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読書記録:きらきらひかる 江國香織

初めて読んだ、江國香織さんの小説。
江國さんを好きな友人に、デビューの一冊を選んでもらった。

「重いと思う」と言われたが、うん、否定しない。でも、心地よい類のものだった。

笑子の残酷なまでの純粋さとか、睦月の噓偽りない優しさとか、紺の真っ直ぐさとか、、繊細できれいな心たちが、とても沁みる。相手を思いやるゆえに起こるすれ違いや、行き場のない怒りや悲しみは、読んでいて痛々しく、なんだかやり切れない。みんな、心が一生懸命だ。相手の感情と自分の感情に正面から向き合って、逃げずに受け止めている。だから傷つくし傷つける。


あとがきに、”ごく基本的な恋愛小説を書こうと思いました”とあった。

ここで描かれている”好き”というのは、「〇〇な所が好き」とか、そういう条件みたいな、言葉で片づけられるような”好き”じゃなくて、”心で好き”というか、、うまく言葉にできないが、でも確かに、”基本的な”、”好き”なのだと思う。誰にも邪魔できない、常識や世間体にも惑わされないし屈しない、全力で守りたいと思えるもの。なのにいつ壊れるかわからないもの。愛って、なんて哀しくて、強いのだろう。まだ知らないけれど、きっときらきらしたものなんだろうなあ、なんて思った。



この小説を読んで、これが良いと薦めてくれた友人のことを、さらに好きになったし、彼女が友人であることを誇りに思う。


素直にいえば、恋をしたり信じあったりするのは無謀なことだと思います。どう考えたって蛮勇です。
それでもそれをやってしまう、たくさんの向こう見ずな人々に、この本を読んでいただけたらうれしいです。

本書あとがきより


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