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Netflixオリジナル 『100人の回答 人生最良なのはどの年代? 』 ーとりあえず「今」が最良と思いたいー

100 HUMANS(100人の回答)2020年 ( Netflixオリジナル )
Season 1-2 「今、人生最高峰?」

家に籠る生活になってから、NetflixやAmazon Prime Videoが以前にも増して生活の一部となっている今日この頃。

最近のお気に入りはNetflixオリジナル『100 HUMANS(100人の回答)』

この番組は、年齢、人種、バックグラウンドが異なる100人のアメリカ人を集めて様々な実験を行うドキュメンタリー番組。まだシーズン1を全て見終えていないけど、エピソード2の「今、人生は最高峰?」の内容がとても興味深いので感じたことを書き留めておく。

シーズン1-2では「人類が最も有能なのはどの世代か?」の答えを探るべく、年代別(20代、30代、40代、50代、60代の5つの年代)にグループに分かれ、いくつかの実験が行われる。

実験内容は以下の通り。

1. 挙手跳躍(体力検査)
2.チームワークとコミュニケーション
3.短期記憶がいいのはどの世代?
4.技術を駆使できる世代は?
5.創造的思考および問題解決に優れた世代は?

手始めに行われた「挙手跳躍」は要するに体力テスト。
これは20代がダントツ。もちろんそうなるだろう。
運動能力が優れているのは当然ながら若い世代。

でもその後の実験ではそうはいかない。

たとえば「チームワークとコミュニケーション」では60代が堂々のトップとなる。

また、「短期記憶」では一番不利かと思われた60代はかなり健闘し、結果、20代→30代→60代→50代→40代という順位。

「技術を駆使できる世代は?」というお題ではなんと再び60代がトップ!(2位は20代)
この結果について、ダニエル・ピンク(モチベーションのエキスパートでベストセラー作家)は、『「流動性知能」は20代をピークに衰えるので、この知能に代表される処理速度の速さなどは若い方が優位。一方で蓄積されてきた知識である「結晶性知識」、いわゆる実績に優れているのは50代・60代』と解説。
それぞれの年代の強みが結果に反映されていると言える。

最後のお題「創造的思考および問題解決に優れた世代は?」では、計画能力、記憶力、問題解決能力、集中力、チームワークといった多岐にわたる能力全てが試される。ここではずっと低迷し続けた40代が勝利した。

結果、総合で1位が20代、同列2位が30代と60代という成績に。

ところで、なぜ体力や経験で最もバランスがとれていると考えられる真ん中の世代(30代〜40代)が低迷気味であったのか?

前出のダニエル・ピンクはこれについて、「人生における人々の幸福度と満足度」がU状の曲線(U状:20代と60代が高く、真ん中が低い「U」の形)であることを引き合いにだす。

『若さを謳歌する20代は幸福でその後30代・40代と幸福度は下がり続け底をつく。そして60代に向けてまた上昇していく』というのだ。
この説明、妙に納得してしまう。

そして、この実験の結果を見てなんだかとても嬉しかった。
おおげさに言えば「人生には希望がある」と感じた。

若ければ若いほど能力が優れていて幸福ならば、人は年を経ると共にそれらを失い、絶望に向かって生きなければならなくなる。
年をとることはただただ怖いこと、あるいは不幸なことになってしまう。

でも、この結果はそれを否定している。
20代が感じる幸福と60代が感じる幸福はきっと種類が違うものなのだろうけど、なにはともあれ、自分の未来に幸福な時間が待っていると思えることは生きていく上でとても大切なことだ。

一方で、低迷する30代、40代、50代とはどんな年代だろう。
多くの人は家庭を持ち、子供を育て、仕事をこなし、社会の中核を担っている。忙しいその生活の中では幸福感を味わう暇などないのかもしれない。
あるいは、今まで謳歌してきた若さ・体力が衰えることへの諦観と、一方で蓄積した経験によって得た知恵や能力の狭間でもがき幸福感が低いのかもしれない。

自分自身のことを振り返れば、20代の頃は自分が年をとることなどうまくイメージできなかった。もし健康で生きることができたならやがて老年になることは間違いないのに、それについて真面目に考えたことはなかった。というより、できれば目をそらしておきたい事実だった。

当時は自分が手にしていた「若さ」という価値が絶対で、「今が人生で一番良い時期」とさえ思っていた。
でも、実際に年を重ねていけばそうでないことはわかってくる。20代の頃の方がよかったことももちろんあるが(それこそ若さと体力)、今の方が良いこともたくさんある。失ったことで別の物を得た感じ。
実際に年を経れば経るほど生きるのが楽になっている。

ともあれ、どの年代が最高峰かはわからない。
人それぞれ良い時期は違うだろう。
でも、それぞれの年代でしか得ることのできない良さが必ずあり、それらが別の年代では失われてしまう、あるいはまだ得ることができないとすれば、どの年代もどっこいどっこいだ。

そういう意味ではどの年代においてもそれぞれに最高峰になりうると思う。
そして「今」を生きているのだから「今」が最良でありたいとも思う。

少なくとも60代の実験参加者たちのバイタリティや笑顔を見て、彼らよりも下の世代は年をとることに希望を持つことができる。そして希望を与えることができる60代はそれだけでも存在価値が高いのだと思うのであった。



写真:犬島にて

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