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身体性とコミュニケーション


年末感溢れる街を抜けて、先輩たちと行ったバーで、「結局人間の本質的な部分は変わらないよね」という話をした。
普段そんなに口数は多くないけれど、お酒が入ると饒舌になる男の先輩は、色んな人の人生相談にのっていて、その相談力の高さに驚きつつ、デザインの話を深く語ってくれたりしてその見識の深さにすごいな〜と思ったり。

外はしんしんと雪が降る中、あったかい空間でそういう話を聞いている時間が心地よかった。




「直接的なコミュニケーションが減ったけど、こういう無駄な時間がいいのにね」
人生相談役になっていた先輩が言っていたことで特に印象に残っていた言葉。

直接会って、時間を共にする。人と会って、一緒の場に居て、空気感を共有しながら、美味しい料理を食べて、、、。
それって実はとっても解像度の高い、身体性を伴う体験だなぁと思った。

この2年で人との関わり方って大きく変化したとは思うけれど、良くも悪くも感情の振り幅が小さくなった。

オンラインのコミュニケーションも普通に楽しくて、遠い所にいる友達といつでも会える便利さがある。と同時に、割と簡単に記憶から薄れていってしまうことを去年実感した。
逆に3年以上前であっても、「あの先輩と美味しいお店に行ってあんな話ししたなあ」という自分が足を動かした体験の伴う出来事は、当時のお店の雰囲気や匂いも含めて1つの情景として思い出される。

小さなPCの画面1つの中での出来事はなんでこんなに記憶に残らないのだろう。


デジタル化が進んで色々なことが便利になったし、スマホ1つあればほとんどやりたいことはなんでもできてしまう。

だけれどやっぱり、直接足を動かしたり、その場の持つ空気感に圧倒されたり、可視化されてる訳ではないけれど自分の身体性を伴う体験って変わらず大切なことなのかな、と思う。旅行とかライブとかもその場に行くからこそ楽しめるものだしなぁ。


身体性が伴うからこそ、伝わること、理解できること、実感することがある。

それを去年ぐらいからずっと感じていて、感じていたからこそ、2021年は身体を動かして創りたいという気持ちが強くて。4年間大学で空間デザインを学んできての卒業制作には身体性をテーマにデザインしたり、制限などはあったにしろ、いつも以上にアクティブに活動していた気がする。というか、自分らしい「ノリ」を少しずつ取り戻せたような感覚。

自分が動くと、周りの色々なものが動く。というのは本当にその通りで、たくさん色んな人と関わったおかげで、とても面白い1年だった。

高校ぶりに「あ、この人は本当にすごい人だ...」と尊敬できる先生を見つけたし、他の学科の子(彫刻や油画、日本画など)と一緒にプロジェクトを行ってその視点の違いに感動したし、全く異なる分野の人と新しい交流ができたりもして、そういう人達と話す時間は発見も多かった。


ちょっとだけ卒業制作の話に触れさせてもらうと、「今年は人と関わりながら制作したい」と思っていたので、地域のある団体の方に協力をお願いした。その方たちは、特にデザインや美術などクリエイティブ系に関わっている訳ではない人達で、年代もバラバラ。だからこそ「伝える」ということにとても苦労した。

社会人からしたら当たり前の話なのかもしれないけれど、美大にいると、美大の中だけで完結することが多くて、デザイン系の人に伝わる言葉だけで話しがちだ。だけれど、結局社会に出ればそういう人達と関わることの方が少ないだろう。そんなクリエイティブに関心のない人達にどう理解・共感して動いてもらうかということがとても難しかった。

難しかったけど、その難しさが分かったことも大きな収穫だなぁと思ったり。もちろん通じ合えたり理解してもらえた時の喜びもその分大きくて、コミュニケーションの楽しさと難しさ、両方を感じた。

そんな紆余曲折を得ての卒業制作だったけれど、最終的には自分の探究してきたことに1つの結果として形を残せたと思うし、プレゼンでは「感動した」「鳥肌たった」「見れてよかった」など何かしら見てくれた人の心を動かせたことは素直に嬉しかった。


それから、卒制や他のプロジェクトでの人との関わりを通して、人に頼ることも増えていった。
自分のできないことを頼るだけじゃなくて、自分ができることでも頼るようになったのが大きな違い。後輩やクラスメイト、先輩、外部の知り合い、、、色々な人に助けてもらいました。ほんとに感謝しかない…。

自己完結するのではなく、少しずつ自分から周りへ広げていく。これは今後もっとやっていきたいな。


コミュニケーションは本来、身体的なものだし、その身体性というものは時代が変化しても無くならないものだと改めて感じた1年だった。


2022年は、いよいよ新社会人になる。春から東京に引っ越して建築/内装デザインの仕事が始まる。まだどんな感じになるか想像できない部分もあるけれど、「伝える」こと、「人との関わり方」をもっと丁寧にしながら色々挑戦していきたいな。

建築とか空間のデザインって、やっぱりそこにいる"人"が主役だと思っている。人ありきの空間だと思うので、そこに訪れる人が居心地よく感じたりワクワクできるような空間を作るためにも、もっと人の行動や身体性について探求していきたい。


来年も自分らしさを大切に、色々な人との出会いを大切にできますように。


今年も1年、ありがとうございました◯


最後に、年末にしたい一年の振り返りシートを作りました。(残り数時間しかありませんが、、、)

美味しいお茶とスイーツでも用意して、ゆっくり今年一年を振り返るために使ってもらえたら嬉しいです。

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