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1月にビザを出すのはやめて欲しいな。

茶道体験を
学生にさせていた日のことです。


午後のクラス

「お先に」
「お点前ちょうだい致します」
「けっこうなお点前でした」


おお〜。上手!

先に教えてコーラス練習を
させておいた言い回しを
ちゃんと使って、
お茶を点てたり飲んだりしています。


「おいしいお茶ですね、先生」


中国の子たちは
さすがお茶の本場出身。
味がよく分かるようで
味わって飲んでくれています。


「足、痛いでしょう?
 楽にしてね。立ってもいいですよ」

「大丈夫です」

頑張って正座も
してくれました。


しっとりと、真面目で熱心。
微笑ましいな。


打って変わって
午前クラス。


「皆さんここに座ってください」

「先生、足が痛いです〜!」

全然座らず、ウロウロ😅

「ピアノを弾かないでください!」

「わたしはピアノが上手です〜!」

会場の教室にあるピアノを
めちゃくちゃに大音量で弾いて
大喜び😅


「どうして絵を描いていますか!」

「これはS先生です。ぐひひ〜!」


ホワイトボードに
勝手に落書き😅


S先生、
そんなに不細工じゃないよ...。



初っ端から無法地帯の
午前クラス。


何とか作法を
教え始めたのですが.....

「お抹茶が多すぎます!
 私は何杯と言いましたか⁉︎」

ぜったいわざと
多く入れた学生😅

「多いと死にます〜!殺人です!
 あの世〜(習ったばかりの語彙)!」


「危ない‼︎
 火傷しますよ‼︎」

「ダイジョブダイジョブ〜‼︎」

お湯の入ったひしゃくを
振り回すな〜‼︎


「お菓子は1人1つです‼︎」

「先生、私が全部食べます‼︎
 イエ〜イ‼︎」


ゼェゼェ。


何とかお茶を点てる役に
点てさせて、

「さぁ、お客さまに
 お茶をお渡ししましょう....って、


 あれ⁇


 自分で飲むなぁ〜‼︎‼︎‼︎」


非常にカオスな
お祭り騒ぎになりました😅


「先生、お抹茶はどうして
 3口くらいで飲みますか?

 結婚式でも日本は
 三三九度、ですよね?」


カオスな割に
こんな大人な質問が
飛んで来るのもこのクラスの特徴です。


ちなみに答えは
3は日本では「天地人」を表し
縁起が良い数であることと、

お抹茶に関しては
空味身と言って

一口目は心をにして飲み、
二口目はわって飲み、
三口目は体に良いと思って飲む
そうです。


三口半の場合、
最後の半口は
他の人を思って飲むのだとか。


私もよく知らなかったので
調べて答えました😆


↓こちらのクラスです。


そんな午前クラスの2年生。
実は1月生です。

昨年の1月に来日して
開講は1月中旬。


2月は日数が少なくて
3月は1週間ほどしか
授業がないので
すぐ2年生になりました。


つまり、通常2年いるはずの
日本語学校を
たった1年と数日で卒業です。


私は4月開講の1年生も
教えています。


今日はピアノを弾きながら
伝統唱歌を教えました。


大きい声で
上手に歌って、
最後はみんなで
ゆらゆらゆれながら
大合唱になりました。


ああ、可愛い。


この子たちは
あと1年いられます。

あと1年できっと
日本語能力試験の
N3やN2に合格する
学生がたくさん出てきて、

進学や就職の
選択肢も増えます。


大学に行ったり、
別の専門学校に行ったり、
就職も出来るでしょう。


この1年生たちと
あまり変わりのない
1月来日の2年生。


実質半分の時間で
卒業しなければなりません。


卒業するまでの
カリキュラムは変わらないので
授業も超特急でした。


語学学習は30代を過ぎると
ちょっと大変ですが、
この1月生はパパママが多く
20代のようにはすんなりと
覚えられません。


あまり疑問に思わず
感覚で語学を
身につけてしまう20代に対して、
30代は論理的に学ぶので
質問も多い。

その分時間をかけて
あげたかったのに
それが出来ず、
こんなに特急で授業を
したことのないほどの速さで
何とか終わらせました。


他の2年生クラスはね、
時間を使って学べて
N2レベル程度まで勉強したから
進路が多様でした。


だけど、
この子たちは
N3でも難しいレベルです。


内部進学しか
選択肢がありません。
内部進学してもまだ
相当日本語が難しいと思います。


通常通り
あと1年いられたら
もっと伸びたのに。

日本にもっと慣れて
視野も広がって、
行きたいところへ行けたのに。



茶道具を手に乗せて
ウキウキと写真を撮る
姿を見ながら、
今年1年に渡り思い続けていた
気持ちがまた蘇りました。


行政は1月にビザを
出さないでほしいな。


1月来日は
本当に大変なんです。


2年で卒業の日本語学校に
1年とちょっとしか
いられないんです。

日本語学校時代も
通常より勉強が速いから
忙しくて大変になるし、


進路だって
狭められてしまうんです。



今日は担任の先生が
書道体験を
して下さいました。


墨で書かれた見本を見て
色を塗っている学生が
いたそうです。


「字じゃなくて
 絵に見えているんでしょうね」


可愛いなぁ😆


2年いられたらもっと
たくさんのことが出来たのに。


コロナ禍後の1月生。


日本としては
たくさんの留学生を
急激に増やしたかったんでしょう?



現場は大変でしたよ。

担任は終始
「終わらない!」と言いながら
予定を作って、


学生は丁寧にではなく
さらりと舐めるようにしか
学べなかった。


1つのビザは
ただのハンコなだけじゃないんです。

たった1つのビザに
生きた人間の生活があるんです。



考えて欲しいな。



留学生数の目標を
達成するための
ただの数字としてじゃなくて、

1増えたら1人の人が
どうやって生活することになるか
配慮して欲しい。


1月来日の留学生はね、
本当に大変だったんですよ。
そして彼らはこれからも
日本語が難しくて
悩むことになるでしょう。


相手は外国人なんだから
お客さまとして
ちゃんと気を配って欲しかったな。


ありがとうございます!頂いたサポートは美しい日本語啓蒙活動の原動力(くまか薔薇か落雁)に使うかも?しれません。