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今のところ、プレスリリースはラブレターではない

プレスリリースを書こうとしたことがある人なら、耳にしたことがあるかもしれない言葉のひとつに「プレスリリースはラブレター」というものがあります。

これは、著名な放送作家でPRコンサルタントの野呂エイシロウ氏の著書「プレスリリースはラブレター」からきた言葉です。この本は10年近く前に発売されたにも関わらず、いまだに売れ続けている広報のバイブル的な本。

そして、このブログのタイトルは、「プレスリリースはラブレターではない」。真逆のことを言っていますが、決して野呂氏の本をディスっているわけでも否定しているわけでもありません。野呂氏の本の内容は素晴らしいもので、私もしばしば読み返しています。

ただ「プレスリリースはラブレター」という言葉を聞いた、広報初心者の方が、「よし!頑張るぞ」とイメージを膨らませて書いたであろうものは、ポエミーというか、想いを目いっぱい伝えてしまうだけの内容というか...。

ひたすら一方的にアピールをしまくる内容になっていたりと「あらあら・・・」なことが多々あります。

なんでなんだろう?と考えてみた結果、皆さん本を読んでいるのではなく、「プレスリリースはラブレター」という言葉だけを聞いて、イメージで書いているのではないかという仮説にたどり着きました。

だから、「ラブレターってこうだよね!」みたいな感じですごいのが出来上がっちゃうわけです。

ラブレターを書いたことがある人は多いのか

そして、そもそもラブレターって書いたことありますか?

残念ながら、私はないです。最近はLINEなどメッセージアプリを使ってサクサクっと伝えられちゃうので、敢えて真剣なラブレターを書く機会も減っているような気もします。

そんなラブレター未経験者たちが、プレスリリースはラブレターといわれて、プレスリリースのことも、ラブレターのこともイマイチわからず、妄想力を働かせて書くわけです。

イメージとしては、いきなりポルトガルにでも連れていかれて、ポルトガル語のレシピをもとに、見たこともない肉と野菜と魚を渡されて、お夕飯を作ってみる感じでしょうか?

「とりあえず・・・・生だとヤバそうだから、全部一緒に煮てみちゃう?あとは・・・、塩だよね、塩!入れてみよう、日本から持ってきた醤油もあるじゃん!入れとこ」的なことになったりする気持ち、よくわかります。

こうやって手探りでできた代物は、作った本人にとっては一生懸命、暗中模索して生み出した作品なわけですが、ポルトガル人にとっては謎多き一皿になっているはずです。

これは作り手に罪はありません。せめて日本語のレシピか馴染みのある材料があればよかっただけの話です。

「プレスリリースはラブレター」
これも、プレスリリースかラブレターか、どちらかに精通していれば、はうまく解釈して、良いプレスリリースを作れるはずです。

しかし、どちらも良く知らないとなると・・・。悲劇は必至。
なので、とりあえずプレスリリースは(想いの丈を伝えるための)ラブレターじゃないよ。と言いたくなったわけです。

プレスリリースはラブレターじゃないなら何なのか。何と言えば、妄想の世界ではなく伝わるのか。

思考を巡らせ、就職活動のエントリーシートにたどり着きました。

エントリーシートを作成するときの思考

1、この会社に入りたい。
2、まずは企業研究だ!
3、会社の魅力がわかったところで、この会社に自分のことを良く思っても
らえるようにしよう。
4、この会社が求めているのはこんな人材だな!だから、ここをアピールし
よう。だけど、自分ってすごい!というのは変だよな。よし、実績を添
えて書くか。
5、実績を書くには数字をいれて、あと、会社に入ってから貢献できること
も書こう。

これってプレスリリースを書くときの広報の思考に似ていませんか?

プレスリリースを書くときの広報の思考

メディアに掲載されるために、
1、この会社に入りたい。
(広報)このメディアの掲載されたい

2、まずは企業研究だ!
(広報)ターゲットメディアを研究しよう!

3、会社の魅力がわかったところで、この会社に自分のことを良く思っても
らえるようにしよう。
(広報)このメディアに(メディアの対象とする読者に)自社ニュース
を取り上げてもらえるようにしよう

4、この会社が求めているのはこんな人材だな!だから、ここをアピールし
よう。だけど、自分ってすごい!というのは変だよな。よし、実績を添
えて書くか。
(広報)このメディアが取り上げやすいニュースはこのようなものだか
ら、アピールのポイント(切り口)はこうしよう。実績も入れ
て、わかりやすく書こう。

5、実績を書くには数字をいれて、あと、会社に入ってから貢献できること
も書こう。
(広報)主張には、客観的なデータを用いて信憑性を確保して信頼度を高めよう。自分たちがニュースにしている商品・サービスがどのように社会(読者)に役立つか伝えよう。

相手が人事担当者なのかメディアなのかの違いだけで、やっていることの本質は同じです。しかも、プレスリリースはエントリーシートだよ!といわれれば、少なくともポエミーなものは出てきません。

そして、ラブレターを書いたことがある人より、エントリーシートを書いたことがある人の方が多いはず。

だから、言います。
「プレスリリースはエントリーシート」
うう、、広報的に言うと、全然キャッチャーじゃない。
ラブレターに惨敗してます。

なので、もう一捻り
「プレスリリースはES」
略してローマ字にしたって変化なし。
プレスリリースは、、、
辛くなってきました。
ここは変なプライドは捨てて、キャッチャーじゃなくても、伝わることを第一に。
「プレスリリースはエントリーシートを作成するときの思考法で!」
今のところ、自分の中では広報初心者の方にとってはこれが一番外さずにいけるんじゃないかという結論です。

おしまい


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