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有名アーティストは音楽制作ソフトをどう扱うか - Ableton Live編

はじめに

はじめまして、Minimal Order(ミニマル・オーダー)です。日頃はAbleton LiveFenderのエレアコ、Spliceなどを用いて音楽を制作しています。
仕上がった音源は、SpotifyApple Musicなどに公開しています。
(23/10/7更新)

さて今回は、日頃参考にさせてもらっている魅力的なアーティストたちが、どのような制作環境・制作ソフトで音楽を作っているのかをチェックしてみました。特に、制作ソフトの方に焦点を当ててまとめています。また、リストが長くなってしまいそうだったので、ソフトウェア別に記事にすることにしました!今回はドイツ生まれのDAW、Ableton Live

登場するアーティストは以下の目次に記載のアーティストたちです。


ちなみにピックアップしたアーティストたちは、完全に個人的な好みかつ、偶然動画を見つけたという「運」にも拠るところが大きいです。
それでは以下より、本編です。

Ableton Liveユーザーのアーティストたち

■ Deadmau5

フジロックフェスティバルやEDCなどにもねずみの被り物で出演実績のあるカナダのプロデューサーDeadmau5(デッドマウス)。業務用冷蔵庫サイズのシンセに囲まれた制作部屋から様々な動画配信をしていますが、そんな彼が使うのもAbleton Live。

2018年10月の投稿では、様々なプラグイン(外部ソフトからの追加機能)とともに、マスタリング(楽曲の仕上げ)について解説してくれています。

とはいっても、背景の宇宙船内のようなシンセの塊で気が散りますが笑
また、使っているラップトップは高スペックなゲーミングPCメーカーとして有名なRazerのものですね。

■ Flava D

UKガラージやグライムシーンで強い存在感のあるFlava D(フラヴァディー/フレイヴァディー)も、複数の動画でAbleton Live使用風景を公開しています。
意外と知られていないかもしれませんが、DJライブ配信で有名なBoiler Roomも「CROWDSOURCED」という企画で様々なアーティストの楽曲制作工程を紹介しています。

重厚なビートと、犬の鳴き声やTV番組など印象に残るサンプルを器用に加工して一つの曲へと束ねていくあたりが見どころ。どうやら視聴者が投稿した音源を用いて、複数の短編ビートを組む企画のようですね。

また、FACT Magazineのチャンネルには、彼女が日頃どのように曲を作っているかを丁寧に解説している「How to make a Flava D track」という動画もあるので、合わせてチェックしてみると理解が深まるかと思います。

■ Four Tet

(2013年〜現在)少なくとも2010年前後のアルバム"There Is Love in you"の制作時期にはPro Toolsを使用していたようですが、近年のライブ動画やコメンタリーを見る限りでは、Ableton Liveへと乗り換えたことが伺えます。

じっくり制作プロセスを覗けるという意味では、timandbarrytvというYouTubeチャンネルで公開されているBEAT THISというシリーズの登場回が最適でしょう。

マイケル・ジャクソンのThrillerの音源サンプリングを基に、10分間でビートを作成するという内容です。使うのはSONYのラップトップにインストールされたAbleton Live(おそらくバージョン8?)。
彼自身の感想としては、ビープのような音が主張しすぎてしまったのが気にかかるようですが、概ね結果には満足のよう。「今週末にクラブでかけようかな」とおっしゃってます。

より詳しく知りたくなった方は、Red Bull Music Academyが公開しているFour TetによるLive時の機材解説も参考になるでしょう。最近のBoiler Roomの動画を観るとわかるのですが、様々な遍歴をへてラップトップはMacbookになったようですね。

■ Mura Masa

100のボツアイデアを経てやっと1つのいいアイデアが見つかると謙虚に言い切るMura Masaが用いるのもAbleton Live。彼自身による楽曲"What If I Go?"の解説動画は、その制作哲学を知るのにも参考になります。

地元(ガーンジーかな?)とプロデューサーのいるロンドンを往復することが多いらしく、列車の中で制作することも多いそう。この"What If I Go?"も、ロンドン→ブライトン間の列車内で制作を始めたそうです。

楽曲内のパーツをどこから作り始めるかは人や曲によっても異なりますが、"What If I Go"の場合イントロから丁寧に緻密に時系列に沿って構築されていったことが伺えます。

解説に出てくる以下の話題は、個人的に非常にためになりました。
①自分にとって愛着のある土地の空気を醸し出すため、ロンドン(ブリクストン)のストリートミュージシャンの使っている楽器「スチールパン」を取り入れた
②外部から取得したサンプル音源をそのまま使うのではなく、楽曲のトーンに合うようにピッチや速度を柔軟に変える
③同じフレーズを奏でる、異なる音色のシンセを重ねて厚みを出す

Mura Masaの制作環境に関する他のおすすめ動画は、Mass Appealが公開しているRhythm Roulette。レコード屋で選んだ複数のLPをサンプルし、(所要時間はわかりませんが)1つの曲に仕上げるという企画です。
成果物が音源化されないのがもったいないほどメチャクチャカッコイイ!ので、是非聴いてみてください。

■ Robot Koch

Abletonの誕生したベルリン出身のRobot Kochもまた、Ableton Liveユーザーとして同社の公式動画にも登場していました。

エレクトロニック・ミュージックはカットアンドペーストやループが基本になりがちなので、曲の"ヒューマンタッチさ"を増幅させるために様々な工夫をしているといいます。ビートをグリッドからずらしたり、紙をちぎる音を入れたり、それを反転(逆再生)してみたり。

こちらの別動画では、制約を設けることで創造性を発揮するためのTipsを紹介しており、短いながらも非常に参考になります。

■ Yaeji

WELCOME TO ACID HOUSEというユニークで印象にのこるポスターが貼られた壁の前で制作するのがYaeji。FACT Magazineによる有名な時限ビートメイク番組"Against The Clock"への出演時の動画を通じて、彼女の制作環境を知ることができます。

中盤からは、ボーカルを録り、ピッチや速度変更などの加工を施していますね。成果物に関してもなかなか満足している模様。
それにしても画面の目の前に鎮座しているKorgのMinilogueがいいビジュアル・いい仕事しています。

さいごに

今回はAbleton Liveの使用が確認できたアーティストを抜粋してご紹介しました。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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【執筆者関連リンク】

Minimal Order - Apple Music
Minimal Order - SoundCloud

【その他記事関連リンク】

インタビュー:MONOLAKEが語るミスの重要性, Red Bull Music Academy

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