駐妻記 お食事処
バンコクには現在、邦人が約2万9千人いるらしい。タイ全土では4万人と言われている。(※すみません、間違いました。これは私が渡航したころの数字でした。大使館のWEBサイトの古い画面を見ていました。おかしいな?と思って調べ直したら、現在、バンコクは5万9千人、タイ全土では在留邦人は8万人を超えています。すごい、ほぼ倍ですね。失礼しました)。
バンコクは本当に、食べるものには全く困らない街だと思う。東京と同じ様な感覚で外食ができる。日本人が多いこともあるし、密集して住んでいることもあり、特定地域に日本のレストランが数多く集中している。
タイのかたは非常に日本料理が好きだ。先日ご紹介した「タイスキ」をはじめ、「やよい軒」などかなりタイ風に進化した日本料理店などもあり、バンコクは世界のどの地域にも負けないほど日本のレストランが多いところだと思う。
私がいた頃だけで2000軒の日系レストランがあったが、今はどのくらい増えているのだろう。
ショッピングセンターやデパート内には、日本企業のレストランチェーンやフランチャイズのお店が軒を連ねている。メジャーなところでは「銀だこ」「吉野家」「すき屋」「新宿さぼてん」「まい泉」「ココイチ」など。
私がタイに住み始めたころは「大戸屋」が出店したばかりのころだった。もともと日本の「大戸屋」さんがタイの鶏肉を唐揚げなどに使っていたこともあって味も変わらず、日本人だけではなくタイ人にも大人気で出店ラッシュとなり、あっという間にどこにでもある店になった。ちょっと高級路線の料亭風店舗や、先日ご紹介した病院に隣接(ほぼ病院内で、入院した時なども食べられるので非常に便利だった)している店舗などもあった。
大戸屋さんについては、日本に帰国してからは「もしかして、タイの大戸屋さんの方が良かったかも」と思うところがあり、複雑な気持ちだ。経営者も変わってしまったようだし、鶏肉もタイの鶏肉はもう使っていないかもしれない。
大手のチェーンではないレストランも沢山ある。私がタイに着いたその日に行ったのは「らあめん亭」というラーメン屋さんだった。昔から営業している老舗で、フジ1の道沿いにある。「らあめん亭」も各所に店舗を展開する人気店だ。
ちなみにタイの人はラーメンが大好きだ。各種様々なラーメン屋さんが出店しているが、人気のラーメン屋さんに行くと、タイの家族連れなども多く訪れていて連日大盛況だ。ほかにも蕎麦屋さんや鰻屋さんなどもあるし、洋食レストランやカフェなどもある。
私がお気に入りだったのは日本人向けの洋食店だった。ランチだと260バーツ(約800円くらい。のちに値上がりした)ほどで美味しいパスタランチが食べられた。お店もおしゃれだったし、日本人向けのサービスも気が利いていた。それと、同じソイにあったカフェ。ここは雰囲気がよくて、雑貨なども置いてあり、コーヒーが美味しくて、季節の南国スィーツのパフェがあって、大好きだった。山盛りのマンゴーパフェも美味しかった。
日本人居住区から少しバンコク都心に向かって行くと、徐々に高級デパートやショッピングセンターが軒を連ねる場所になり、オフィスビルも立ち並ぶ地域になる。そうすると、そのあたりにある日本料理店はおのずと高級になっていく。
今はもう閉店してしまったが「バンコク伊勢丹」の中にも色々なお店が入っていた。「新宿さぼてん」などはここに入っていたと思う。日系のデパートでは時々「北海道フェア」とか「九州フェア」とか、日本でも開催されるような出店形式のフェアが開催されていた。めったに食べられないものが売っていたりするので、いつも大盛況だった。
現在は日系デパートだと「高島屋」さんだけが残っているのだろうか。確かチャオプラヤー川の傍にできたと記憶しているが、できた頃に帰国したので行ったことはない。
外国人である日本人がバンコクでお店を営業するのも、以前は結構楽だったのだと思う(今は軍政になったし、このご時世なのでおそらくそんなことはないと思われる)。日本ほど厳しい条件なしでお店を開くことができていたようで、お店ができてはすぐに無くなってしまう、ということもしょっちゅうだし、中には「日本だったらこれはまずいだろう」という営業をしている店があったのも確かだった。
実は私はそんなお店のひとつで当たってしまった。病院でタイ人の看護婦さんに「タイ料理食べちゃいましたー?」と聞かれたが、そんなことはない。新しくできた日本人の店で当たった。知り合いで当たった人の多くが、実は日系のレストランで当たっている。経営は日本人でもタイ人の従業員が食品管理に慣れていなかったり、経営者と従業員の意思疎通がうまくできていなかったり、日本人の、少々いい加減な管理をする人でもお店をだせてしまっていた現状があったのだろうと思われる。
そんな風に、食べることに貪欲で、かつ、コンビニエンスなバンコクシティ。様々なニーズに応えてくれる。
屋台で食べるのはちょっと嫌なのだが、かといってタイに住んでいるのだからちょっとタイ料理が食べたい。しかしタイ料理は宮廷料理から派生しているので実はガッツリ料理である。そこまでガッツリは要らないのだが、ちょっと気軽に食べたいのだ、そんなときは。
デパートのフードコートに行くのである。フードコートには和洋中、様々なお店が軒を連ね、その中の屋台風のタイ料理を選べば、とても格安に、気軽に「普通のタイの料理」が食べられる。
私が良く行ったのは例の「エンポリアム」のフードコートだ。こちらはお昼時にデパートの従業員さんたちや近隣のオフィスの方々も利用するので、さながら社食のような雰囲気だ。
ここで注文するときがちょっと緊張する。食券を買う形式で、最初は戸惑いがちだ。私はよく「センレック」という平たくて細い麺か、「カオマンガイ」を食べた。
「センレック・ナム」は、割とオーソドックスな感じなのだが、一度間違えて豚のひき肉入りの「センレック・ナム・ムー」を頼んだら、北の方の名物である「豚の血の煮凝り」も入っていてちょっと困った。麺を選び、お店の人に作ってもらうので、目の前に並んでいる様々な食材(タイのつみれやはんぺん、肉などの具)を選び、入れてもらう。私は言葉が不自由なので指さしだったが、結構間違えて適当に入れてくれちゃうので、そのうちに結構シンプルな麺料理におさまった。
これがオフィスワーカーの女性だと、お店の人と特別なにも互いに話していなそうなのに見事な具材が載っていて、いったいいつの間にそうなった?と思うことが多々あった。常連さんでわかっていたからなのだろうか。今でも謎だ。
味はその都度、店先に置いてある調味料で整える。たいてい、タイの人はまず砂糖をガブリよりで入れる。そして取り放題の海老せんべいやパリパリのタコスみたいなものを載せて完成だ。私は控えめにちょろっと辛みを足すくらいにしていた。
カオマンガイは冬瓜のスープがついてきて、これがまた美味しい。カオマンガイ自体も美味しかったが、あの冬瓜のスープは、今でも時々食べたくなる。
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