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うつのみや花火舞台裏~その9:花火の絵~

「私NPO法人うつのみや100年花火のものなのですが、このたび花火の絵の展覧会を企画しておりまして・・・・」


とある日午後、休暇をとった私は宇都宮市の各幼稚園、保育園に片っ端から電話をかけていた。会社ではない肩書きで自分を紹介するのは話すのは初めてだったが、こう前置きすると相手にとって私はその団体の代表者となるから下手なことはいえない。

今年初めてのボランティアなのにいろいろ質問されたらどうしようかと私は少し緊張していた。

話す内容というのは、こどもたちに花火の絵を描いてもらうことだった。そしてその中からランダムに選ばれた10名の子供たちの絵を花火師さんに頼んで本当の花火にしてもらうという企画である。

これを聞いた時は本当にナイスアイデアだなと思ったし、きっと選ばれた子供たちにとって一生の思い出になる素晴らしい企画だと感じていた。


また描いてもらった絵は全てろまんちっく村に展示してみんなに見に来てもらうようにしており、そのイベントを運営するのも企画チームの仕事だった。
とはいえそのイベントを成立させるためには各幼稚園・保育園に参加の是非を確認し、画用紙を配り、回収し、一枚一枚手作業で貼り付け、展示した後はそれを取り外し最後に賞状とともに返却しに行くという作業が必要になる。

外注で発送するのは簡単なのだが、全部の園に郵送すると結構なお金になるので、ボランティアで手分けしてやるのである。それに手渡しのほうが温かみがある。

本当に至れり尽くせりのイベントなのだけど、園によっては教育方針であったりその時の他のイベントが立て込んでたりすると断られたりもするので参加可能かどうかを一件づつ電話で確認していたのだった。

こんなにいいイベントなので私は宇都宮市にある全園に参加してもらうにはどうしたらいいだろうかと考えながら電話をかけていた。

そもそもこれには子供たちがどんな花火を描くのかを見たいというのもあった。なぜなら昔3年間花火大会が中止になった時期には、花火の絵をかいてといわれた子供が手持ち花火を描くこともあったらしい。

別に手持ち花火が悪いとかではなくて、それがもし打ち上げ花火をみてないせいだとすれば、それはきっと中止にしてしまった大人たちにも責任があるのかもしれない。


もう二度と中止にはさせない、そんな先代達の思いを継いだわけではないのだけど、私はいつの間にか自分の声のトーンが落ち着いていくのを感じていた。

つづく・・・

#おうちで花火うつのみや

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