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3 二度とバイクの後ろには乗らないと決めた日



サンティアゴに到着した翌日、私たちは朝からお祭りに出掛けました。

サンティアゴ旅最初の日。楽しみで仕方ありませんでした。

しかし、思わぬ事件が起こります、、、


バイクタクシー


サンティアゴで庶民の足となっている乗り物は、全国にあるマキナと呼ばれる国民用のタクシー(観光用のきれいなクラシックカーではなく、古いクラシックカー)だけではなく、バイクタクシーも頻繁に利用されています。

サンティアゴは、道幅が狭い道路が多いため、バイクタクシーが重宝するよう。

私はそれまで一度もバイクに乗ったことがありませんでした。

正直怖かったですが、便利な足なので利用しよう!、ということで乗ってみることに。

最初の目的地はCasa del Caribeという場所。
ここではお祭りの間、たくさんの音楽グループが演奏し、また踊りを観ることもできます。

乗ったことのないバイク。
生身の人間がこんなものに乗るなんて…。と、案の定落ちる気しかしなくて運転手のお兄さんにしがみつく。

無事に目的地へ到着!

あ〜、よかった。

と、一安心してバイクから降りる。


と、その瞬間、右足に激痛が!!


何が起きたか全くわからず動揺。

痛みを感じた右ふくらはぎを見てみると
大きな赤く丸い跡が…。

これは一体…?


そう、実は、降りるときに右側から降りてしまい、バイクのボイラーに足が当たり火傷をしてしまったのです!

Casa del Caribe の敷地内で飲み物を売っている店へ友人が走り、「友達が火傷をしたから氷をください!」と頼んでくれました。

幸い氷がありました。
キューバでは氷がなかったり、電気がなかったりで、道でぬるい飲み物を飲むこともしばしば (笑)

氷でしばらく足を冷やし、痛みも治まってきたので、大したことはないだろうと思っていたのですが、だんだんと赤みが増し、ついには大きな水ぶくれができてしまいました。


救世主現る


せっかくの旅行なのに、いきなり今から病院に行くのもなあ、と思いながらCasa del Caribeで音楽を満喫した後、そこから少し歩いたところにある、ある施設へ向かいました。

そこへはある人物に連れていかれたのですが、その人物は次回登場するのでお楽しみに…。

その施設で、看護師の格好をした人を発見!
友人に、「火傷のこと聞いてみたら?」と言われ、助けてもらえるかもしれない…と思い、彼女に声をかけてみました。

事情を説明すると、奥に医者がいるからと、ある部屋へ連れて行ってくれました。

そのお医者さんは私の火傷を見て、「これを毎日塗るんだよ」と、薬をくれました。
しかも、タダ!

イベントが行われるので、おそらく常駐していたお医者さん。
普通お金を出して買う薬を、「はい」とタダでくれたことに何よりも驚きました。

キューバは、医療が無料です。
でもそれは、基本的に国民のみ。
留学生などの在留資格を持っている人は、それを提示すると様々なサービスをキューバ人と同じ値段で受けることができます。
でも、今回私は在留カードを見せませんでした。彼も何も聞いてきませんでした。

彼の行動が、キューバの医療システム的に、もしくは経済的に良いか、正しいか、と聞かれると、なんとも言えませんが、困っていた私にとっては本当にありがたいことでした。


火傷のその後

その日から、シャワーの後は飲料水で傷を洗い、薬を塗って過ごしました。

日に日に傷の状態はえぐいことになり、水ぶくれがどんどん大きくなり、海に入ると爆ぜ、中が…‼ キーーーーーーー‼


はい。気を取り直して。


私は思い出にと経過写真を撮り続けました(笑)

でも、この傷が治るかわからないという不安とも戦っていました。

女性なら、やっぱり体に傷は残したくありません。ましてや脚という見える場所。

自分で言うのもなんですが、肌が白く、脚が細いことが自分の体のパーツで自信を持てるところでした。

旅行中にいろんなところで火傷のことを聞いてみると、「跡が残るからしっかりこすりなさい」と言われたりしました。

ほんとか? それ…

いかにも怪しい説。

もちろん、火傷を擦る勇気などないので、とりあえずハバナに帰ってちゃんと病院に行くまでは薬を塗る以外、何もしませんでした。


ハバナに帰ってから、キューバ人の友人に、キューバ人用の病院に連れて行ってもらいまいた。

診察室に入ると、何人かのお医者さんと看護師さんがいました。

なぜかものすごい勢いで説明され、よく理解できないので何度も聞き返しました。

ただ話すスピードが速いから聞き取れないこともありましたが、私が一番気になっていることについては、お医者さんの返事が理解できず、いや、理解したくなくて、執拗に尋ね返しました。

「やけどの跡は消える?」

「消えない。」

「え? でもまったくこのままなの?」

「そう。」

「え? 少しは薄くなるでしょ?」

「ならない。」

「え! 残っちゃうの!?」

「もー! 何度も言わせないで! 残るって言ってるじゃない!」


彼女の言葉を信じたくありませんでした。
それからしばらくは落ち込み、跡が残ることを考えると涙が出るときもありました。

でも、落ち込んでいても火傷は消えません。やれるだけのことをやろう。

ひたすら薬を塗り、母にお願いして持ってきてもらったガーゼとネットを脚に着け、日に当たらないようにし、火傷に効く薬も持って来てもらったのでそれも塗っていました。

真夏なので、ずっとガーゼを付けていても通気性が悪い。それは逆効果かもしれない、と思い時々取って暮らすときもありました。

日本のお医者さんなら、適切な対処法を丁寧に教えてくれるので、こんなふうに手探りで「これはいいのかな?」「これはダメかな?」なんて考える必要はないのですが…。
火傷の後は残る、と言われただけで、診察は終了。結局対処法はわからず。

キューバでは真夏に遊ぶと言ったら海。
海に行かずにはいられず、行ってしまったり。おーい。
それが良いか悪いかもわかりませんが。塩水で治ったりして?


しばらくしてこの傷は目立たなくなりました。

今は肌の色が完全に白く戻りましたが、やけどの跡はほとんどわかりません。
奇跡と言ってもいいかもしれないですね。


この傷は、キューバでは”La quemada de puta”と呼ばれています。
直訳すると「売春婦(Bitch)の火傷」

遊んでばかりいる女の人はいつもバイクの後ろに乗っているから、火傷をして脚に跡が残る、ということからそう呼ばれるらしいです。

私は、火傷をしてから冗談でこの言葉を頻繁に言っていました。
悪いことでも笑い話にする。キューバ人と同じです(笑)

傷がほとんどわからないぐらいになったから、今こうやって笑い話にできますが、これが残っていたらと考えると恐ろしいです。


旅先では、気をつけているつもりでも、案外気が緩みがち。
不安に思ったことには、手を出さないことですね。


さて、火傷だけでもう十分なのに、同じ日にさらなる悲劇が私たちを襲いました。


つづく


Topの写真:バイクタクシー


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近い写真はえぐいので、遠目の写真で。右ふくらはぎの黒い大きな丸が火傷の後。

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