ってね、別に雪でも雨でもあげられるんですよ」
ステージ横の本部テントでは暗雲が立ち込めていた。2度にわたる中止を繰り返し、3度目の中止を引き起こした雨はなかなかやまなかったからだ。
そして天気予報を見る限り、夜12時まではしっかりと赤色の雨雲が会場一帯を覆い尽くしていた。
去年は雨で順延したと聞いていたけど自分の中ではこれをもう一日繰り返す体力はなかった。このテンションを明日まで維持する
うつのみや花火舞台裏~その15:ステージ上~
「これくらいの雨では私はやめません!」
急に降り出した雨に打たれながら、昨年のイメージソングの歌手が中止を促すスタッフを振り切り必死で歌っていた。そうなのだ。これくらいでやめたくない。こんなに準備したイベントをたかが雨ぐらいで中止にしたくない。それはきっとみんなの思いを代弁していたんだと思う。
しかし思いむなしく勢いを増す雨によってその1曲を歌いきった直後にステージは撤収をせざるをえなかった。
うつのみや花火舞台裏~その14:当日早朝~
「死にそうなくらい眠いぞ・・・このまま死んだら死因は睡死になるのかな?」
朝4時に起きた私は昨日早く眠れなかったことを後悔していた。当日はいろいろ準備があるということで会場には5時集合ということになっていた。
このあと炎天下の中3時間駐車場で立ちっぱなしで警備するとわかっていれば、もう少し早く寝ていたかもしれない。いや、きっと暑さに強い自分を信じて就寝時間は同じになった気がしないでもないが笑
うつのみや花火舞台裏~その13:ことだま花火~
「逆パターンってうまくいくかな?」
ことだま花火の投稿内容をみて企画チームのボランティアメンバーは少し頭をひねっていた。
ことだま花火とはメッセージを花火にこめて打ち上げるもので、市民から公募しているイベントだった。
メッセージはMCによる代読なのだけど、その中で希望者1人だけ実際にステージに登壇して自分で読むことができるようにしていたのだ。
そしてその中で登壇して逆プロポーズをしたいという
うつのみや花火舞台裏~その12:花火の絵展覧会~
「ぼくは剣がほしい!」
雨だというのに展覧会は盛況だった。
もちろん自分の絵が展示されていたり他の友達の絵を見るのも子供たちにとっては新鮮だったのだろうけど、一番人気があったのがバルーンアートだった。広場の一角に作っていたそのブースには長蛇の列が並んでいた。
ボランティアメンバーが練習して作れるようになったそのバルーンはもちろん無料で、子供たちはたくさんある種類の中から自分のほしいバルーン選ぶ
うつのみや花火舞台裏~その11:ジャグリングサークル~
「イベントに出演してもらうことってできませんか?」
ミヤラジに出演したその足で、私たちは夜の体育館にむかっていた。そうそれは何を隠そうジャグリングの依頼を交渉するためだった。
というのもせっかく子どもたちに展覧会にきてもらうのであれば、展覧会だけじゃなくて何かステージ上でイベントをやったほうが盛り上がりそうだと思ったからだった。実はすでにイメージソングやイメージキャラクターによるコーナーもあっ
うつのみや花火舞台裏~その10:ミヤラジ~
「今年のテーマの絆を一番大切にしている人たち、今年のテーマの絆を一番大切にしている人たち・・・」
私は台本を見ながらミヤラジのスタジオの中で何度も繰り返し唱えていた。
そうその日は花火大会のイメージソングをアピールするためにイメージソングを作ったトンネルのむこうというミュージシャンの方と一緒にミヤラジに生出演することになっていた。
もちろんこの歌は花火の展覧会でも花火当日でも歌ってもらうことに
うつのみや花火舞台裏~その9:花火の絵~
「私NPO法人うつのみや100年花火のものなのですが、このたび花火の絵の展覧会を企画しておりまして・・・・」
とある日午後、休暇をとった私は宇都宮市の各幼稚園、保育園に片っ端から電話をかけていた。会社ではない肩書きで自分を紹介するのは話すのは初めてだったが、こう前置きすると相手にとって私はその団体の代表者となるから下手なことはいえない。
今年初めてのボランティアなのにいろいろ質問されたらどうし
うつのみや花火舞台裏~その8:最高の花火~
「こんなに綺麗にしてもらったからには花火でお返ししたいんです。」
あまり大きな声ではいえないですが、と前置きして花火師さんが話し始めた。今年のうつのみや花火を担当するのは世界大会で賞を受賞したことも何度もある実力派の花火師だ。
「他のとこだとそんなに前向きじゃない方も中にいるんですよね。でもうつのみや花火は違う。この打ち上げ場所をこうしてほしいと話したら、次きたら本当に全部きれいになってる。し
うつのみや花火舞台裏~その7:整地活動~
「このままだと指紋がなくなるな・・・」
朝早く起きた私はいつしか指の心配をしていた。
花火の会場は鬼怒川の周辺の河川敷だ。かつては荒れ地だったのが花火あげるために整地をした経緯がある。そして今年は席を増やし、会場を少し広げてダイナミックな花火があがるようにさらに整地を広げる必要があった。
つまりその河川敷を花火の機材や車が乗り入れたり、花火の筒を設置するところを平らにしなければならなかった。そ
うつのみや花火舞台裏~その6:募金箱設置~
「大将、なんちゃらボランティアの人がきましたよ。」
女将に呼ばれた大将を待ちながら私は本当にこんな立派なお寿司屋さんに募金箱を置いてくれるんだろうかと不安に思っていた。
店内は落ち着いていてポスターやちらしなど余計なものは置かれていなかったし、高級そうな雰囲気があたりを包んでいた。
「募金箱ですか?困ったな」
そういいながら奥から出てきた職人気質の大将の姿を見た時、もしかするとちょっとまずっ
うつのみや花火舞台裏~その5:初代会長~
「会長の時に見る花火よりも、その翌年一般のボランティアとして駐車場の警備をしながら見る花火が一番最高なんだ」
その話を聞いたのは初代会長の事務所に訪れていた時だった。
13年前にうつのみや花火大会を立ち上げた初代会長は今では有名なミュージシャンのPVやスポーツの紹介動画等を手掛けている。毎年花火大会のイメージソングのPVを作ってくれていて、今年も快く引き受けてくれたのだけど、その時にこの花火大