見出し画像

リベンジが始まる

≪前回の記事はこちら≫



「これはリベンジになるかもしれない」

そう確信したのは前回のスターさんが退団して数年後のことだった。
私はまったく別の宝塚スターさんを好きになった。


当時すでにトップだった「聖夜 椿」


その後、およそ4年に渡りその人を応援し
退団まで見送ることとなる。


前回宝塚を好きになったときに
やりきれなかったことや思いを残していた私は
この人にすべてを賭けて自分自身にリベンジしていくのだ。




「タカラヅカスカイステージかぁ」

当時なんとなくすることがなかった私は
そのとき手にした雑誌でふとスカイステージの宣伝に目がいった。


私はもう数年前に退団したトップのことを想い出していた。

「あのときは楽しかったなぁ」


あの活気に満ちた劇場前の風景。
みんな綺麗に着飾ってチケットをにぎりしめる。
そわそわしながら迎えたスターさんの姿。
休憩時間の大行列。

公演ごとのアドリブ。
お茶会の風景。
そして退団のその日。。。。



「もういいや」

退団発表から半年後に退団の日を迎え
劇場前で見送ったあの日のことを思い出すと
なんとなく苦い思いが胸をよぎる。


私はその苦い思いの正体をつきつめていくことに
ずっと目をそらしていた。

それが「やりのこしていたこと」だと気づくのは少したってからのことである。



「タカラヅカスカイステージ
見てみようかな」

それが椿との最初の出会いだ。
といっても私が一方的に出会ったと思っているだけなのだけれど。


当時の私は特別な趣味もなく、毎日家に帰ってからは暇をもてあましていた。

仕事と家の往復で、とくに着飾って出かける場所もない。
インターネットを見たり、ときどき買い物に行って洋服を買ったり。

あ、そういえば最近犬を飼い始めたんだけど、この子はかわいい。
ずっと昔から犬を飼いたかったから、念願が叶っていまは犬を育てることに夢中だ。


とにかく家にいることが多くなってきたので
なんとなく華やかな世界を感じたくなったのかもしれない。


加入したスカイステージをつけるとニュースをやっていた。
それはいま公演中の舞台の宣伝だった。


「ふーん、いまはこんなのやってるんだ」


あの初めて好きになった推しのトップが卒業して数年。
当時下級生だった子たちはすでに上級生になっていた。




「聖夜 椿」
その名前にはまったく記憶がなかった。

いま東京宝塚劇場で上演している公演は
この人が主演らしい。


物語はちょっと見る限りそんなにおもしろくなさそうだ。
しかも主演があんまりタイプではない。

でも最近なんとなく華やかなことが無かった私にとって
舞台を見に行くという晴れの席が欲しかった。


「ちょっとヒマだし観に行ってみようかな」



この時の私はほんの気晴らし程度に行ってみよう、
ただそう思っただけだった。


宝塚のことはちょっと知ってる。
その程度だけれども「知識がある」ということは大きなことだ。


全く宝塚を知らなかった頃に比べると格段に足取りは軽くなる。
他のまったく行ったこともなく興味のない舞台を見に行くよりは
ずっと手が届きやすかった。


「じゃあ、まずチケットを取ってみるか」

ということで私はインターネットに手を伸ばした。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?