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昔の話

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過去に書いた事や、昔にあった出来事を書いております
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他愛ない話

他愛ない話

2014年4月4日

プルルルー プルルルー
電話がなったら、コール3回以内に出る。

職場では珍しく、ひたすら電話番の私。

2回目のコールで、受話器を上げる。

:はい、お電話ありがとうございます。

花粉症になって鼻声かつ、喉も変になってるけど、
目一杯よそ行きの声で電話に出た。

:ざわざわざわざわざわざわ………

:…!?

:もしもし?

辺りのざわめきが聞こえるが、一向に何も聞こえ

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円い空 流れてゆく木々

円い空 流れてゆく木々

ふとした瞬間に、蘇る風景がある。
円い空。そして流れてゆく樹。

何の印象なのか、何処の風景なのか。テレビで見たのか写真で見たのかと、成人するまで疑問を感じていた。

ある時、田舎の両親と話したのが、売却した山間部の畑のことだった。

あそこの畑は難しくてなぁ。

まず出かけるところから、私が生まれた頃は、その畑までの道のりが不便で、細い林道を耕運機に荷台を付けての移動だったそうで。
父だけが運転

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送られ盆

送られ盆

それは夏休み。お盆休暇の申請合戦に出遅れて、極普通のシフトをこなすお盆の最中の朝。

「みんな居るから帰って来ぉ」
そんな声が聞こえた気がして目覚める。
半月程前に三回忌を済ませた父の声が聞こえた気がした。そのまま普通に出勤し、珍しく定時退勤する。翌日は公休日だった。
帰省ラッシュの中で日帰りドライブするのは、正直気が進まなかったが、送り盆の当日、思い切って帰省した。

半日の帰省。高原の夏は短い

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床ずれになった翌々日

急性虫垂炎で緊急入院して、緊急オペをした翌朝は、腰部に床ずれができていた。
絶対安静で…と言われて、身じろぐこともいけないと解釈した結果の産物だった。

オペ翌日は、どんどん動いて!寝たきり禁止と言われ、院内を徘徊し過ぎて𠮟られた。
人から言われたの言葉の解釈の仕方に、どうやら温度差があることに気づいたものの、何となく憤りを感じることもあり、悶々としていた。

しかし、いくら若いと言っても、全身

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床ずれになった翌日

急性虫垂炎で緊急入院して、そのまま数時間後に内視鏡手術で盲腸を摘出したのは、20代半ばのこと。

看護師さんの
絶対安静の一言を忠実に守った翌朝、あっさりと腰に床ずれができた。

むず痒さと違和感と痛みが腰にあったが、すぐ治るかと思って入院二日目が始まった。どちらかと言えば、内視鏡手術で開腹した、数個の傷の方が痛かったし、尿道カテーテルの違和感が半端ないものだったから。

絶対安静の翌朝は、看護師

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床ずれになったとき

無条件に信じたくなる人、私にとっては医師、教師、コーチ、親、恋人、辺りかと。
そういった人の言葉の威力を知ったのは、急性虫垂炎で入院した時だった。

土曜日の夜に激しい腹痛と、嘔き下しに襲われ、知人に電話した。これって救急車呼んでいいのかな?と。
土地勘も無く、人生経験も乏しい社会人になって三年目位の時の事。
急性虫垂炎かも知れないし、呼びなよと言われて、即、消防署に電話した。

搬送先の病院で点

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送られ盆

送られ盆

2015年9月23日 の作を少し加筆修正したもの

それは夏休み。お盆休暇の申請合戦に出遅れて、極普通のシフトをこなすお盆の最中の朝。

「みんな居るから帰って来ぉ」
そんな声が聞こえた気がして目覚める。
半月程前に三回忌を済ませた父の声が聞こえた気がした。そのまま普通に出勤し、珍しく定時退勤する。翌日は公休日だった。
帰省ラッシュの中で日帰りドライブするのは、正直気が進まなかったが、送り盆の当日

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