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理解力と昇進昇格アセスメント(インバスケット演習)

・ある海外子会社で現地採用の社員と人事制度上のトラブルが発生した。

・業界5番手の競合が2ヵ月前に出した新製品の売上が絶好調。

・本部長の年度方針と部長の四半期方針、明らかに食い違っている。

・これまでターゲットでない九州で自社サービスを使用する人が増えている

仮に現実の仕事でこんな問題(マイナス)や事案(プラス)に直面した場合をイメージしてみてください。

この「直面した場合」ですが、そもそも「ある海外子会社で現地採用の社員と人事制度上のトラブルが発生した」「業界5番手の競合が2ヵ月前に出した新製品の売上が絶好調」「本部長の年度方針と部長の四半期方針、明らかに食い違っている」「これまでターゲットでない九州で自社サービスを使用し始めている」というキレイな形であなたの近くに存在することはありません(わかり難い?)

・何だか海外子会社の社員の出勤率がデータ上で下がってるんだけど…

・見下してた競合メーカーの口コミ、SNSで頻繁に見かけるよな―。

・部長、何だか元気いいね~。

・カスタマーセンターへの問い合わせ、九州エリアが倍増でない??

このように原始的というか断片的というか、誰かの呟き的というか…。

この一次情報(?)を、あなたが感じたか、あなたが聞き留めたか、するとあなたはモヤーとした問題意識に苛まれる訳なんですね。

てことは、「海外子会社の社員はカーニバルの準備で忙しいのか?」

てことは、「見下してた競合メーカーにお詫びにいこうかな?」

てことは、「部長、そろそろ本部長ポストかな?」

てことは、「九州エリアで効き目ある営業施策を打ったのかな?」

この問題意識、前の2つは可愛くて、次の1つは意味が不明、最後の1つはソコソコかなとなってますが、仮に現実の仕事の中、この段階でウラを取らず、これが直面する問題なのねと確信して「カーニバル頑張ってねのメールを入れる」「競合メーカーにいる知り合いにアポとる」「部長の子飼いになることを申し出る」「九州エリアから東アジアエリアに横展開するよう指示する」

まさか、こんな愛いことは絶対しないでしょうに…。

けど、インバスケット演習の中では、こんな愛い受講者の方、かなり多いんですよね…。

このような指示を書いてしまう受講者の方、失礼ですが、今年の昇進昇格アセスメント・人材アセスメントは失敗したかなと思っていただいたほうが安心です。

「仕事の中では絶対こんな失敗しない」、「けど昇進昇格アセスメント・人材アセスメントでは失敗した」、となると会社判断・人事部判断は「普段の仕事でも失敗するリスクあるかもね」となるということです。

私たちの別チームである「未来のアセスメント」で作成・活用しているインバスケット演習は難易度が高いものが多く、企業さんにはご好評をいただいているようです。

<原始的・断片的・誰かの呟き的の一次情報>

・カスタマーセンターへの問い合わせ、九州エリアが倍増でない??

<モヤーとした問題意識への昇華>

・九州エリアで効き目ある営業施策を打ったのかな?

<直面する問題>

・これまでターゲットでない九州で自社サービスを使用する人が増えている

<インバスケット演習の解答用紙への記述の趣旨>

・九州エリアから東アジアエリアに横展開するよう指示する(ここは少しロジック飛んでて可笑しいけどね)

ただ、この構造を是とするためにはインバスケット演習の中での証拠提示が必要となってきます。

<原始的・断片的・誰かの呟き的の一次情報の②>

・大阪の西日本営業本部の凄腕メンバーが博多・中州に入り浸りだって!

<原始的・断片的・誰かの呟き的の一次情報の③>

・アドアド博多㈱の請求書、初めて回ってきたけどココ何してる会社?

このように「九州エリアで効き目ある営業施策を打ったのかな?」「これまでターゲットでない九州で自社サービスを使用する人が増えている」に結び付くような一次情報を他の案件にコッソリと、かつ勘違いをさせるかのごとく塗し込むんですね。

おそらく普段の仕事の中では、受講者の皆さん「カスタマーセンターへの問い合わせ、九州エリアが倍増でない??」「大阪の西日本営業本部の凄腕メンバーが博多・中州に入り浸りだって!」「アドアド博多㈱の請求書、初めて回ってきたけどココ何してる会社?」の一次情報に直面した際には、問題意識が合ってるか間違ってるか調査をするものと思います。

ただし、昇進昇格アセスメント・人材アセスメントのインバスケット演習の中では意味ある調査ってできないんですよね。ケーススタディの閉じた架空の状況なので…。

なので調査できないけど、他のファクト(一次情報)を組合わせて考えると、何となく「九州エリアで効き目ある営業施策を打ったのかな?」「これまでターゲットでない九州で自社サービスを使用する人が増えている」に向かうようにケースを作成しています。

そこで、ケース作成者側が設定している一つの正解パターンに向かうためには、「この案件と他の案件を重ね合わせて広く理解すること」がポイントとなってくるわけなんですね。

他、インバスケット演習の解答用紙に「じゃ、九州エリアが倍増となった理由を調べるように」「博多・中州に入り浸っている背景を確認するように」「アドアド博多㈱が何をしている会社なのか、あの会社を使って(W)調べるように」なんて普段の仕事のように指示しちゃう受講者の人、いつも言ってますが、この調査依頼は全く評価にならないマズイ指示内容ですからねって意味が、ここまでで明らかになると思います。

普段の仕事の中では「原始的・断片的・誰かの呟き的の一次情報」「モヤーとした問題意識への昇華」「確認・検証するための実調など」がセオリーであり、これせずに指示したり、動いたりする人は「何だかねの人」になります。

一方、インバスケット演習の中では「確認・検証するための実調など」ができないという構造なので(指示しても問題ないけど、答えは返ってこないからね)、他のファクトを広く幾つか集めて「①のファクト候補からの仮説⇒検証」「②のファクト候補からの仮説⇒検証」が高い評価へのセオリーとなってますので注意が必要です。

ということで今日の記事は長かった…。続きがあるかもしれませんが、あまり期待をせずにお待ちくださいますようお願い申し上げます。


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