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発達障害の大きなカテゴリー分けと特徴について① (ASD)

前回の記事では、
発達特性を持つ児童への理解と適切な対応を現場(保育園や学校)に求めることは現状では難しい為、保護者や児童自身が理解を深めて、具体的な対応を見つけ、現場に伝えることが現実的でより良い環境を作る方法だ
といった内容を説明した。

前回の記事を踏まえ
「大きく分類した特徴、対応策と分析の仕方」
の説明をしていく。

発達障害とは、大きくカテゴリー分けで以下の4種類に分類される。

  1. ASD(自閉症スペクトラム)

  2. 知的障害

  3. ADHD(注意欠陥多動性障害)

  4. LD(学習障害)

今回は、ASD(自閉症スペクトラム)とは何か?
また、それに対する対応策(社会生活を送る上で、困り感を減らす方法)を書いていこうと思う。

ASD(自閉症スペクトラム)とは
正常な社会的関係を作ることができず(社会性の障害)
言葉の使い方に特徴があったり(コミュニケーションの障害)
限定的な行動に拘りをもったりする(反復した常同的行動)

といった特性をもつ障害のことを指す。

自閉症やアスペルガー症候群などがこのASDのカテゴリーに含まれる。

【スペクトラム】とは連続している、という意味であり
現状では特性が相互作用していることで障害名を特定することが難しい為、ASDと包括して表現することが多い。

要約すると、自閉傾向は全てASDで一括りにされている、ということだ。

自閉症であれば

  • 社会性の障害

  • コミュニケーションの障害(言語の発達の遅れを伴う

  • 反復した常同的行動

  • 知的発達の遅れ

といった特徴が見られるが、

アスペルガー症候群であれば(最近インターネットでは、よく“アスペ”と見られるようになった)

  • 社会性の障害

  • コミュニケーションの障害(ただし、言語の発達の遅れは伴わず、人とのやり取りの苦手さがある

  • 反復した常同的行動

  • 知的発達の遅れがない

といった特徴が見られる。


自閉症
であれば【知的発達の遅れ】や【言語発達の遅れ】などの特徴がある為、障害を特定し易く、支援を受け易い。

加えて、知的発達の遅れ言語発達の遅れ、の有無は実は乳幼児の時期から分かり易い
顕著な運動発達の遅れは、そのまま知的発達の遅れに直結する。

何故なら、首がすわる、寝返り、などの運動発達はそのまま脳の発達と直結している為、運動発達が遅れれば、脳の発達の遅れに繋がり、そのまま知的発達の遅れに繋がるからである。


アスペルガー症候群は【知的発達の遅れ】や【言語発達の遅れ】などの特徴がないために気付くことが難しい。
加えてコミュニケーションや社会性の障害により、無自覚に他者との関係に摩擦を生んでしまうことが問題点として挙げられる。年齢を重ねるごとに、徐々に他者から疎まれていくパターンが多い。

一見、「普通」に見えてしまい、支援を受け辛い。
運動発達も問題なく進むことが多く、早期発見は難しい。


また、上記ASD4項目の特徴にはないが、現場でよく見られる特徴として触覚の感覚過敏視野遊びなどが挙げられる。

触覚の感覚過敏とは、触覚の感覚情報が多く入ってくる故に、過敏に反応してしまうことを指す。
例としてあげると、砂場遊び、ボディペイント、などの遊びの苦手さや、他者からのボディタッチの拒否、服の素材に拘る、など。

視野遊びとは、動くものに注目し続けることができない為、視野の中央以外の部分で動くものを見て、遊ぶことを指す。
視野遊びをもっと噛み砕いて説明すると、視界の中で動いているものがあっても、そのもの自体には注目せずに、視野の中で動きがあることを楽しむ遊びなのだ。
例としてあげると、トイレの流した時の水を見る(水が止まると興味をなくす)、室外機のファンを見る、視野の中央以外の範囲で手を振って遊ぶ、など。

これらの感覚過敏や視野遊びについては、また今後詳しく記事を書いていこうと思う。

対象児童の好きな遊びや、好きな物、日常生活をよくよく観察していくと、次第に何が好きか、何が嫌いかが分かってくる。

会話ができる知的能力のある児童であれば、直接尋ねるのも効果的だ。
「それのどういうところが好きなの?」「どこを見てるの?」など。


そんなASD特性を持つ人の社会適応のための対応策とは、コミュニケーション能力の向上が挙げられる。

何故、コミュニケーション能力の向上を図る必要があるのか、というと
知的障害の有無に関わらず、ASDの社会参加の際の問題点となりうるのは、対人コミュニケーション社会性の障害の2点であるためだ。

自身の考えや想いの表出、言語化が難しく、他者の気持ちの想像が難しい。(対人コミュニケーション
他者との協調性の問題。(社会性の問題
これらは、社会に参加する上で欠かせない能力であるからだ。

知的障害があれば、繰り返し反復させて、テンプレートとして記憶させれば良い。
困ったことがあれば「誰か助けて下さい。」と声を出す、カードを出して見せる、などが例として挙げられる。

知的障害がなければ、自身の考えや想いを言語化して表出する練習をすれば良い。
考えや想いの言語化をする際に、本人が適切な語彙を持ち合わせていなければ、考えや想いを代弁し、それに合った表現を繰り返し教えていくことで、獲得すれば良いのだ。
SST、ソーシャルスキルトレーニングと言われる訓練である。
SSTに関しての詳細は、また今後記事として挙げていこうと思う。

簡潔にまとめると、彼等の問題点である
・対人コミュニケーション
・社会性の問題
は、社会参加する上で必要な能力であるため、場面に適したコミュニケーションの能力を獲得することで、社会参加の際の困り感の改善、または解消に繋げていこう、というのがASDの一般的な対応策である。

まだ感覚の問題や、常同行動などの問題もまだ残ってはいるが、それらはまた今後の記事に詳しく書く予定だ。

今回はASDの特徴と分析、対応策について書いた。

次回は知的障害の特徴と分析、対応策について書いていこうと思う。

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