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脳科学とピアノ

「ピアニストという蛮族がいる」とは、もちろん私の意見ではありません!世界的ピアニスト 故・中村紘子さんの名エッセイのタイトル。

この本の内容をかいつまんで言えば……

ピアノは他の楽器に比べ、主旋律と伴奏を同時に弾くために練習時間が多く必要。志望者が多いため競争もより熾烈。なので、過酷な試練を経てピアニストになった人たちは、変人なのが普通。

私がこの本に出会った’90年代初頭には、自分がピアノという楽器を選ぶとは思っていませんでした。結婚前はパンク・バンドのキーボード弾き。日進月歩のシンセサイザーや、ハモンド・オルガンが愛器でした。(ご興味あればこちらの過去記事で)

なのにどうしてこの本を手に取ったかといえば、おそらくは「頭の中身がイカれた人」というのに興味があったからだと思います。

音楽バカで趣味がなんにもない私も、実は小学生の時分から脳科学(今でいう)のオタク。きっかけは明智小五郎の怪人二十面相シリーズ(江戸川乱歩)で、天才(キチガイ)科学者が自分の脳をゴリラに移植するという一話に魅せられて。

ゴリラはロロという名前。心臓移植すらもまともに成功を見ていなかった当時には、画期的な発想でした。

それで脳関連の本を、手当たり次第に読み漁りました。例えば、こんなのから。

脳科学の大御所 千葉康則先生は、私が中学生の頃には純粋に科学的な内容だけを書いていらっしゃったのです。この本は、脳内の神経が電気信号で情報を伝える法則についての解説でした。

ところが、次第に生き方についての本も多く書かれるように……。脳のクセに基づいた「うまくいく考え方」のヒントや、明るい応援の言葉に満ちていました。

「蛮族」というほどでないにしろ、音楽をやっていると神経がおかしくなることはあります。そんな時に、科学に裏打ちされた千葉先生の本は支えでした。

海外にも、脳についての面白い本はザクザク。例えばイギリスの脳神経学者オリヴァー・サックスのこんなのは、有名な古典('90年代)ですね。

これにも音楽家が登場。蛮族というより、脳の機能不全の症例だけど、音楽をやっている人には他人事と思えない部分がありそう。日常に悩んでいることがバカらしくなるような、異次元なレポートです。

私は多難な育児中に読んで、思いがけずリフレッシュしました。

21世紀になると、fMRIなど、脳内を観測する機器が開発され、脳科学で書かれる内容も大きく変わりました。

現在ニューヨークの友人の間で人気がある認知神経学者はこちら。私も何冊か持っています。脳を客観的に見る視点が新機軸。

「脳についての研究をしよう」と思っても、そう考えているのは脳なので、どう切り離したらいいのかという研究……w 

日本でも訳されているのかな?? あ、ありました!

ピアノには魔が住んでいます。突然指が動かなくなるという、局所性ジストニアなどの病気も、ピアニストに特有。多くの有名ピアニストが、意に反してステージを去りました。多分、指の機能というよりは脳神経から来ているんじゃないかと感じます。

日本で同じクラシック事務所の、こちらのピアニストも……

樋上さんと一度コンサートでご一緒した時点では、そんな兆候はなかったんですが……。シンプルで繊細なCD、こちらでご試聴できます。

ということで、「(自称)蛮族まではいってない」私。脳科学がもっともっと進んで、ピアノを弾く人のメンタルやフィジカルを助けてくれることを期待しています。そのためには、微力ながら脳科学の本をもっともっと買って読もうと思います!

◇あとがき〜お知らせ

ピアノに住む魔……会ったことがある方は多いはず。私はこの自作曲をステージで弾くと、いつも出くわします。魔のEbマイナー!

フルバージョン音源はこちら。

この曲 ”香気 (Faint Fragrance)"は、セカンド・アルバムに収録予定。その前に、9月に世界リリースのファースト・アルバムもよろしくお願いします!

ソロ・アルバム"Elegy In Violet" (Centaur Records)
アメリカの老舗クラシック・レーベルからリリースですが、ニューエイジ寄りの音。9月20日発売(各種ストリーミング、日本の輸入CDショップ等でも販売)

*楽天
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