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アニメ『平家物語』を観て歴史観が変わった話

今年の4月にアニメ『平家物語』を見てすっかりハマっていたのだが
つい先日コロナになってしまい暇を持て余していたので再度見返した。
自宅待機期間があまりにも長いので見返すだけにとどまらず、大河ドラマの
『平清盛』を見返し、日本史の教科書まで引っ張り出して読み返す。(源平合戦は2ページでした。もっと長くしてほしい・・・)
見れば見るほど、読めば読むほど平安末期、混沌の時代を生き抜いた彼らへ想いを馳せている。
ついにはこうやって感想文を書く始末。

私は中学2年生の頃に初めて大河ドラマにハマったのだがそれが『平清盛』であった。当時は視聴率が大変悪く確か歴代最低記録を叩き出していたのを覚えている。
それでもなぜかすごくリアルに感じてしまっていて、私は平安末期の虜になっていた。
そのころはどうしてか藤原頼長にハマっており、藤原頼長の訓戒を当時使っていたファイルに油性ペンで書いていたほどだ。(イタいので家でしか使っていない)

しかしそうはいっても主人公が平清盛であったため、清盛の死後はそこまで注目されておらず、
平家と言っても清盛と重盛、また壇ノ浦の戦いで碇を身にまとって海に落ちていった智盛くらいしか知識を持ち合わせていなかった。
しかし今回のアニメ『平家物語』では大河ドラマには描かれていなかった、
清盛亡き後の平家一族一人一人の行く末が忠実に最後まで描かれていた。
そして史実だけを見ていたらわからない彼らの喜怒哀楽がその一話一話に詰め込まれていた。

私はアニメでは平徳子が大好きでアニメを全て見終わった翌日、ちょうどお仕事がお休みだったので一人で京都は大原にある寂光院に出向いた。
一人で20代の女が遠く大原まで観光に来ていることに、地元のおじいちゃんたちは大変驚いた様子でたくさん話しかけてくれたが、
1人で京都の奥の方まで2時間以上かかけて仕事の休みの日に行ってしまう自分の行動力に私が1番驚いている。
そこには、平徳子が水を汲んだとされる井戸があり、後白河法皇と謁見したとされる大木もあった。
そこで私は思った。
年号の中の人ではなく、今こうして私がパソコンでこの文章を書いている、
こんな感じで(?)、800年前の人もしっかり実在したのだ。
(800年前の人がパソコンをしていると言ってるわけではありません)

話は変わるが、先日の安倍元首相のとても凄惨なニュースを見て、政治への関心が強くなり、歴代の総理大臣について調べることにもハマっていたのだが、
私が生まれた時の総理大臣は橋本龍太郎氏であり、母の生まれた年の総理大臣は佐藤栄作氏であった。
そして祖母の生まれた年の総理大臣は近衛文麿。
亡き曽祖母の生まれた年の総理大臣はあの木戸孝允であった。
さらにもっと言えば曽祖母が3年前程早く生まれていれば伊藤博文の時代である。

ここで何が言いたいかと言うと、急に歴史上の人物に”現実味が湧いてくる”ということだ。
ただの歴史の教科書の中の人、ではないのだ。
上記にもあるように、佐藤栄作氏と”氏”をつけているのに、それよりも前になってくるとなぜか「木戸孝允」、「伊藤博文」、といかにもキャラクターのように呼び捨てをし、(実際にキャラクターにもなっているが)今を生きている私たちとは全く違う遠い昔にいた人くらいに思ってしまっていませんか。ということである。

単純に言えば、岸田さん、というのに、伊藤博文さんとは言わないですよね、ということだ。
しかし『身近な人が生まれた時に総理大臣だった』という事実を考えるだけで、
急に現実味が湧いてくるのだ。
本当にその人は実在したのであり、生きていた。時代のつながりを感じることができる。

そしてこれは時代が違うだけで800年前、壇ノ浦で滅びた彼らにも言えるのではないか。
ちゃんとしっかりそこに、その人たちはいた。
平安京で栄華を極め、遠く太宰府まで落ち延び、最後は下関で戦って悲しみの中で死んでいった彼らは、
今の私たちみたいに、笑って泣いてたまには怒って、毎日をちゃんと生きていた人なのだ。
特に平家の彼らは生まれてから戦争を知らず、毎日詩を読んだり、笛を吹いたり、まるで貴族のように遊んで暮らしていたという話も聞く。
(和歌の名手で有名な平忠度に至っては、源氏に紛れて逃げているときにお歯黒を塗っていたため平家とバレて殺されたそう。それくらい彼ら平家は貴族のように生活していたことがわかります。)

だからもしかしたらそんな彼らは、100年前に生きていた木戸孝允らよりも、
もしかしたらだけど、今の私たちに近い感覚だったのかもしれない、そんなことまで思うと、どうしても涙が止まらなくなる思いだ。

実家が福岡なのにコロナになってしまったがために、壇ノ浦へは行けなかった。
しかし次に長く休みが取れるのは3月である。思えば壇ノ浦の戦いも3月である。
800年前に思いを馳せてしっかり拝んでこようと思った。


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