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【3.11を伝える絵本】ふくしまからきた子

明日は3.11を迎えます。先日、5年生の読み聞かせがあったので、1冊はこの本にしました。「ふくしまからきた子」。

ちなみに作者の松本猛さん、松本春野さんは、絵本作家のいわさきちひろさんの息子さんとお孫さんです。絵のタッチがとても優しく、温かいです。

この時期の読み聞かせは「春」や「卒業」をテーマにした本を選ぶことが多いのですが、今回はじめて震災についての絵本を選びました。3.11のことを描いた絵本はたくさんあり、避難の様子が描かれたお話、ご家族が亡くなった子のお話、原発事故の被害を受けた農家や酪農家の方のお話…、いろいろな視点から震災のことを知ることができます。
ただ、今の5年生は震災のときに生まれたばかり、またはお母さんのお腹にいた子たちなので、もちろん当時の記憶はありません。なので、話し方によっては、私たちが小学生のときに戦争の話を聞いた感覚で、昔の出来事、として聞いてしまうかな、と思いました。(もちろん、それでもよいのですが)

でも、この「ふくしまからきた子」は、今の子どもたちと同じで実際には震災被害には遭っていないヒロシマにすむ男の子の視点で話が進みます。また、もう一人の登場人物であるフクシマからきた女の子は、原発事故のため、お友だちと遊べない、学校行事も全部なくなったということを男の子に話すのですが、その体験はコロナ禍の今の子どもたちと重なる部分があるので、イメージが湧きやすいのでは、と感じました。
読み聞かせのときは時間がなくて読めませんでしたが、あとがきにある作者からのメッセージも、こどもたちに読んでほしい内容になっています。原発問題について考えさせられます。
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東日本大震災のとき、私は関東にいましたが、震度6の揺れ、0歳、2歳の子育ての最中、停電、断水、店から水や乾電池が売り切れる、という状況を目の当たりにしました。さらに、この震災は被災地では地震による直接の被害だけではなく「ふくしまからきた子」にも描かれていた、原発事故の問題も引き起こしました。
今の小学生は、避難訓練や、社会科でハザードマップを見たりすることで、災害時の対応については学んでいますが、原発についての話は、あまりつっこんだ話はしていないのではないかと思います。学校の副読本には、節電しようとか、再生可能エネルギーを開発しよう、とかそんなニュアンスのことが書いてあるようでした。(私の学生時代は確か「クリーンで安全」と習いました)
今後も、教科書での中で原発はどうすべきか、という話が出てくることはないかもしれませんが、絵本によって、原発について、エネルギーについて、豊かな生活とはないか、考えてみるのはどうでしょうか。

続編(完結編)もあります。

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