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広報予算は8桁! 辞めたから話せる大企業広報の3つの事実

私の最初のキャリアは、大手金融機関での広報担当でした。

どのくらいの規模の会社かというと、私がいた頃で、単体の社員数が15,000人超くらいでした。グループ連結をした場合や、派遣さんまで含めると、この何倍もいたと思います。歴史も長く、創業100年を軽く越えていました。

この会社で新卒で広報に配属されるのはとても珍しいようで、私は15年ぶりに配属された新人広報だと言われました。

ここから私のキャリアはスタートし、社員としてはもう1社で広報を経験。独立してからはスタートアップを中心に20社くらいのサポートをさせていただき、現在もディアメディアという会社で10社弱を担当させていただいています。

会社の規模は1社目が一番大きく、独立してから携わった会社で、最小のところは社長1人と私ということもありました。

そして社員数1名~15,000名規模の企業まで広報を経験してみて、大企業の広報ってやはりいろんな意味で違うなと気がつきました。

今回は、スタートアップやベンチャー企業で広報をしていると、なかなか見えない大企業広報の真実をお伝えしたいと思います。

1、潤沢な人員

広報の担当は、役割で3つに分かれていました。

・取材対応などがメインの社外広報担当 8名+派遣さん1名
・ホームページ運用がメインのホームページ担当 3名
・社内広報と宣伝担当 8名+派遣さん1名

私が所属していたのは、社外広報担当です。
8名と記載しましたが、1名は別の仕事と兼任だったので、正確には7.5名です。

社外広報8名の担当はこんな感じでした。

1名 リーダー
4名 大手新聞社の担当記者を担当
1名 業界紙担当
1名 部内業務、上記以外の社外取材
1名 飛び込みでやってきた取材←私です

新人なので、「電話はワンコール以内に出る!」みたいな感じで取りまくっていました。かかってくる電話は代表電話経由での取材依頼が多かったので、結果として入社してすぐから取材対応が結構ありました。

大手新聞社の場合は、金融面の取材では担当記者がいるので、直接担当の広報に連絡がきます。代表電話経由の取材は、金融面以外、社会部などからの連絡が多かったです。

社会部の記者さんが時事ネタで記事を書くときに、その記事の内容をサポートする要素として、「○○社ではこれが売れている」とか、「○○社ではこれが不調」とか、そういう文言を入れたいことがあります。
このケースでは、代表電話経由でいきなり取材が来るのです。

2、朝は早いけれど、意外とゆるやかな1日の動き

広報部には「新聞当番」というものがありました。
何をするかというと、毎日届く全国紙、業界紙、地方紙や通信社のクリッピングに、始業前に一通り目を通して、会社や事業に関連する記事をピックアップ。

そして、社内向けにまとめて、社内のそれなりのポジションの方々に配信します。かなり膨大な量がくるので、3~4人くらいで作業をしていました。

この他の定型業務に、2ちゃんねるチェックがありました。
文字通り、2ちゃんねるをチェックして自社や業界に対する書き込みをモニターする業務です。

書き込みは基本的には広報内で共有し、2ちゃんねるでどんなことが言われているのか、火種はないか、全員が認識するようにしていました。
もし気になるものがあれば、社内で関連する部署の然るべきポジションの方々へも共有します。
大企業はとってもリスクに敏感でした。

ルーティーンの定型業務はこの2つくらいで、日中は基本的に問い合わせや取材対応、リリースがあればリリースの対応がメインになります。

取材はほぼ毎日のようにありました。

また、意外に多かったのは社内からの問い合わせでした。
「お客様からこんな記事について言われたんですけど…どんな記事かわかりますか?」「見せてもらえますか?」など、全国から聞かれました。

問題や大きな発表がない限り、1日を通じて、みんな結構ゆるやかに仕事をしていました。

媒体研究として、新聞を読んだり雑誌を読んだりする時間がたっぷりあったので、情報通になりました。

しかし、大企業あるあるで、「ヒマを悟られないようにする」という暗黙のルールがあり、みんな真面目な顔をしながら、いかにも忙しそうに「いま必要なことをしています!」風に新聞雑誌を読んだり、私用メールをしていた記憶があります。笑

3、驚きの8桁、膨大な広報予算

広報部の予算は8桁ありました。
もちろん、これには広告費やマーケティング費は含まれません。
社外広報で使える予算です。

これは「多い!」と感じる方が多いと思います。しかし、金融系だから格別に多く予算が積んであったわけではなく、大手はどこもこのくらいは予算を確保しているのではないかと思います。

私がベンチャー企業の広報に携わってびっくりしたのは、広報予算が0という会社が本当に多いことです。

8桁とまではいいませんが、ある程度の規模のベンチャー企業で、メディア露出をしっかり狙っていくのであれば、メディア研究のための図書費くらいは、予算としてあってもいいのかなと思います。

ちなみに8桁の予算の用途は、接待交際費、図書費、通信費などです。
クリッピングなどは幅広くやっていましたし、時事通信や共同通信など通信社との契約もあったので、それなりの費用はかかっていたと思います。

もちろん、記者さんとの情報交換を兼ねた懇親会などはしょっちゅう行っていたので、接待交際費もなかなかの数字だったと記憶しています。

大企業で広報をはじめられたのは、私にとってはかなり大きいことだったと思います。
脈々と受け継がれている広報の型があり、それをOJTでしっかりと教えてもらえる教育体制の中で鍛えてもらったので、短期間で効率的に広報業務を吸収できました。

さらに、大手メディアの取材対応もガンガンやらせてもらっていたので、取材慣れもできました。

また、広報とは経営をサポートするものであり、メディアに出ることだけが広報の存在意義目的ではないという部分もしっかりと刷り込まれました。

会社や先輩方には本当に感謝しています。

今回お伝えした大企業広報の中のお話はベンチャーやスタートアップの広報とは全く違う世界かと思います。

もし、今回記載した部分の他に、ここはどうなってたの?など疑問質問がありましたら、可能な限りお答えしますので、ぜひコメントしてください!


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