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「紛争地で「働く」私の生き方」の衝撃

「紛争地で「働く」私の生き方」の衝撃

本書を一気に読破し、気持ちが落ち着いた時に思ったことは、こんなに信頼できる人、そして言葉はないということだ。

日本にいたら紛争地域と関わらないこともできる。むしろ関わらない方がマジョリティであり、それゆえ、平和に、安全にに生きていくことがかなりの確率で保障されていると言っていいだろう。
普通の人であれば、この紛争地域を自分ごと化できる方が難しいかもしれない。

著者を突き動かし続けている根本は、

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AIについて考えることは、即ち人間について考えることである

AIについて考えることは、即ち人間について考えることである

AIについて考えることは、即ち人間について考えることである。

本書を読み終えて、いかに私たちが、私たち自身について知らない、あるいは、定義をできないことが多いかを思い知らされた。

たとえば、私たちを知的たらしめている一つの能力として「無視する能力」がある。日常生活において、その場において重要ではない情報を無視することができるおかげで、さまざまなことを柔軟に対応することができているのだ。

また

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日常で面白いを生産する才能

日常で面白いを生産する才能

オモコロのライターたちが好きだ。
目の付け所と何事も面白がろうとする力が天才的なのだ。

岡田さんもその一人だ。彼は、おそらく私と変わらないであろう日常の中で、誰も考えつかないようなことに疑問を抱く。そしてそれを追いかけ続ける執念が普通ではない。

誰が取扱説明書に登場するドコモ太郎の人生をたどろうと思うだろうか、機関車トーマスの事故回数を数えて安全報告書を作ろうと思うだろうか。

それらをリズミ

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この世界はもっと驚きに満ちている。森田真生さんと散歩をしながら思ったこと

この世界はもっと驚きに満ちている。森田真生さんと散歩をしながら思ったこと

森田真生さんという、数学の研究者がいる。私は彼が書く本が大好きで、(たぶん)全ての著書を持っている。

「大切なものは目に見えない」とよくいうけれど、森田さんは、この世界との対話を通して、その大切なものを見つめ、時にはそれを掴む力がある人だ。

この世界は、私たちが想像するよりも、たくさんの驚きに満ちていて、美しく、そしてかけがえのない一瞬の積み重ねであることを気づかせてくれる。

目の前のものや

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星野源さんへ、貴方の文章にとても勇気をもらいました。

星野源さんへ、貴方の文章にとても勇気をもらいました。

星野源のエッセイを読んだ。
そして後悔した。というより、怒った。
なぜ今日まで誰も、私にこれを読めと勧めてくれなかったのだと。

最初に「そして生活はつづく」を読み、私はあまりにびっくりして、急いで他の本も全部ネットで買った。なんて人なんだ、この人は・・・
私まで、何か書かなきゃという衝動に襲われ、このnote に向かっている。別に誰かに読まれることを期待しているというよりかは(無論本人に届いて欲

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さかなクンはいかにしてさかなクンになり得たのか

さかなクンはいかにしてさかなクンになり得たのか

『さかなクンの一魚一会』
著者:さかなクン

さかなクンの自伝書。
さかなクンがいかにしてさかなクンになり得たのかがよくわかる。

「好きなことを仕事に」とか、「好きなことに没頭させるのが一番」とか、よく聞くようになったけれど、その究極の1人であるさかなクンから学べるのは、親がそのように育てようと思うと相当な覚悟がいるんじゃないかということだ。

子どもの教育には、環境が大事というけれど、それはも

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子どもを持ち、新しい人生に出会う

子どもを持ち、新しい人生に出会う

岡田さんの文章はこんなに力強かっただろうか。

前著を読んだのはだいぶ前だから、もしかしたら全然変わっていないのかもしれないが、たしかに、言葉に強い芯のようなものが宿っているように感じた。
そうだとしたら、間違いなくこの本で描かれている"子どもを持つこと"がそうさせたのだと思う。

いままで自分のために流れていた1分1秒の時間が、誰かのものとなっていくだけでなく、輝き出していく。この本は、そんな時

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