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8. 森林の持続可能な経営 グローバル編

ニュースの中の森林

みなさんこんにちは!ミライノラボ学生研究員の北川颯大です。

本日は「森林の持続可能な経営」というテーマで思うことをグローバルな視点から書いていきたいと思います。と言っても私は森林の専門家でもなければ家の周りに森があるわけでもないので、一つニュースをピックアップして、そこから皆さんと一緒に森林について考えていければと思います!

『世界的な木材高騰“ウッドショック”原因は』

今回はこのニュースから木材について考えていきます。


木材価格の高騰

先日のnoteの記事で触れた三菱地所住宅加工センター様からのお話の中にもございましたとおり、現在世界的に木材価格が高騰しているそうです。

理由としてはコロナ禍において各国経済で金融緩和政策が行われたことや、いわゆる「おうち時間」が海外でも増えたことで郊外に引っ越す人が増えたことが挙げられます。それに加えてコロナ禍から脱却した中国においても住宅建造の需要が高まったことや、中国が木材輸送に使用するコンテナを買い集めている、といったことも木材価格高騰に拍車をかけていると言われています。

需要の増加だけではありません。カナダでは虫による被害で供給量が減ってしまったり、コロナの影響で木材の製造量を減らしていたため急な需要増加に対応できない、といった各国供給面の問題も存在します。

現在ではコロナ禍が収束に向かっていることもあり、北米の木材価格は段々と下がっていますが、コロナの影響で木材のマーケットは歪んでしまっています。一見すると国内の木材市場については需要増加につながりそうな感じもしますが、、、現実には木材の自給率が低い日本では輸入木材に慣れてしまい、今さら増産設備に投資を行うインセンティブは低いのが現状です。


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どうすれば解決するのか?

ここまでグローバルな視点から木材価格の高騰とその原因について考えてきましたが、日本ではそのような課題にどのように対処すべきでしょうか。

あまり知られていませんが、「ウッドショック」が起こったのは今回が初めてではありません。リーマンショックが起こる前の景気が良かった時代にも住宅建設需要が膨らみ今回と同じようなことが起きています。

今後また起きるかもしれないウッドショックに対応するには何が必要でしょうか。

私は具体的には、木材自給率を上昇させる努力をする、という一点に尽きると考えています。そもそもなぜ木材自給率が低迷しているかといえば、安い海外産木材の方が需要が高いからです。このような状況になってしまえば日本の林業や木材関連の仕事に未来がないと思われてしまい、林業の人手不足が進むという負の連鎖に陥ってしまいます。

SDGs達成に向けて持続的に林業を発展させていくためには、価格が高かったとしても木材の安定供給のための備えとして国内木材を扱っていくことや、我が千葉県のブランド杉「山武杉」のような高級志向の方向性に舵を切ることも一つの選択肢ではないかと感じています。

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過去に林野庁では「森林・林業再生プラン」を掲げて木材自給率50%を目指して活動を行なっており、自給率は少しずつ回復傾向にあります(2019年林野庁統計によれば37.8%、過去最低は2002年の18.8%)。また、先日の6月15日付で林野庁から発表された森林・林業基本計画ではSDGs達成が意識された森林の持続的な発展が目指されていて、木材自給率改善が進むにつれて新たに浮かび上がってきた森林の持続性についての課題についても解決できるよう努力されています。

新たな基本計画のもとで森林を守りつつ、林業をさらに発展させていくことができるのか、注目ですね。


おわりに

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。持続的に森林を利用するには国際的な木材市場の安定は欠かせません。国内市場を安定させることは少なからず国際市場の安定に寄与し、その国内市場を安定させるためには木材自給率を上昇させることが必要ではないか、という考えではじめのテーマとはだいぶずれてしまいましたが木材について書いてきました。

日常的に木材や森林について考えることは少ないかもしれませんが、身近な木材製品がどこから来たのか調べてみるなど、一歩でも木材や林業に対する関心を深めてみると面白い発見があるかもしれません。国産材の積み木で遊んだり、ベランダのプランターを国産材で作ったりと、国産材の自給について私たちにできることはたくさんあります。興味のある方はこちらのリンクも参考にしてみてくださいね。

http://www.kidukai.com


それでは次回の投稿までお楽しみに!さようなら~

このプロジェクトの概要はこちらから~!


参考
[1] 『木材が買えない!?住宅市場に忍び寄る木材危機』 Housing Tribune Online (2021/4/8)

[2] 『3度目のウッドショック 木材が高騰、住宅が値上がりも』 MONO TRENDY 値段の方程式 (2021/6/5)


[3] 『森林・林業基本計画』 林野庁 (2021/6/15)



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