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31.伴走車【Togetter】発進!

チームつくばタイトル

「え…登録したはずの記事がゴッソリ消えてる…どうして…?」

2019年1月3日深夜、私はパソコンの前で白い灰と化していた。

第95回箱根駅伝終了後、私は関東学生連合関連のtweet記事を拾い、「モーメント」に追加しまくっていた。
そろそろ記事の順番を整理しようと全体を確認してみて、はじめて記事が大量に消えていることに気づいたのだ。
過去にもTwitterのモーメント機能でまとめを作っていたが、こんな事態は初めてだ。

落ち着け、何か原因があるはず…

調べると、理由はあっさり判明した。
「モーメント」はもともと、「いま」話題のツイートを暫定的にまとめて読むための機能らしい。
1モーメントにつき最大100記事が上限で、それを超えると先に登録した記事が自動的に削除されていく仕様だったのである。

もちろん、今回拾っている記事数が100以内に収まるはずもない。
いっぱいになったら別のモーメントとして分割し、連番で管理することも考えた。
後から見つけた記事を挿入したり、入れ替えたりするのに、常に100記事の上限を気にしながら複数のモーメントを編集する手順をシミュレーションしてみる。
…無理だ、手間がかかりすぎる。絶望しかない。

「ひとまず記事保管用にTogetter使ってみるか…」

TogetterというTwitterのまとめサイトがあることは、以前から知っていた。ユーザー登録すれば、無料でTwitter記事をまとめて公開できるらしい。
記事を引用してまとめられるだけでなく、まとめる人が、文字をデコったりテキストを付け加えられるのも特徴である。モーメントではできない。

しかし、ある種のメンドクサイオタクは、世間一般の方々よりも著作権問題に敏感である。私はその種のメンドクサイオタクだった(一応、学校で著作権法の授業も受けた)。

ほかの人の記事を集めてまとめ記事をつくることは「創作物の二次使用」にあたり、その成果物は「二次創作物」として、それ自身にも著作権が発生する。
ただまとめただけでも、何らかの「意図」により集められた二次創作物となる。コメントを追記したり、文字をデコるなどの「改変」が入ればなおさらである。
私がモーメントに固執していたのは、Twitterの「公式機能」だったからだ。ネット上のコンテンツに関する著作権問題は複雑だ。まとめた内容に関して万一問題が発生した場合、「公式」の二文字は最大の後ろ盾となる。

細かく説明すると複雑なので、ざっくり結論だけ述べると(端折りすぎ)、当時の私のTogetterに対する印象は、

「胡散臭すぎるから、できれば使いたくない」
であった。

とはいえ、背に腹は代えられぬ。
大量の記事をストックするのにモーメントは役立たないことがわかってしまった。あとはTogetterを使うしか方策がない。
まず利用規約をちゃんと読まねば。
悲壮な覚悟で、Togetter公式サイトの利用規約ページを開いた。

【蛇足】どんなサイトでも、会員登録する前に利用規約は必ず読みましょう。登録してからでは遅いです。

第1条 本利用規約の適用及び変更等
1 トゥギャッター株式会社(以下「トゥギャッター」といいます。)が当サイトにおいて提供する本サービスについて、本サービスを利用する者(以下「ユーザー」といいます。)は、必ず本利用規約に同意した上で本サービスを利用しなければなりません。なお、ユーザーは、本サービスを利用することで、本利用規約の全ての条項について同意したものとみなされます。
(上記サイトより引用)

はぇ!?Togetterって企業が運営するサービスだったんか!?

それまで私は、Togetterサービスが企業運営であることを知らなかった。
企業運営というだけで、信頼度が全く違う。
さらに読み進む。

第4条 著作権
1 ユーザーが本サービスにおいてまとめるTwitter上の各投稿に関する著作権については、トゥギャッターがTwitterから利用許諾を得ています。

やさしくいうと
「俺ら、Twitter社にちゃんと交渉して『お宅のユーザーがTwitter記事使ってまとめつくってもヨシ!』って許可もらってるで」
つまり、ユーザーの代わりにトゥギャッター社が包括的にTwitter社と契約を結んでくれているのだ。
ユーザーは「トゥギャッター社の履行補助者」という明確な位置づけがされており、著作権問題については「ユーザーが著作人格権を行使しない」という条件でクリアしている。
この契約の凄さを、どれだけの人が認識しているだろう。
これなら安心して使える!
Togetterさん、もしかして箱根の山から降臨した救いの神ですか!?

突然、視界が開けた。
利用規約を最後まで読み終わり、急いでユーザー登録した。
編集画面を開いて操作してみる。tweetを拾ってくるのも並べ替えるのも、簡単すぎて拍子抜けする。
「今までモーメント作るときに感じていたストレスは一体何だったの!?」と、頭を豆腐の角にぶつけて死にたくなるほどの快適さだ。

モーメントからTwitter記事を一括で取り込める機能もあったので、残っていた記事は一瞬で移し替えられた。
失った記事も記憶をもとに探し直し、短時間で復元が完了した。

私はついに、自分の「伴走車」を手に入れた。

陸上シロートで業界事情はほとんどわからない。まわりに陸上関係者もいない。選手の写真を撮ってあげられるような技術も、選手のことを語れる知識もない。
だけど、Togetterを使えば、Twitterの海に散らばっている陸上ファンのみなさんの「声」を拾って「こんなにみんなが応援してるんだよ!」と「当事者さん」たちに伝えることができる。
逆に、Twitterの海に散らばっている「当事者さん」たちの声を拾って、陸上ファンの皆さんに届けることもできる。

翌1月4日は仕事始めで出勤したが、帰宅してからも記事拾いを続け、1月5日夜明け前、記念すべきTogetterまとめの第1弾を公開した。

公開当時、記事数は現在の半分以下だった。編集もほとんどしていない。
しょせん自己満足のためのまとめだ。見る人などそんなにいない。次の週末にでも、ぼちぼち編集していこう。

ところが公開直後、心臓が止まるような情報が私のTLに飛び込んできた。

今夜、テレビ東京で関東学生連合の特集を放映…

…マジですか…?(゚Д゚;)

>>32.箱根の神様は本当にいた


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