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リベンジが始まる
≪前回の記事はこちら≫
「これはリベンジになるかもしれない」
そう確信したのは前回のスターさんが退団して数年後のことだった。
私はまったく別の宝塚スターさんを好きになった。
当時すでにトップだった「聖夜 椿」
その後、およそ4年に渡りその人を応援し
退団まで見送ることとなる。
前回宝塚を好きになったときに
やりきれなかったことや思いを残していた私は
この人にすべてを賭けて自分自身にリベンジしていくのだ。
◆
「タカラヅカスカイステージかぁ」
当時なんとなくすることがなかった私は
そのとき手にした雑誌でふとスカイステージの宣伝に目がいった。
私はもう数年前に退団したトップのことを想い出していた。
「あのときは楽しかったなぁ」
あの活気に満ちた劇場前の風景。
みんな綺麗に着飾ってチケットをにぎりしめる。
そわそわしながら迎えたスターさんの姿。
休憩時間の大行列。
公演ごとのアドリブ。
お茶会の風景。
そして退団のその日。。。。
「もういいや」
退団発表から半年後に退団の日を迎え
劇場前で見送ったあの日のことを思い出すと
なんとなく苦い思いが胸をよぎる。
私はその苦い思いの正体をつきつめていくことに
ずっと目をそらしていた。
それが「やりのこしていたこと」だと気づくのは少したってからのことである。
◆
「タカラヅカスカイステージ
見てみようかな」
それが椿との最初の出会いだ。
といっても私が一方的に出会ったと思っているだけなのだけれど。
当時の私は特別な趣味もなく、毎日家に帰ってからは暇をもてあましていた。
仕事と家の往復で、とくに着飾って出かける場所もない。
インターネットを見たり、ときどき買い物に行って洋服を買ったり。
あ、そういえば最近犬を飼い始めたんだけど、この子はかわいい。
ずっと昔から犬を飼いたかったから、念願が叶っていまは犬を育てることに夢中だ。
とにかく家にいることが多くなってきたので
なんとなく華やかな世界を感じたくなったのかもしれない。
加入したスカイステージをつけるとニュースをやっていた。
それはいま公演中の舞台の宣伝だった。
「ふーん、いまはこんなのやってるんだ」
あの初めて好きになった推しのトップが卒業して数年。
当時下級生だった子たちはすでに上級生になっていた。
◆
「聖夜 椿」
その名前にはまったく記憶がなかった。
いま東京宝塚劇場で上演している公演は
この人が主演らしい。
物語はちょっと見る限りそんなにおもしろくなさそうだ。
しかも主演があんまりタイプではない。
でも最近なんとなく華やかなことが無かった私にとって
舞台を見に行くという晴れの席が欲しかった。
「ちょっとヒマだし観に行ってみようかな」
この時の私はほんの気晴らし程度に行ってみよう、
ただそう思っただけだった。
宝塚のことはちょっと知ってる。
その程度だけれども「知識がある」ということは大きなことだ。
全く宝塚を知らなかった頃に比べると格段に足取りは軽くなる。
他のまったく行ったこともなく興味のない舞台を見に行くよりは
ずっと手が届きやすかった。
「じゃあ、まずチケットを取ってみるか」
ということで私はインターネットに手を伸ばした。
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