勉強法小説「第一回忘却障害物競争!!」(2/4)
実況:さて,勝負の放課後になりました。選手の状況はどうですか。飛間さん。
解説:休み時間などを使って少し水を汲んだ選手もいますが,あまり大きな差はないかと思われます。
ここからどのように水を汲んで,そしてこぼさないか。実質上のスタートと言っていいでしょう。
実況:なるほど。選手たちは各々散っていきます。
解説:そのまま黙々と自己で水を汲もうとする選手もいれば,指導者を求めに行く選手もいる。そして自らの肉体や精神力を鍛錬するために修行に行く選手もいますね。
実況:はい。部活動ですね。これはロスになると思いますが・・・・。
解説;一長一短と言っていいでしょうね。体力を削る一方,限られた時間で水をくまなくてはいけないという危機感,鍛えられた精神力を発揮できるというメリットもあります。
実況:今回の選手だと,ふー選手。そして第五レーンの選手が鍛錬に向かうことになります。こまち選手とツトム選手は今回はオフだと聞いております。
あれ?ツトム選手が誰かと一緒にいますね。あれは誰でしょう。
指導者:おい。暗記しろよ。
ツトム:はい。暗記します。
解説:あれがツトム選手の言っていた秘策ということでしょうね。良い指導者をパートナーにしながら水を汲んでいく。そういう作戦ということでしょう。
実況:指導者をつけるメリットは何ですか。
解説:はい。1つは水をくむ作業を管理してもらえるということですね。1人だと水を汲む作業に取り組むことが出来ない選手もいますから,これは1つのメリットとなるでしょう。もう1つは,勺を指導者からもらえるということですね。自分の持っている勺を大きくすることで,一回に汲める水の量も多くなりますから。
実況:なるほど。ん??なんかツトム選手の勺,小さくないですか?
指導者:勺は拾った。
ツトム:ははははは。これで僕が1番だあ!こんなにたくさん水を汲んでいるんだから!
解説:殆ど水を汲むことが出来ていませんね。単語帳を何回も眺めているだけですから,水が入ってこないのも頷けますね。
実況:ツトム選手。楽しそうです。満足そうな顔をしています!
ツトム:俺が西大王だああ~。尾沢トレインだあ~!
解説:これはまずいですよ。自分のバケツを見ることが出来ていませんね。完全に自己満足の世界に陥っています。
指導者:何回も単語帳を見て高速で暗記していく。これこそスピードデュエル!
実況:こまち選手の様子を見てみましょう。こまち選手のバケツにも水は無いように見えますが・・・。何やら勺をいじっているように見えますね。
解説:こまち選手も勺を大きくしていく作戦のようです。これは単語カードを作っていますね。
実況:単語カード,ですか。
解説:はい。良い作戦だと思いますよ。自己流の水の汲み方の方が効果が上がる選手もいますから。
見た感じ,良い勺を作ることが出来ているように思います。しっかりと日本語から英語,英語から日本語の両方で覚えることが出来る単語帳になっていますね。
こまち:よっしゃ。出来たのサ!
実況:お!新しい勺が出来上がりました!これで水汲みがかなりはかどりそうです。
こまち:ふう~。ポイっ。
実況・解説:えええええー!
実況:せっかく作った勺を投げ飛ばしてしまいました。これはどういうことですか!飛間さん。
解説:勺を作ったことに満足してしまって,水を汲むために勺を作ったことを忘れてしまっていますね。これは自学ノートなどにも当てはまることですから,選手の皆さんは何のためにノートを作成しているのか忘れずにノートを作って欲しいと思います。
こまち:この勺さえあればウチは・・・・きゃきゃきゃきゃ・・。
実況:ご愁傷様です。
解説:ハリカワ選手もあそこにいますね。勺を持っていません。
ハリカワ:あー、もういい。やりたくない。明日の英語消えろ。てか学校ごと消えろ。
実況:返してもらえなかった・・・ということですか??
解説:いえ,その可能性は低いと思います。勺は返してもらったものの,ふてくされて自分で放り投げてしまったのでしょう。
ハリカワ:水汲みなんて価値がない。これからはバケツの水の量で世の中決まるわけじゃねえんだよ。
クリエイティブの時代なんだよ!!
実況:でも何やらバケツに少し水が溜まっているみたいですよ。
解説:先ほど内職をした時に汲んだ水のようですね。あれから5時間ほど経っているので,普通の選手ならもうこぼしていてもおかしくないんですが・・・。ポテンシャルが高いだけに,もったいないですね。
実況:彼が奮いあがることはあるのでしょうか!
ハリカワ:ない。
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