見出し画像

【読書】正義の名の下に、人の心を抉ってはいまいか。


私は趣味や娯楽のための
本を買いません。

日本語教師の方なら
同じ状況でしょう。
仕事に必要な書籍で
家に大量の山が出来ます。


日本語能力試験の
N2対策だけで
幾つあるかな。
読解の本、聴解の本、文法の本、
総合の本、漢字の本、模試の本......。

その状況が私の場合
N3からN1まで同様です。


N4とN5はさすがに
学校にあるもので
カバーしてしまうけど。


初級のテキストも
数種類ずつ
揃えています。


教えているテキストに
疑問を持ったとき、
他のテキストを引っ張り出して
調べるので必要です。


それから、専門学校で
教える時に必要な
通訳のための書籍や
ビジネス日本語、
敬語の書籍。

介護の日本語の本も
数冊あります。


さらに、
マーケティングや国際関係論などの
ビジネスを教えるための書籍。


正直言うと
本棚に入り切らずに
雪崩が頻繁に起きています。


ドシャーン、ガラガラ!


「うわぁ〜‼︎」

哀れなチビがたまに
犠牲になっています😅


不要なものを
処分しようとは思います。


でもね、
初級専門の先生や
マーケティング専門の先生なら
他のものは処分できますが、


私、いろいろや(らされ)るんです。
経済を教えた次の年は
国際関係論で、
上級の次の年は
初級、と言った具合に。


これが3階。



2階には
私のアップライトピアノ
KAISERくんが
鎮座ましましています。


このKAISERは
通常のアップライトピアノより
かなり大きいんですね。
さすが皇帝(Kaiser)。

https://note.com/mioichi/n/n34d6127772c0


近くの棚には
私が数年かけて揃えた
楽譜が同様に
山になっています。


ピアノの楽譜は大きくて重い。


ベートーヴェン、バッハ、
ハイドン、ショパン、モーツァルト、
ドビッシー、
これは数冊ずつ。

バッハが一番多いかな。

他にもシューベルト、
メンデルスゾーン、
チャイコフスキーなど
錚々たるコレクション。


他にもピアノピースやら
日本の歌曲集やら
マスターピースシリーズやら。


最近はチビの楽譜も
増えてきました。


嫌です。
捨てられません。
使っているもの。



1階には
着物の入った
桐箪笥と桐箱が
ドッカーンとあります。


そりゃあ
週に一度は授業に
着て行くので
増えますわ。


着物は長年着られるので
あまり駄目にしません。
それに、着物に必要な
小物類も多い。


つまりね、
家族にとってワタクシは
超絶迷惑な
場所取り人間なのです。


もうこれ以上、
場所を取れません。



そんな訳で
趣味の本は買いません。
図書館で借ります。
以前はKindleを
使っていましたが、
目が痛いのでやめました。


だけど、
買いたいな、と思う本に
出逢いました。


「流浪の月」凪良ゆう


「普通と違う」人を、


真実をよく知らぬまま
メディアを信じきって
正義を振りかざし、


ネットという凶器で
長年に渡って執拗に
裁き、攻撃し、排除する大衆と、

「排除されるかもしれない」
ことに怯えて
自分を隠して逃げまどい
生きていく人。



小学校では
ランドセルの色は
多様になって
もうそれで攻撃する人は
いないと思います。

外国人の子どもも
当たり前にいます。


アレルギー持ちの子が増えて
個々で食べられるものが
違うことを
今の子は当然のように
認識するでしょう。

一人ひとり違うことが
子どもには少しずつ
受け入れられているけれども、


大人にはどうなんでしょう。



もう十年以上前の話です。

親友の結婚式へ行きました。

新郎は新興のIT企業で
新婦は教科書出版会社で
働いていました。


新郎の若い上司の方は
スピーチでこんなことを
仰いました。



「○○くんは希望ある青年で
残業も出張も多いから、
早く帰れないで
奥さまをお待たせすることになり
申し訳なく思っています」


次に新婦の
女性の50代程度の上司は
スピーチで
明らかに癪に触った顔で
こう返しました。

「新婦は非常に有能な部下です。
もちろんたくさん残業も
出張もします。

女性が家で家事をして待っている、
という古い思い込みが
若い方にまだあることが
驚きでした」



もう少しオブラートに
包んでいたと思いますが、
残業を肯定する訳では
ないけれども、
この返しが私は
働く女性として爽快でした。


男性は仕事、
女性は家庭。


そうしている家を
決して否定はしませんが、
そうじゃないことを
当然に認める社会には
まだなっていないのでしょうか。


「なんの乾杯?」
「ぐうたらなお休みに」

「流浪の月」より抜粋

この本では
明るいうちから
お洒落なカクテルを作り
楽しく飲む親と

それを正義の名の下に
攻撃する大衆が出てきます。



これって多様性が
進んでいない、
全てを型にはめようとする
社会だからじゃないかな、
と思うと同時に

ギクリとしました。


私は、私が思う正義で
人の心を抉っていないでしょうか。


グリグリと抉られた側の痛みを
如実に描写しているこの本で
心が痛くなり、


もう少し、
もう少しちゃんと自分を
振り返ってみようと
反省しました。



だからね、
多様性ですよ。

断捨離が流行っていても、
多様性。


ものが多くてもいいんですよ。

※いやだから片付けようよ。

この記事が参加している募集

読書感想文

多様性を考える

ありがとうございます!頂いたサポートは美しい日本語啓蒙活動の原動力(くまか薔薇か落雁)に使うかも?しれません。