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天上の視点、地上の視点。

国境の長いトンネルを抜けると
雪国であった。


川端康成の有名な小説、
「雪国」の冒頭です。


さて皆さん、物語に入り込んでください。
今どこにいますか。


車を運転していますか?
ひたすら歩いてトンネルを出たところ?


私は、汽車の中にいます。
車内の壁は木でできていて、
窓から外を見ています。
車内は寒いので、
コートを着て帽子もかぶっています。


皆さんは?



どこにもそんな描写など無いのに、
日本人は汽車に乗っている人が
多いそうです。


では、西洋人、特に英語母語話者に
聞いてみましょう。


今、どこにいますか?


西洋人は、天高くいる人が多いそうです。
天使ちゃんですね。


「空から」山やトンネルから出てきた
汽車や車や人、
それを俯瞰して見ている。


実際に幼少期を海外で過ごした
帰国子女の友人に聞いてみたところ、
彼女は「空にいる」と答えました。


日本人でも西洋の文化の影響を 
強く受けていると、
空にのぼってしまうようです。


西洋人の「自分のことを空から見た視点」
これを、「天上の視点」と言います。


日本人の「自分のことは自分の
身体の中から見た視点」
これを、「地上の視点」と言います。
地を這う様子から、「蛇の視点」だとも
言うそうです。


皆さんは、どちらの視点ですか。


もう一つ。


皆さんは探偵です。


極悪なヤクザの親分マサおじさん
(強制的友情出演)を尾行しています。


突然、後ろから頭を強打されて
気を失ってしまいました。


気がついたら知らないところにいます。
縄で手足は縛られています。
何と言いますか?


「ここはどこ?」


では、皆さんは英語母語話者です。
何と言いますか?


”Where am I?"


分かりますか?


日本人は「自分」は見えていないのです。


自分の中から、自分の眼を通して
見ているからです。


地上の視点です。


英語母語話者は、それに対して
「自分」を上から見ています。


天上から、自分が倒れて、気がついて
起き上がるところを俯瞰して
見ているのです。


だから、Where am I ?
Iは、「私は」、どこにいる?と言うのです。


そのため、英語では
しつこく「主語」が必要になるのですね。
天から「自分も」見ている訳ですからね。


そのため、日本語学習者の外国人は
省略された「主語」のない
日本語の文を読むのに
苦労するのですね。


視点の違いで、ことばも変わる。
面白いですね。


※これは、以前「フルーツブログ」で
 書いた記事を修正加筆したものです。
 フルーツブログが閉鎖され、
 ネット上から無くなってしまったのですが
 興味深い内容なので
 再度ご紹介します。
 情報は日本語講師養成講座の恩師より
 教えて頂きました。


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