西倉美祝 / MinoryNISHIKURA

一級建築士・リサーチャー / MACAP主宰 / 京都(+横浜)拠点 / U35 2…

西倉美祝 / MinoryNISHIKURA

一級建築士・リサーチャー / MACAP主宰 / 京都(+横浜)拠点 / U35 2022入選 / SDレビュー2018入選など / 相談・依頼:nishikura.minory@gmail.com / インスタ:http://instagram.com/minoryarts

マガジン

  • オルタナティブ・パブリックネスとは?

    MACAPでは「オルタナティブ・パブリックネス(Alt.Publicness=APness)」という公共性のビジョンをもち、建築設計とリサーチに取り組んでいます。 このマガジンは、そのオルタナティブ・パブリックネス関連の記事をまとめています。 これは、建築という実践から公共性を考えたもので、社会学や公共哲学における本筋の人文学的な公共性論を大いに参照しながらも、 それらとは少し違った視点や目的を提供することを目指しています。 自分の活動原理ということ以上に、多くの人に公共性を議論し、意識してもらうキッカケを作るために考えた概念なので、 ゆくゆくはみんなで一緒に議論し、みんなで一緒に深掘りしていければと願っています。

最近の記事

  • 固定された記事

オープンデスク生・アルバイト・スタッフ募集について

MACAPではオープンデスク生・アルバイトなどを募集しています。 下記「01.業務概要・事務所住所」「02.応募要項」をご確認の上 メール(nishikura.minory@gmail.com) もしくはX(旧Twitter)の西倉アカウント(@MinoryArts)のDMまでご連絡ください。 01.業務概要・事務所住所[業務概要] MA :建築設計(住宅の設計など) CAP:リサーチ業務、出版関係の作業 下記ウェブサイトにも実施したプロジェクトの一部が載っていますので

    • 卒業設計の社会依存症候群

      「卒制」とは建築学科の卒業設計(もしくは卒業制作)のことだが、 「せんだいデザインリーグ2024卒業設計日本一決定戦(通称SDL2024)」のエスキス塾というイベントで、卒制の講評を担当した。 全国から数百にものぼる卒制が集まりせんだいメディアテークを模型で埋め尽くすSDLはまさに「卒制の全国大会」といった様相だ。 自分もかつて、2012年開催のSDL2012で特別賞をいただいたが、 卒制をエスキス・クリティークするのは約10年ぶりのことで、 やはり時が経つと良くも悪くも傾

      • パラレルワールドの地図をAIで作る

        AIでパラレルワールドの地図を作る そんな自主プロジェクトを昨年から進めている。 実際の建築設計の過程で 「敷地周辺の地図を画像生成AIに読み込ませて、敷地のパラレルワールド(っぽい)地図を作成する」 というもので、 AI-PW(パラレルワールド)地図プロジェクト と、命名してみた。 実はプロジェクトを一緒にやってくれていたオープンデスクの塚本くんがしばらく来れなくなったので、 一緒にパラレルワールド作りをしてくれるオープンデスク生の募集(建築学科でない方も可)も兼ね

        • 役にたつ建築批評をしたい

          これまで他の建築家よりも文章を書く機会に恵まれてきた自分だが、 建築批評を書いてもイマイチ他の人にリーチしていないという印象を常々感じている。 特に、建築関係者ではない人たちに意味のある批評を書けていないなーと感じていて、 これからは「役にたつ建築批評」を書くことを心がけようと思い立った。 例えばこんな感じ。 建築批評が建築物の価値を持ち主や設計者にフィードバックする流れを作りたい。 建築好きが嗜むための美麗なテキストや曖昧模糊な比喩表現、 「建築の楽しさ」を伝えるといっ

        • 固定された記事

        オープンデスク生・アルバイト・スタッフ募集について

        マガジン

        • オルタナティブ・パブリックネスとは?
          4本

        記事

          参加者募集!品川でエクストリーム行為の実験します!

          品川駅海側の港南エリアで10月下旬 Ex.(エクストリーム)行為調査をやることになりました。 そこで今回は、僕たちと一緒にEx.行為調査をやってくれる調査員を募集しています! 経緯としては、 港南エリアのエリアマネジメント「品川スタイル研究所(品スタ)」にて、 10月23~29日にプレイスメイキングの実証実験イベントがあり、 それに合わせて計3日、下記の概要で港南エリアのポテンシャルを測る調査をすることになった次第です。 ◎概要(詳しくは下画像の調査員募集フライヤーをご覧

          参加者募集!品川でエクストリーム行為の実験します!

          書評:「公共哲学入門」

          僕たちは先人が丁寧に整えた社会のシステムの恩恵に預かりながら生き延びている。 それは、目で見ることのできる交通・上下水・電気インフラのような物質的なものだけでなく、法律、選挙などの社会システムのようなもの、 さらには公共性、共同体、各種政治イデオロギーなどの個々人のアイデンティティの根幹を担うような概念構造にまで及ぶ。 僕たちはまだまだ多くの社会的な課題を抱え、新しく生まれる問題にも直面しているとはいえ、 人類の歴史を振り返ればこれほど安定して、民主的と言われるような時代は過

          書評:「公共哲学入門」

          建築批評:House O(設計:木村松本)/リアリティの在処

          2023年3月21日、 木村松本建築設計事務所が設計した住宅 House O のオープンハウスに伺った。 木村松本設計の建築物をナマで拝見させていただくのは、実は今回が初めての機会。 古い納屋をリノベーションした住宅とのことだが、 あんなかんじだろうか?こんな感じだろうか?・・・と、想像を膨らませながら、琵琶湖線に揺られ、現地へと赴いた。 結論、期待していた以上に発見の多い、素晴らしい建築だったので、 忘れない内にレビューを書いておこうと思う。 なお、上述の通り木村松本

          建築批評:House O(設計:木村松本)/リアリティの在処

          展覧会レビュー:アンディ・ウォーホル・キョウト(京都市京セラ美術館)

          師走の慌ただしさをそのまま引きずり、未だに右も左も見るいとまのない今日この頃、 2/12で閉会してしまうことに気づき、京セラ美術館(京都)のアンディ・ウォーホル展に2/11早朝、妻子共々駆け込んだ。 とっても良い展示だったので、忘れぬうちにバーッと、思い当たることを記しておこうと思う。 01.「政治的な作家」というウォーホルへの憶測まずはじめに、僕は特段ウォーホルに詳しいわけではない。 加えて、美術の専門家でもない。 その点を踏まえた上で以下のレビューを捉えて欲しい。 も

          展覧会レビュー:アンディ・ウォーホル・キョウト(京都市京セラ美術館)

          オルタナティブ・パブリックスについて

          この記事では「オルタナティブ・パブリックス(Alternative Publics = APs)」について説明する。 オルタナティブ・パブリックス(APs)は、建築を専門とする自分が公共性のあり方をとらえる上でヴィジョンとしている 「オルタナティブ・パブリックネス(Alternative Publicness = APness)」 という公共性論の中に出てくる概念であり、 社会の中にいくつもある大小さまざまな空間・圏域・場所を表現した言葉だ。 これら2つの用語は他の記事で

          オルタナティブ・パブリックスについて

          MACAPのお仕事について

          こんにちは、MACAP代表の西倉美祝です。 ここではMACAP(メイキャップ)のお仕事について説明させていただきます。 MACAPはMAとCAPという2つのチームで出来ていています。「デザインもリサーチもする」というのがMACAPの特徴です。 以下では、それぞれのお仕事の特徴や進め方について説明いたします。下にある目次のうち、気になるものからクリックしてご覧になっていただけますと幸いです。 直接ご相談されたい方は、各種SNSのダイレクトメッセージ、 および下記メールアド

          MACAPのお仕事について

          メモ: 建築における公共性(物理的公共性と政治的公共性)

          建築から「公共性」を捉え、 逆に、「公共性」から建築を形作る際、 以下のこと意識しないといけないと考えている。 「物理的公共性と政治的公共性を混ぜてはいけない」 今日は「物理的公共性-政治的公共性」について、メモを残す。※1 01.建築の空間、社会学の空間 「空間」という概念は、建築と社会学・政治学ではニュアンスが異なる。 仮に、前者の空間を「物理的空間」、 後者の空間を「政治的空間」と呼ぶなら、 物理的空間はその名の通り物質的で、 多くの場合具体的なサイズと外形

          メモ: 建築における公共性(物理的公共性と政治的公共性)

          商業空間から視る公共性、建築から視る公共的空間、オルタナティブ・パブリックネスについて(アーキフォーラム2022 第3回)

          8月6日大阪で開催されたアーキフォーラム2022というイベントで、公共性をテーマに話す機会をいただいたので、その内容をnoteにもまとめることにした。 建築空間にとっても重要な「公共性」という議題は、反面、建築業界で議論される機会は限られており、 残念ながら、非常に浅いレベルかつ都合の良い形で、建築家のプロップスとして用いられるケースが多い。 そのため、8月6日の白熱した議論の場はなかなか得難いものだった。 関西の建築コミュニティのリテラシーの高さと、議論をコーディネート

          商業空間から視る公共性、建築から視る公共的空間、オルタナティブ・パブリックネスについて(アーキフォーラム2022 第3回)

          建築批評:太田市美術館・図書館(パラレルワールドと建築)

          年末に太田市美術館・図書館(設計:平田晃久建築設計事務所 竣工:2017年)に伺った。 設計段階から市民の意志を積極的に反映した設計プロセスが話題となっており、 竣工後も非常に高い評価を得ていたと記憶している。 ずっとナマで体験したいと思っていたが、 今回仕事で前橋の方に行く用事があり、その途中で立ち寄ることができた。 結論から言うと太田市美術館・図書館は 「2つの全体性、2つのリアリティを併存させているスゴイ建築」 だった。 以下ではそれがどういうことかを言葉にしてみる。

          建築批評:太田市美術館・図書館(パラレルワールドと建築)

          SANAA展考察 「収束しない、2つのフィクション」

          「TOTOギャラリー間」で開催中の、 妹島和世+西沢立衛/SANAA展 「環境と建築」 これがスゴかった。 SANAA 妹島和世氏と西沢立衛氏からなる、言わずと知れた世界レベルの建築家ユニット。 今までいくつも実物の建築を拝見したが、どれもスゴイ。 さらに今回は現在進行中のプロジェクトをメインにした展示(一部例外アリ)ということもあり、 いつもとは少し異なる角度からのインパクトだった。 ・・・でも「SANAAはスゴイ!」なんて、 建築業界の人なら誰でも分かっていることを、

          SANAA展考察 「収束しない、2つのフィクション」

          建築批評:横須賀美術館(「景色」について)

          01. 横須賀美術館へ2021年末に家族で横須賀美術館を訪れた。 今までにも何度か来たこともあり、好きな建築の1つだ。 今回は1歳8か月の息子を連れ、建物前面に広がる芝生の広場で一緒に遊ぶことを楽しみにしていた。 芝生の広場は、敷地境界線に向かって勾配1/20の緩やかなスロープになっており、 レストランのテラス席からは、芝生・道路・海・空が一連の、連続した風景のように見える。 すぐ手前の地面がそのまま、遠く、遠くの風景に続いていく様を眺めるのはとても気持ちがいい。 不思議

          建築批評:横須賀美術館(「景色」について)

          建築批評:OM TERRACE(実体のない公共建築 / 実体過剰な民間建築)

          先日RFA(藤村龍至氏)設計のOM TERRACEに伺った。 短い時間ながら、とても刺激的な体験をさせていただいた。 後でRFAウェブサイトを拝見すると、「連続体」と「1.5次部材」がこの建築のテーマだったようで、 なるほどなるほど・・・僕の感想にある「(不可視の)トラフィック」と「アドホック」はそこから来ているのかと、論理的な合点もいった。 そんなことを考えていると、中村義人氏がこんな問いが投げかけられた。 「市民に曝される」とは、汚れや傷といったものが市民の利用によ

          建築批評:OM TERRACE(実体のない公共建築 / 実体過剰な民間建築)