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うつのみや花火舞台裏~エピローグ~

「宇都宮駅行のバス乗り場どこですか??分からなくなっちゃって・・・」


花火が終わったあと私は408号線沿いにいた。会場の観客に無事帰ってもらってしっかり後片付けをするまでがボランティアだ。
408を通ると臨時のシャトルバスが待つバス停までいくことができる。しかし帰る道は限られており、ところどころに交通規制がひかれているためバスへ向かう道はごった返していた。


なんとかならんものなのかと思いながら、赤く光る警備を振り回していた時、とある女の子に話しかけられたのだった。


よく確認してみると彼女が行きたいバス乗り場は全く逆方向で、普通に歩いても30分以上かかる。この混雑の中を一人で歩いていくのは少々酷に思えて彼女をその方面のバス乗り場まで連れて行くことにした。

せっかくなのでその子の話を聞いてみると、友達と一緒に見に来たこと、帰りは逆方向だったので現地解散になったこと、スマホのバッテリーが切れかかっていて地図がみれないということ、うつのみや花火をみるのは2回目だったが、ちゃんと見たのは今年が初めてで本当に感動したということなどいろいろ話してくれた。

そして私もちょうど今日の感想を言いたくて、ついつい今までの経緯を話していた。

この花火が全部ボランティアであること、BGMを決めた話、整地した話、ミヤラジに出た話、募金箱の話、子供たちの絵が花火になった話、話すことが尽きなかった。夢中になって話続けてしまったが彼女も喜んで聞いていてくれた気がした。

20分ほど歩いたであろうか。私たちはようやく宇都宮駅行きバス乗り場に向かうであろう集団を見つけることができた。さすがに持ち場を離れすぎて心配になった私は彼女をその人たち預けて元の場所に戻ることにした。

408に戻ってみると行列はある程度緩和されており、時折ボランティアだと知ってねぎらいをかけてくれる人にお礼を言いながら、最後まで警棒を振った。

誘導が終わり会場に戻ってみると疲れがどっと来た。そしてそこからさらに23時ころまで会場の片付けや清掃を行った。本当は撤収作業は1時まであるのだけど、疲れのせいか私の足はほぼ動かなくなっていたので、少し早めに帰らせてもらうことにした。

最後までやりきりたかったのだが、また明日も片付け作業があるのでそこで挽回しよう、そう思いながら私は車に飛び乗り扉をしめた時ふと根拠のない自信が確信へと変わった。

そう、この花火大会はきっと100年続くだろうと・・・

先ほど花火大会があったとは思えいない静けさが残る道場宿緑地をあとにしたとき、かつてない充足感が私を包んでいた。いろいろあったけど花火のボランティアやってよかったな、心の底からそう感じていたんだと思う。

来年もきっとここでみんなの花火があがるのだろう。そしてそこにはきっとまた様々なドラマが生まれるんだろう。そう確信していた。


辺りにただようかすかな火薬のにおいがだけが大会の余韻を残していた。


おわり

#おうちで花火うつのみや

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