見出し画像

出会う人によって、運命は変わる。


留学生の中には
本当にスレてしまって
何に対しても無気力で
攻撃的な学生が
一定数います。


一体、日本語学校含む
今までの日本での生活で
どれだけ愛情をもらわなかったんだろう、
って思います。


留学生は、来日当初から大変です。
あいうえおも分からない状態でも
働き始めるのです。


「留学ビザ」で来日した
彼らの真の目的は、
「学問」ではなく
「出稼ぎ」であることが主流だからです。


残念ながら日本は
先進国には人気がありません。

2019(令和元)年5月1日現在の外国人留学生は312,214人(対前年比13,234人(4.4%)増)であり、留学生数の多い国・地域は中国124,436人(対前年比9,486人増)、ベトナム73,389人(対前年比1,035人増)、ネパール26,308人(対前年比1,977人増)でした。     
       (文部科学省HPより引用)


先進国からの留学生など
一部の学校にしかいないのです。
クールジャパンで日本は人気、なんて
TVの中だけの話です。


今どきは富裕層の中国人も
増えてきていますが、
都市部でなければまだまだ
経済的には苦しい状況です。


留学生たちは、日本に
足を踏み入れたその瞬間から
ストレスの多い生活を
始めるのです。


だから我々日本語教師にとって
一番必要なものは、
日本語能力を向上させる技術よりむしろ
愛情」だと思っています。


だけど、一部の日本語学校では
学生の能力向上のみをモットーに、
酷く叱りつけて
マイナスな意味で厳しくして
育てる所もあるようです。


留学生って大人なのにね。


働くのが初めての学生が
家族と別れてたった一人で
外国でアルバイトしながら
生活費と学費を自分で払って
仕送りさえすることもあるんですよ。



あなたなら、出来ますか?


私は無理です。
英国は大好きだったけど、
あの地で働いた1年だけで
ストレスが酷くて生理が止まりました。
過食で1年で10キロも太りました。
学校はよくサボりました。
愚痴ばかり言っていて
嫌な子でした。



とにかく
来日後、愛情をもらえずに
過ごして来た学生は
勤務校の入学直後から
「教師」アレルギーで
キッとした攻撃的な目で
見てくる場合もあります。


心ある教師仲間とは
「時間をかけても見捨てないようにしよう」
「変わらなくても愛情を注ぎ続けよう」
と話しています。


だけど、問題は
この専門学校にも
いろいろな教師がいるのです。


昨年度、1年生の
一番レベルの高いクラス(仮名:Aクラス)と
2番目のクラス(Bクラス)を
受け持ちました。


学生の国籍も、性格も
2クラスとも同じような
大人しい感じでした。


最初のうちは差がありませんでした。


ところが、だんだんと
Aクラスは積極的になって
発言、挙手が増えて行きました。



Bクラスはケータイをいじり出して
終了の30分前から
そわそわし出しました。


何だ!この違いは!


実に嫌なことを言います。


Aクラスの担当教師は
「偶然」粒揃いの
良い先生方だったのです。


担任は
厳しくても愛情たっぷりの
私の親友。


他の先生方も
評判の良い先生ばかりです。


Bクラスは
担任はごく普通の教師ですが、
学校の中でも
「授業中に寝る」
「授業終了30分前に終わらせる」
「開始定刻に来ない」など
批判されることの多い教師が
集まってしまっていたのです。


当初はやる気のあった学生も
定刻に来ない教師に、やる気が削がれた。
終了30分前に帰宅出来るから
他の教師にもそれをするように
お願いし始めた。
教師が寝ているから
自分たちも遊び始める。


専門学校の日本語教師は
常時不足しているので解雇出来ません。
上から注意しているようですが、
大人ですから直りません。


偶然、Aクラスに入った学生は
愛情をたっぷり受けて
真面目で熱心に育った。


偶然、Bクラスに入った学生は
やる気も愛情もない教師の下で
ぐったりとしてしまった。


親が知ったら何と思うでしょうか。


🧸🧸🧸🧸🧸🧸🧸🧸🧸🧸🧸🧸


昨日は水曜だったので
着物で授業をしました。
講師室にいたところ、
例の70代のイケメンなY先生が、

「みおいち先生、
 是非とも2Lクラスの時も
 着物で来てくださいよ!」
と、仰いました。


(↓イケメンY先生については、こちら)


2Lクラスは
私が昨年度より
マーケティングを担当している
クラスです。


入学最初、学生たちが
殴り合いのケンカをして
それが噂になり、

「みおいち先生、あの問題クラスを
 担当しているなんて大変ね」

など心無いことを言われるのが
辛かったです。


このクラスは
日本語のレベルは大変に低いです。
入学して来た時、
「ん?初級後期???」と思いました。


だけど、性格がスレずに
いつだってニコニコしていて
レベルが低いなりに
積極的に挙手して、
つたない日本語で話して、
大変可愛いまま
2年生になったんです。


周りから
「悪いクラス」と評判が立ったことは
学生たちも気付いていたと思います。


だけど、
変わらず、むしろ溢れんばかりの
笑顔がステキなクラスに育った。


どうしてだろう、
と教師担当表を見たら

あぁ、熱血のY先生が
週に3回も教えていらっしゃるからだ。
他の先生方も
愛情の多い先生が多いからだ。

と、納得しました。



Y先生は続けて

「お着物だと学生は喜ぶでしょう?
 Lクラスにも見せてあげて
 下さいよ!
 みおいち先生はLクラスは
 月曜ですね!
 じゃあ、月曜日!頼みましたよ‼︎」

と仰って、
私が返事をする前に
逃げてしまわれました。


正直、
月曜は授業数が多くて
大変なのですが、
Y先生の学生を想う愛情に
負けました。


保育園お迎え、
着物になっちゃうな。
自転車に乗れないな。
まぁ、いいか。学生のためだ。


こんな時代だもの。
就活も大変な2年生だもの。
学校のイベントも
軒並み中止だもの。
数ミリでも学生が喜ぶなら、
月曜も着物で行きますか!


P.S.私も学生のニコニコが
  デフォルトになるほど
  愛情をたっぷり注ぎ続けられる
  教師になりたい。

ありがとうございます!頂いたサポートは美しい日本語啓蒙活動の原動力(くまか薔薇か落雁)に使うかも?しれません。